日本の大学等が把握している日本人学生の海外留学者数は、いま9万人台です。2024年度(令和6年度)の日本人留学生は91,054人で、前年度から1,875人(2.1%)増えました。一方、海外の機関が把握している主に長期の日本人留学者数は、2023年統計で50,139人です。数え方が違う2つの統計が並んでいるため、「何人いるか」の答えは1つに決まりません。
この記事は、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の「2024(令和6)年度日本人学生留学状況調査結果」と、文部科学省が2026年5月29日に公表した「日本人学生の海外留学状況」及び「外国人留学生の在籍状況」の資料を、そのまま並べ直したものです。数字は2026年9月16日に各公式サイトで公開されているPDFを読んで確認しました。
日本人の留学生は2024年度に91,054人だった
JASSOの日本人学生留学状況調査は、日本国内の大学・大学院・短期大学・高等専門学校・専修学校(専門課程)に在籍する学生が、その年度中に海外の大学等で留学を開始した数を集計しています。2024年度の結果は次のとおりです。
| 区分 | 2024年度 | 2023年度 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 協定等に基づく留学 | 57,262人 | 56,560人 | 702人増 |
| 協定等に基づかない留学 | 33,792人 | 32,619人 | 1,173人増 |
| 合計 | 91,054人 | 89,179人 | 1,875人増(2.1%) |
「協定等に基づかない留学」は、日本の在籍校が把握している範囲の数字です。調査の注記には、協定に基づかない留学については在籍学校において把握している限りで回答を得ている、と書かれています。つまり大学が知らないまま個人で行った留学は、この91,054人には入っていません。
また調査でいう「留学」の定義も広く取られています。学位取得を目的としない単位取得、異文化体験、語学の実地習得、研究指導を受ける活動まで含むと注記されています。2週間の語学研修も1人として数えられる集計です。
留学生の数はコロナ禍に1,487人まで落ちていた
同じ調査は2003年度からの推移を載せています。直近の動きを抜き出すと、落ち込みと戻りの幅がはっきりします。
| 年度 | 協定あり | 協定なし | 合計 |
|---|---|---|---|
| 2017年度 | 66,058人 | 39,243人 | 105,301人 |
| 2018年度 | 70,541人 | 44,605人 | 115,146人 |
| 2019年度 | 66,450人 | 40,896人 | 107,346人 |
| 2020年度 | 532人 | 955人 | 1,487人 |
| 2021年度 | 8,151人 | 2,848人 | 10,999人 |
| 2022年度 | 38,211人 | 19,951人 | 58,162人 |
| 2023年度 | 56,560人 | 32,619人 | 89,179人 |
| 2024年度 | 57,262人 | 33,792人 | 91,054人 |
公表値のなかで最も多いのは2018年度の115,146人で、2024年度の91,054人はその79.1%にあたります。この割合は編集部が公表値から計算したものです。2020年度の1,487人は2018年度の1.3%で、1年で100分の1近くまで減った計算になります。
文部科学省の資料は2024年度について「前年度から増加しているものの増加率は鈍化しています」と書いています。2022年度から2023年度への伸びが31,017人だったのに対し、2023年度から2024年度への伸びは1,875人です。戻りの局面は2023年度でほぼ終わったと読める数字の並びです。
留学生の行き先はアメリカが12,627人で最多
国・地域別の内訳です。上位10か国・地域と構成比が公表されています。
| 順位 | 国・地域 | 2024年度 | 構成比 | 2023年度からの増減 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | アメリカ合衆国 | 12,627人 | 13.9% | 890人減(6.6%減) |
| 2 | オーストラリア | 9,329人 | 10.2% | 166人増(1.8%増) |
| 3 | 韓国 | 8,360人 | 9.2% | 24人減(0.3%減) |
| 4 | カナダ | 6,736人 | 7.4% | 885人減(11.6%減) |
| 5 | 英国 | 5,381人 | 5.9% | 344人増(6.8%増) |
| 6 | 台湾 | 5,260人 | 5.8% | 212人増(4.2%増) |
| 7 | タイ | 4,789人 | 5.3% | 393人増(8.9%増) |
| 8 | フィリピン | 3,697人 | 4.1% | 497人増(15.5%増) |
| 9 | 中国 | 3,615人 | 4.0% | 482人増(15.4%増) |
| 10 | マレーシア | 3,064人 | 3.4% | 352人増(13.0%増) |
上位10のうち減ったのはアメリカ・カナダ・韓国の3つだけで、残り7つはすべて増えています。減少幅が大きいのはカナダの11.6%減とアメリカの6.6%減です。増加率で見ると、フィリピン15.5%増、中国15.4%増、マレーシア13.0%増と、アジアの国が上位に並びます。
上位10の合計は62,558人で、全体91,054人の68.7%です(編集部が公表値から計算)。残りの28,196人、31.0%が「その他」に分類されています。
留学生の3人に2人は「1か月未満」で帰ってくる
この調査でいちばん誤解されやすいのが期間です。留学期間別の内訳を見ると、短期が大半を占めています。
| 留学期間 | 2024年度 | 構成比(編集部算出) | 2023年度 |
|---|---|---|---|
| 1か月未満 | 60,301人 | 66.2% | 57,044人 |
| 1か月以上3か月未満 | 8,517人 | 9.4% | 8,747人 |
| 3か月以上6か月未満 | 10,130人 | 11.1% | 10,376人 |
| 6か月以上1年未満 | 9,907人 | 10.9% | 10,420人 |
| 1年以上 | 1,793人 | 2.0% | 2,122人 |
| 不明 | 406人 | 0.4% | 470人 |
| 計 | 91,054人 | 100.0% | 89,179人 |
1年以上の留学は1,793人しかおらず、全体の2.0%です。1か月未満が60,301人で3人に2人を占めます。文部科学省の資料も「1か月未満の短期留学は60,301人(対前年度比3,257人(5.7%)増)であり前年度から増加していますが、それ以外の期間別留学者数は減少しています」と明記しています。
増えているのは短期だけです。3か月以上の3区分はいずれも前年度より減っており、1年以上は2,122人から1,793人へ329人減っています。「日本人の留学生が増えた」という見出しの中身は、ほぼ1か月未満の増加だということが数字から読めます。
留学生を地域別に見るとアジアが最も多い
国ごとではなく地域でまとめると、順番が変わります。
| 地域 | 2024年度 | 2023年度 | 増減 |
|---|---|---|---|
| アジア | 36,904人 | 34,503人 | 2,401人増(7.0%増) |
| 欧州 | 20,831人 | 19,525人 | 1,306人増 |
| 北米 | 19,363人 | 21,138人 | 1,775人減(8.4%減) |
| 大洋州 | 12,269人 | 12,034人 | 235人増 |
| アフリカ | 690人 | 685人 | 5人増 |
| 中南米 | 418人 | 394人 | 24人増 |
| 中東 | 335人 | 314人 | 21人増 |
アジアが36,904人で首位、北米は19,363人まで下がり、欧州の20,831人に抜かれて3位になりました。前年度は北米21,138人・欧州19,525人でしたので、2024年度に順位が入れ替わったことになります。
アジアの内訳を期間別に見ると、36,904人のうち30,346人が1か月未満です。割合にして82.2%(編集部が公表値から計算)で、全体の66.2%よりさらに短期に偏っています。一方、欧州は20,831人のうち1か月未満が12,170人で58.4%、6か月以上1年未満が3,491人と、地域によって期間の分布が違います。
留学生の6割以上が女性という内訳になっている
男女別の集計も同じ調査に載っています。学校が把握していない場合の「回答できない」という区分があります。
| 区分 | 2024年度 | 構成比 | 2023年度 | 構成比 |
|---|---|---|---|---|
| 男 | 34,983人 | 38.4% | 33,015人 | 37.0% |
| 女 | 55,711人 | 61.2% | 55,844人 | 62.6% |
| 回答できない | 360人 | 0.4% | 320人 | 0.4% |
| 計 | 91,054人 | 100.0% | 89,179人 | 100.0% |
女性が55,711人で61.2%を占め、男性の34,983人を20,728人上回っています。ただし2023年度と比べると、女性は133人減り、男性は1,968人増えています。全体が増えた1,875人の内訳は、ほぼ男性の増加分です。
留学生の専攻は人文科学がほぼ半分を占める
専攻分野別の内訳です。分類はJASSOの調査区分そのままで、農学には獣医学、保健には医学・歯学が含まれると注記されています。
| 専攻分野 | 2024年度 | 構成比 | 2023年度 |
|---|---|---|---|
| 人文科学 | 42,246人 | 46.4% | 44,746人 |
| その他 | 13,634人 | 15.0% | 12,375人 |
| 社会科学 | 9,586人 | 10.5% | 8,635人 |
| 工学 | 9,286人 | 10.2% | 8,381人 |
| 保健 | 5,924人 | 6.5% | 4,938人 |
| 不明 | 2,578人 | 2.8% | 2,987人 |
| 理学 | 2,268人 | 2.5% | 1,865人 |
| 農学 | 2,097人 | 2.3% | 1,809人 |
| 教育 | 2,050人 | 2.3% | 2,035人 |
| 芸術 | 958人 | 1.1% | 805人 |
| 家政 | 427人 | 0.5% | 603人 |
人文科学が42,246人で46.4%を占めますが、前年度の44,746人・50.2%からは2,500人・3.8ポイント下がっています。代わりに増えたのは保健の986人増、社会科学の951人増、工学の905人増です。人文科学だけが大きく減り、それ以外の分野が軒並み増えたのが2024年度の動きです。
留学生を多く出している大学は千葉大学が首位
JASSOは「大学等が把握している日本人留学生の多い大学」も公表しています。上位の顔ぶれです。
| 順位 | 学校名 | 国公私 | 留学生数 |
|---|---|---|---|
| 1 | 千葉大学 | 国立 | 2,501人 |
| 2 | 早稲田大学 | 私立 | 2,123人 |
| 3 | 東京大学 | 国立 | 2,030人 |
| 4 | 京都大学 | 国立 | 1,963人 |
| 5 | 立命館大学 | 私立 | 1,861人 |
| 6 | 関西学院大学 | 私立 | 1,711人 |
| 7 | 明治大学 | 私立 | 1,588人 |
| 8 | 同志社大学 | 私立 | 1,435人 |
| 9 | 九州大学 | 国立 | 1,419人 |
| 10 | 東北大学 | 国立 | 1,249人 |
首位の千葉大学は2,501人で、全国の91,054人の2.7%が1校から出ている計算になります。上位10校の合計は17,880人で、全体の19.6%です(いずれも編集部が公表値から計算)。国立5校・私立5校が交互に並ぶ形になっています。
長期の留学生は別の統計で50,139人と集計されている
ここまではすべて「日本の大学等が把握している数」でした。もう1つ、海外の機関側から数えた統計があります。文部科学省がユネスコ統計局や米国国際教育研究所(IIE)の統計をもとに集計しているもので、主に長期の留学が対象です。
| 統計 | 集計主体 | 最新の数 | 主な対象 |
|---|---|---|---|
| 日本人学生留学状況調査 | 日本学生支援機構(日本の大学等への調査) | 91,054人(2024年度) | 短期の交換留学等も含む |
| 海外の機関が把握する日本人留学者数 | 文部科学省(ユネスコ統計局等の統計を集計) | 50,139人(2023年統計) | 主に長期の留学 |
2つの統計は数え方が違うので、足しても引いても意味のある数にはなりません。文部科学省の注記も、受入れ国の特定の日または特定の期間の在学者情報から収集したものであり、留学期間が1年に満たない学生や在学を必要としない交換留学プログラムの参加者は計上されていない場合がある、と書いています。
文部科学省の資料には、2022年統計まではOECD統計を出典に含めて集計していたが、2023年統計からOECD加盟国における国別留学生数が非公表扱いに変更されたため出典としていない、という注記があります。また2012年統計までは「外国人学生(受入れ国の国籍を持たない学生)」が対象、2013年統計からは「高等教育機関に在籍する外国人留学生」が対象に変わったため比較ができない、とも書かれています。長期のグラフを年単位でつなげて読むときは、この2つの断絶に注意が必要です。
長期の留学生では台湾が1年で35%増えている
海外の機関が把握する側の国別内訳です。こちらは上位の顔ぶれがJASSO調査とかなり違います。
| 順位 | 国・地域 | 2023年 | 2022年 | 増減率 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | アメリカ合衆国 | 13,959人 | 16,054人 | 13.0%減 |
| 2 | 台湾 | 9,888人 | 7,323人 | 35.0%増 |
| 3 | 中国 | 6,140人 | 7,078人 | 13.3%減 |
| 4 | 英国 | 2,965人 | 2,957人 | 0.3%増 |
| 5 | オーストラリア | 2,909人 | 2,680人 | 8.5%増 |
| 6 | 韓国 | 2,484人 | 2,244人 | 10.7%増 |
| 7 | ドイツ | 2,175人 | 1,819人 | 19.6%増 |
| 8 | カナダ | 1,890人 | 1,734人 | 9.0%増 |
| 9 | ブラジル | 1,579人 | 1,428人 | 10.6%増 |
| 10 | フランス | 1,081人 | 904人 | 19.6%増 |
台湾が7,323人から9,888人へ2,565人増え、アメリカに次ぐ2位に上がっています。JASSO調査では台湾は6位・5,260人でしたので、長期側のほうが台湾の比重が大きいことになります。逆にオーストラリアはJASSO調査で2位・9,329人ですが、長期側では5位・2,909人にとどまります。短期の語学研修や交換留学が多い行き先と、学位を取りに行く行き先が同じではないことが、2つの表を並べると見えてきます。
日本に来る外国人留学生は40万人を超えた
出ていく側の裏返しとして、日本に来ている側の数字も同じ資料に載っています。
| 在学段階 | 2025年5月1日現在 | 前年度比 |
|---|---|---|
| 大学(大学院・短大を含む) | 156,593人 | 7,692人増(5.2%増) |
| 日本語教育機関 | 140,174人 | 32,933人増(30.7%増) |
| 専修学校(専門課程) | 106,829人 | 30,427人増(39.8%増) |
| 準備教育課程 | 3,946人 | 288人増(7.9%増) |
| 高等専門学校 | 527人 | 21人増(4.2%増) |
| 合計 | 408,069人 | 71,361人増(21.2%増) |
外国人留学生は408,069人で、出ていく日本人の91,054人のおよそ4.5倍です。出身国別では中国131,097人、ネパール100,239人、ベトナム43,366人の順で、ネパールは1年で35,423人・54.7%増えています。資料は「前年度に引き続き過去最大となりました」と書いています。
留学生の数字を読むときに最後に確認しておくこと
この記事で扱った数字を、出典と対象で整理します。同じ「留学生」という言葉でも、どの表から取った数かで意味が変わります。
| 数字 | いつの時点 | 何を数えているか |
|---|---|---|
| 91,054人 | 2024年度中 | 日本の大学等が把握した、その年度に留学を開始した日本人学生(短期含む) |
| 60,301人 | 2024年度中 | そのうち留学期間が1か月未満の人数 |
| 1,793人 | 2024年度中 | そのうち留学期間が1年以上の人数 |
| 50,139人 | 2023年統計 | 海外の機関が把握した日本人留学者数(主に長期) |
| 408,069人 | 2025年5月1日現在 | 日本に在籍している外国人留学生 |
「日本人の留学生は9万人」と「日本人の留学生は5万人」は、どちらも公表値であって、どちらかが間違っているわけではありません。91,054人は年度中に開始した人の延べ数、50,139人はある時点で海外の高等教育機関に在籍している人の数です。前者は1か月の語学研修も1人、後者は基本的に3か月未満の交換留学を含みません。
①高校生の留学者数(JASSOの日本人学生留学状況調査は高等教育機関の在籍者が対象で、高校生は別の調査になるため)②語学学校のみに通う留学者数(高等教育機関に在籍していない場合、どちらの統計にも計上されないため)③留学にかかる費用の平均額(この2つの調査には金額の項目がないため)④2025年度の日本人留学生数(本稿の確認時点で公表されている最新は2024年度分のため)。
この記事の数字は、2026年5月29日に文部科学省が公表した資料と、JASSOが公開している2024年度日本人学生留学状況調査結果のPDFに基づいています。JASSOの集計は2025年10月時点の大学等からの回答に基づくものだと同資料に明記されています。最新の値は各公式サイトで確認してください。

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