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英語教育は何年生から始まる?国別の開始学年を並べた

日本で外国語(英語)が全員必修になるのは小学校3年生から、年間35単位時間(1単位時間45分)です。教科として成績が付くのは小学校5年生からで、こちらは年間70単位時間。中学校は1年生から3年生まで毎学年140単位時間(1単位時間50分)と決まっています。これは学校教育法施行規則の別表第一・別表第二に書かれた「標準授業時数」の数字です。

この記事は、文部科学省・欧州委員会(EACEA/Eurydice)・中国教育部・台湾教育部・韓国教育部・OECDが公表している「外国語教育を何歳・何年生から必修にしているか」の数字を並べ直したものです。数字は2026年9月17日に各機関の公表資料で確認しました。確認が取れなかった国は、この記事の表には載せていません。

目次

英語教育は日本では小学3年生から始まる

日本の場合、「何年生から」の答えは2つに分かれます。「触れ始める学年」は小学3年生、「教科になる学年」は小学5年生です。小学3・4年生で行うのは「外国語活動」で、教科ではないため検定教科書も数値の成績も付きません。小学5・6年生からが教科としての「外国語」になります。

学年 枠組み 年間の授業時数 1単位時間
小学1・2年生 設定なし — —
小学3・4年生 外国語活動(教科外) 各学年35単位時間 45分
小学5・6年生 外国語(教科) 各学年70単位時間 45分
中学1〜3年生 外国語(教科) 各学年140単位時間 50分

出典は学校教育法施行規則の別表第一(小学校)と別表第二(中学校)で、文部科学省が公表している表で確認しました。小学校の総授業時数は5・6年生で1,015単位時間、中学校は1〜3年生とも1,015単位時間です。

「単位時間」と「時間」は同じではない

日本の授業時数は「単位時間」で数えます。小学校は1単位時間45分、中学校と高校は50分です。国際比較で使われる「時間(hours)」は60分換算の実時間なので、そのまま足し引きすると数字がずれます。この記事でも、日本の数字はコマ数のまま並べています。

英語教育の授業時数を学年別に足し上げた

学年ごとの数字を、学校段階でまとめて足すとこうなります。小学校の6年間で外国語活動と外国語を合わせて210単位時間、中学校の3年間で420単位時間です。義務教育の9年間で合計630単位時間という計算になります。

学校段階 年数 合計の授業時数 内訳
小学校(中学年) 2年 70単位時間 35×2
小学校(高学年) 2年 140単位時間 70×2
中学校 3年 420単位時間 140×3
義務教育9年の合計 — 630単位時間 70+140+420

この足し算は、上の別表の数字をそのまま掛けて足した編集部の計算です。実際の学校では、短時間学習(15分程度のモジュール)を組み合わせて時間割を作ることも認められており、1回あたりの長さは学校によって変わります。文部科学省の資料でも「15分程度の短時間学習の活用等を含めた弾力的な時間割編成も可能」と明記されています。

日本の英語教育が小5から小3へ下りた経緯

日本の開始学年は、もともと中学1年生でした。小学校に外国語活動が入ったのは平成20年(2008年)告示の学習指導要領からで、このときの対象は5・6年生、年間35単位時間(週1コマ程度)です。小学3年生まで下りたのは、平成29年(2017年)3月告示の学習指導要領からです。

時期 内容 対象学年と時数
平成20年告示 小学校に外国語活動を新設 5・6年生/年35単位時間
平成29年3月告示 開始を3年生へ、高学年を教科化 3・4年生 年35/5・6年生 年70
平成30年4月〜 移行措置の開始 3・4年生 年15/5・6年生 年50
令和2年(2020年)4月 小学校で全面実施 上の新基準どおり
令和3年(2021年)4月 中学校で全面実施 各学年140単位時間

移行措置の2年間は、全国一律ではありませんでした。文部科学省の調査では、第3学年で35%の小学校が全面実施と同じ35時間以上を実施し、第5学年では29%の小学校が70時間以上を実施しています。つまり同じ学年でも、学校によって受けたコマ数が倍近く違った時期があるということです。高等学校は2022年度(令和4年度)入学者から学年進行で実施されています。

高校の英語教育で必ず履修する科目と単位数

高等学校になると、時数ではなく「単位」で決まります。平成30年告示の高等学校学習指導要領では、外国語科に6科目が置かれ、そのうち必ず履修するのは「英語コミュニケーションⅠ」の1科目だけです。

科目 標準単位数 必履修かどうか
英語コミュニケーションⅠ 3単位 必履修(2単位まで減じられる)
英語コミュニケーションⅡ 4単位 選択
英語コミュニケーションⅢ 4単位 選択
論理・表現Ⅰ 2単位 選択
論理・表現Ⅱ 2単位 選択
論理・表現Ⅲ 2単位 選択

高等学校では1単位時間を50分とし、35単位時間の授業を1単位として計算するのが標準です。必履修の3単位は105単位時間、2単位に減じた場合は70単位時間という換算になります(編集部が標準の計算式に当てはめたもの)。

ヨーロッパの英語教育は3歳から10歳まで開いている

欧州委員会の教育・文化・視聴覚執行機関(EACEA)が運営するEurydiceは、39の教育制度を対象に『Key data on teaching languages at school in Europe』を出しています。2023年版の参照年度は2021/2022年度です。そこでの結論は、第一外国語が必修になる年齢は3歳から10歳まで広がっており、最も多いのは6〜8歳というものでした。

必修になる年齢 教育制度 備考
3歳 ベルギー(ドイツ語共同体)/ルクセンブルク/ポーランド 就学前教育から
4歳 ギリシャ 就学前教育が4歳から義務
5歳 キプロス/マルタ マルタのみ初等教育から
6〜8歳 大多数の教育制度 初等教育の最初の学年に相当
7〜9歳(学校裁量) エストニア/スウェーデン エストニアは9歳、スウェーデンは7歳が最多
6〜9歳(学校裁量) アイスランド 9歳開始が最多
10歳 ベルギー(フラマン語共同体)/ベルギー(フランス語共同体の一部) 最も遅い開始年齢
必修なし アイルランド 英語とアイルランド語は外国語として扱わない

この表で目立つのはアイルランドです。外国語の学習が必修になっていない国は、39制度のうちアイルランドだけとEurydiceは明記しています。理由は、全員が英語とアイルランド語を学んでおり、そのどちらも外国語とみなされていないからです。

ドイツは州によって違います。Eurydiceの国別注記では、6つの州で6歳から第一外国語が必修とされています。フィンランドは2021/2022年度から、それまでの「7〜9歳の幅」をやめて7歳固定に切り替えました。ベルギーのフランス語共同体も、2023/2024年度から全員8歳開始へ改めるとされています。

英語教育が義務になる年齢を国の数で数えた

年齢ではなく「何カ国がどこに固まっているか」で見ると、分布の形がはっきりします。Eurydiceは、6歳になる前に第一外国語が必修になる教育制度は6つと数えています。具体的にはベルギー(ドイツ語共同体)、ルクセンブルク、ポーランド、ギリシャ、キプロス、マルタです。

残りの大半は6〜8歳の帯に入ります。日本の小学3年生は年度中に8歳から9歳になる学年なので、この帯からは1年ほど遅い位置ということになります。ただしEurydiceの年齢は「その学年で普通に在籍している年齢(notional age)」であり、日本の学年制と厳密に一致するわけではありません。

数え方の前提

Eurydiceは、就学前教育の段階で全員が外国語を学び始める場合、「就学前教育が義務である年齢」または「全員に公費補助の就学枠が保障される年齢」を開始年齢として数えています。ギリシャは4歳、キプロスは5歳から就学前教育が義務で、ベルギー(ドイツ語共同体)・ルクセンブルク・ポーランドは3歳から枠が保障されます。

2つ目の外国語の英語教育が始まる年齢

ヨーロッパの特徴は、外国語を1つで終わらせない制度が多いことです。Eurydiceによれば、39の教育制度のうち32で、普通教育のすべての生徒が同時に2つの外国語を学ぶことが必修になっています。

第二外国語が必修になる年齢 教育制度
6歳 ルクセンブルク
10歳 ギリシャ/ラトビア/スイス/セルビア
11〜13歳 大多数の教育制度
10〜12歳(学校裁量) エストニア/アイスランド
14〜15歳 ブルガリア/ハンガリー/オーストリア/スロベニア/スロバキア/リヒテンシュタイン/トルコ
16歳 ノルウェー

実際に何人が学んでいるかも公表されています。EU全体では、前期中等教育の生徒の59.2%が2つ以上の外国語を学んでいます。エストニア、ギリシャ、イタリア、ルクセンブルク、マルタ、ポルトガル、ルーマニア、フィンランド、ボスニア・ヘルツェゴビナ、アイスランド、リヒテンシュタイン、北マケドニアの12制度では90%を超えます。

英語教育を何年間続けるかを国別に比べた

開始年齢が早いほど、学ぶ年数は長くなります。Eurydiceの2021/2022年度の集計では、少なくとも1つの外国語が必修である期間は7年から16年まで幅があり、3分の2の教育制度は11〜13年に収まります。

必修の年数 教育制度 開始年齢の目安
16年 ルクセンブルク/ポーランド 3歳
15年 ベルギー(ドイツ語共同体) 3歳
14年 ギリシャ 4歳
11〜13年 3分の2の教育制度 6〜8歳
7〜10年 ベルギー(仏語・蘭語共同体)/エストニア/ハンガリー/オランダ/アイスランド/スイス/ポルトガル 9〜10歳ほか

過去20年の動きも数字で出ています。データのある教育制度の約3分の2が、この20年で必修期間を延ばしました。延びた分はすべて「開始年齢を下げたこと」から来ているとEurydiceは書いています。2003年以降で伸びが大きかったのはベルギー(ドイツ語共同体)、ギリシャ、イタリア、キプロス、ポーランドで、キプロスの4年からポーランドの7年まで延びました。

小学校の英語教育に使う年間の時間を国別に並べた

Eurydiceは、外国語の必修授業に充てる最低推奨時間も国別に出しています。以下は2020/2021年度、初等教育の「標準的な1学年あたりの時間数」です。学年ごとの時間を初等教育の学年数で割った値なので、特定の学年の時間割ではありません。

教育制度 初等教育の1学年あたりの時間
ルクセンブルク 407時間
マルタ 112時間
ベルギー(ドイツ語共同体) 101時間
スペイン 92時間
ギリシャ 82時間
イタリア 79時間
デンマーク 69時間
フランス 54時間
ドイツ 37時間
ベルギー(フランス語共同体) 31時間
オーストリア 30時間
ハンガリー 13時間

27の教育制度は30〜69時間の帯に収まります。突出しているルクセンブルク、マルタ、ベルギー(ドイツ語共同体)、イタリアには共通点があり、CLIL(教科の内容を2つ以上の言語で教える方式)を一部の学年で採用している点だとEurydiceは説明しています。

逆に低い側にも理由が書かれています。ハンガリーの13時間は、初等教育が4学年しかなく、外国語が必修になるのはその最終学年だけだからです。ドイツ(37時間)とオーストリア(30時間)も初等教育が4年で、この段階を終える年齢が早い分、時間が短く出ます。前期中等教育まで含めると数字は変わり、1学年あたりはノルウェーの74時間からルクセンブルク(古典中等教育)の373時間まで広がります。

韓国・中国・台湾の英語教育の開始学年

近隣国はどうか。韓国・中国・台湾の3つは、いずれも公式の課程基準で開始学年が明記されています。3つとも「小学3年生から」で、日本と同じ学年です。

国・地域 開始学年 公表されている量 根拠
日本 小学3年生 小3・4=年35単位時間/小5・6=年70/中学=年140 学校教育法施行規則 別表第一・第二
韓国 小学3年生 小3〜4=2年で136時間/小5〜6=2年で204時間/中学=3年で340時間 2022改訂教育課程の時間配当基準
中国 小学3年生 週4回以上の教学活動(短時間・高頻度の原則) 教育部「積極的に小学校で英語課程を開設することに関する指導意見」(2001年)
台湾 小学3年生 小3・4=週1節/小5・6=週2節/中学=週3節 十二年国民基本教育課程綱要 総綱

中国の開始は2001年1月18日付の教育部文書で決まりました。「小学校で英語課程を開設する起始学年は一般に3年生とする」と書かれており、実施の目標は2001年秋から全国の都市部と県城の小学校、2002年秋から郷鎮所在地の小学校でした。授業の組み方については「短い時間・高い頻度」の原則を示し、週4回以上の教学活動を保証するとしています。

台湾は教育部の課程綱要で、英語文を第二学習階段(小学3・4年生)から置いています。1節あたりの長さは小学校が40分、中学校が45分で、小学3・4年生は週1節、小学5・6年生は週2節、中学1〜3年生は週3節です。週1節しかない科目は、学校の課程発展委員会の議決を経て隔週2節にまとめるといった調整が認められています。

韓国は学年群でまとめて時数を示すのが特徴です。2022改訂教育課程の時間配当基準では、小学1・2年生に英語の枠はなく、小学3〜4年生群で136時間、小学5〜6年生群で204時間、中学校は3年間で340時間。中学校の1時間は45分が原則です。教科群ごとの時数は20%の範囲で増減できると基準に明記されています。

英語教育が授業時間全体に占める割合

開始学年とは別の角度として、OECDは「必修授業時間のうち何%が外国語か」を出しています。『Education at a Glance 2023』のOECD平均は、初等教育で7%、前期中等教育で14%でした。

教科分野 初等教育(OECD平均) 前期中等教育(OECD平均)
読み書き・文学(第一言語) 25% 15%
数学 16% 13%
芸術 11% 7%
体育・保健 10% 8%
自然科学 7% 12%
第二言語・その他の言語 7% 14%
社会科学 6% 11%

第一言語と数学を合わせた割合は初等教育で41%ですが、前期中等教育では27%まで下がります。そのぶんを自然科学・社会科学・外国語が取り、外国語は7ポイント増えて14%になる、という並びです。外国語の比率が最も大きく動くのは、初等から前期中等へ上がるタイミングということが数字から読み取れます。

日本の英語教育で扱う語数の変化

開始学年が下りたのと同時に、扱う語数も変わりました。文部科学省が中央教育審議会の教育課程部会に出した資料(令和元年9月4日)には、改訂の前後で語数がどう変わるかが並べて示されています。

学校段階 改訂前 改訂後
小学校 設定なし 600〜700語程度
中学校 1,200語程度 1,600〜1,800語程度
高等学校 1,800語程度 1,800〜2,500語程度
高校卒業時の合計 3,000語程度 4,000〜5,000語程度

同じ資料には到達状況の数字も載っています。平成30年度時点で、英検3級程度以上の力があるとされた中学3年生は42.6%、英検準2級程度以上の高校3年生は40.2%で、いずれも国の目標は50%でした。この2つは政策目標に対する実績値であり、個人の伸び方を示す数字ではありません。

英語教育の開始学年で最後に確認しておくこと

ここまでの数字を、読み違えやすい点と一緒にまとめます。

  • 日本の開始は小学3年生(年35単位時間)。教科になるのは小学5年生(年70単位時間)から
  • 中学校は各学年140単位時間、高校の必履修は英語コミュニケーションⅠの3単位(2単位まで減じ可)
  • ヨーロッパの必修開始年齢は3歳から10歳まで開き、最も多いのは6〜8歳
  • 外国語が必修でない国は、Eurydiceの39制度のうちアイルランドだけ
  • 韓国・中国・台湾はいずれも小学3年生開始で、日本と同じ学年
  • OECD平均で外国語に充てる必修授業時間は初等7%・前期中等14%

読み違えが起きやすいのは、単位の違うものを並べたときです。日本は45分・50分の「単位時間」、Eurydiceは60分換算の「時間」、台湾は40分・45分の「節」で数えています。国際比較の表を見るときは、まず単位が何かを確かめてから比べてください。

この記事の数字の出どころ

日本=学校教育法施行規則 別表第一・別表第二(文部科学省公表の標準授業時数の表)、高等学校学習指導要領(平成30年告示)、中央教育審議会 教育課程部会 資料「新学習指導要領全面実施に向けた小学校外国語に関する取組について」(令和元年9月4日)。ヨーロッパ=European Commission/EACEA/Eurydice『Key data on teaching languages at school in Europe – 2023 edition』(Publications Office of the European Union, 2023/参照年度2021/2022、授業時間の図のみ2020/2021)。中国=教育部「関于積極推進小学開設英語課程的指導意見」(教基〔2001〕2号、2001年1月18日/国務院公報2001年第35号)。台湾=教育部「十二年国民基本教育課程綱要 総綱」(民国103年11月発布・110年2月修正、111学年度実施)。韓国=教育部告示による2022改訂教育課程の時間配当基準(編集部が確認した現物は、同基準の表を収録した韓国の教育庁公開資料)。OECD=『Education at a Glance 2023』。いずれも2026年9月17日に確認しました。

なお、ここに並べたのは制度として決められた最低限の枠です。同じ国のなかでも学校や自治体によって上乗せがあり、実際に受ける授業の量には差が出ます。最新の内容は各機関の公表資料で確認してください。

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