
TOEFLの受験者数を年間の人数で知りたい人は多いが、試験を運営するETSは、TOEFL iBTの年間受験者数を公表していない。ETSが毎年出している『TOEFL iBT Test and Score Data Summary』に載っているのはスコアの統計だけで、受験者が何人だったかという数字は1つも書かれていない。公表されているのはこれまでの累計で4,000万人以上という数字と、2024年1月〜12月の受験者の平均スコア86点(120点満点)である。
この記事は、ETSが公表している『TOEFL iBT Test and Score Data Summary 2024』と、TOEFLテスト日本事務局、文部科学省、日本英語検定協会、IIBC(国際ビジネスコミュニケーション協会)が公表している数字を並べ直したものである。数字は2026年9月21日に各公式サイトと公表資料で確認した。確認が取れなかったものは載せていない。「年間◯◯万人」という数字がこの記事に出てこないのは、一次資料にその数字が存在しないためである。
TOEFLの年間受験者数は公表されていない
まず結論から。TOEFLの年間受験者数は、運営団体のETSも、日本事務局も、公表していない。根拠は2つある。
1つ目は、ETSが毎年出している統計資料そのものである。『TOEFL iBT Test and Score Data Summary 2024』は全16表で構成されているが、その中身はスコアの最小値・最大値、パーセンタイル順位、男女別の平均、母語別の平均、母国別の平均だけで、受験者数(N)を示す表は1つもない。
2つ目は、日本国内の数字について文部科学省が調べた結果である。文部科学省の資料『主な英語の資格・検定試験』(2016年3月25日版)では、主要な英語試験の「受験人数」が一覧になっているが、TOEFL iBTの欄は「非公表」と書かれている。同じ表で英検は約263.5万人、TOEICは約240万人と実数が入っているので、書けなかったのではなく、出ていないということになる。
| ETSが公表しているもの | 公表していないもの |
|---|---|
| セクション別・合計の平均スコア(毎年) | 年間の受験者数(世界・国別とも) |
| スコアごとのパーセンタイル順位 | 国・地域別の受験者数 |
| 母国別・母語別の平均スコア | 年別の受験者数の推移 |
| 男女別・受験目的別の平均スコア | 受験目的別の人数 |
| 累計の受験者数(4,000万人以上) | 日本国内の年間受験者数 |
ETSは受験者数を集計していないわけではない。集計はしているが、外に出していないというだけである。したがって「年間◯◯万人」と書いてある記事があっても、それが一次資料にたどり着けるかどうかは別の話になる。
TOEFLの受験者数で公表されているのは累計だけ
年間の人数は出ていないが、累計であれば公表されている数字がある。ETSの公式サイトと、TOEFLテスト日本事務局の説明に載っているものを並べる。
| 項目 | 公表されている数字 | 出どころ |
|---|---|---|
| 世界の累計受験者数 | 4,000万人以上 | ETS公式サイト/TOEFLテスト日本事務局 |
| 日本の累計受験者数 | 130万人以上(2000年のTOEFL CBT導入以降) | TOEFLテスト日本事務局 |
| スコアを採用している機関 | 13,000以上 | ETS公式サイト |
| 採用している国・地域 | 160か国以上 | ETS公式サイト |
| 日本国内の年間実施回数 | 40〜45回 | 文部科学省『主な英語の資格・検定試験』 |
| TOEFL ITPの国内利用 | 500以上の団体・約22万人 | TOEFLテスト日本事務局 |
TOEFLの歴史は長い。1962年に協議会が作られ、1963〜64年に試験の運用が始まった。コンピュータ版のTOEFL CBTが1998年、インターネット版のTOEFL iBTが2005年9月に登場し、紙で実施していたTOEFL revised Paper-delivered Testは2021年に終了している。累計4,000万人という数字は、この60年分の合計である。単純に60で割れば年あたり約66万人になるが、これは初期と現在の規模が同じだった場合の計算なので、実態を表す数字にはならない。
TOEFL iBTの平均スコアは120点満点で86点
人数は出ていないが、スコアは細かく出ている。2024年1月〜12月にTOEFL iBTを受験した人の平均は、合計86点(120点満点)、標準偏差19だった。セクションは4つで、それぞれ0〜30点である。
| セクション | 平均スコア | 標準偏差 | 配点 |
|---|---|---|---|
| Reading(読む) | 21.9 | 6.5 | 0〜30 |
| Listening(聞く) | 22.1 | 6.2 | 0〜30 |
| Speaking(話す) | 20.7 | 4.6 | 0〜30 |
| Writing(書く) | 21.1 | 4.6 | 0〜30 |
| 合計 | 86 | 19 | 0〜120 |
4技能のうちいちばん平均が高いのはListeningの22.1、いちばん低いのはSpeakingの20.7で、その差は1.4点しかない。ただし標準偏差を見ると、ReadingとListeningは6点台、SpeakingとWritingは4.6点で、読む・聞くのほうが受験者ごとのばらつきが大きい。同じ1点でも、セクションによって全体の中での重みが違うということになる。
TOEFLのスコアは何点で上位どのあたりか
ETSは同じ資料の中で、合計スコアごとのパーセンタイル順位を公表している。0〜100の目盛りで、数字が大きいほど上位にいることを示す。2024年の全受験者(Total Group)の表から、主な行を抜き出した。
| 合計スコア | パーセンタイル順位 |
|---|---|
| 120点 | 100 |
| 112点 | 96 |
| 104点 | 84 |
| 100点 | 75 |
| 96点 | 65 |
| 92点 | 56 |
| 88点 | 47 |
| 84点 | 39 |
| 80点 | 32 |
| 72点 | 20 |
| 64点 | 13 |
| 60点 | 10 |
この表で目を引くのは80点と100点の間の混み具合である。80点がパーセンタイル32、100点が75なので、20点の差の中に全受験者の4割以上が入っている。逆に104点から上は84以上の領域で、点差の割に順位が動きにくい。なお、これは編集部がETSの表から読み取った差分で、ETSが順位の解説として書いているものではない。
TOEFLの国・地域別の平均スコア(アジア主要国)
ETSは母国(Native Country)別の平均スコアも公表している。2024年のデータからアジアの主な国・地域を抜き出すと次のとおり。日本の平均は合計72点である。
| 国・地域 | Reading | Listening | Speaking | Writing | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| シンガポール | 24 | 25 | 24 | 24 | 97 |
| インド | 24 | 25 | 22 | 23 | 94 |
| マレーシア | 23 | 24 | 22 | 23 | 91 |
| 香港 | 22 | 23 | 22 | 22 | 90 |
| 韓国 | 22 | 22 | 20 | 21 | 86 |
| 台湾 | 22 | 23 | 20 | 21 | 86 |
| フィリピン | 20 | 22 | 23 | 22 | 86 |
| 中国 | 23 | 21 | 20 | 21 | 85 |
| インドネシア | 21 | 21 | 21 | 21 | 84 |
| タイ | 21 | 22 | 20 | 20 | 83 |
| 日本 | 19 | 18 | 17 | 18 | 72 |
同じ資料には母語(Native Language)別の表もある。母語が日本語の受験者の平均は合計73点(Reading 19/Listening 19/Speaking 17/Writing 18)で、母国が日本の72点とはわずかに違う。母語が中国語だと86点、韓国語だと86点、タイ語だと82点である。母国で切るか母語で切るかで数字が変わるので、どちらの表の数字かを確かめてから比べる必要がある。
ETSは、該当する受験者が30人未満の国・地域については平均を出さず、アスタリスクで伏せている。少数のデータから出した平均は信頼できないため、という理由が資料に明記されている。つまり国別の表に名前が無い国は、スコアが低いのではなく、人数が足りていない。
TOEFLの日本の72点をどう読むか
日本の72点という数字は、順位の話に使われやすい。しかしETS自身が、国別スコアで国を順位づけすることを「データの誤用」だと明記している。国別の表の直前に置かれた注意書きで、次の4点を理由に挙げている(原文は英語。以下は編集部が要約したもの)。
- 国ごとに受験者の人数が大きく違う
- 英語を学び始める学年が国ごとに違う
- 週あたりの英語の学習時間が国ごとに違う
- 受験者は、その国の英語話者全体を代表する集団ではない
ETSは「TOEFLは個人のレベルでは正確なスコアを出すが、国どうしを比べる用途には向かない」と書いている。
4つ目がいちばん大きい。TOEFLは主に海外の大学・大学院への出願で使われる試験なので、受験する層が国によってまるで違う。留学希望者が人口比で少なく、国内進学が主流の国では、受験者の幅が広くなりやすい。逆に、限られた層だけが受ける国では平均が上がりやすい。実際、2024年のデータではドイツが100点、スイスが100点、オーストリアが102点と高いが、これらの国で英語力が測られている集団と、日本で受けている集団が同じ性質だとは言えない。ここは推測を書く場所ではないので、「受験者層が違うので単純比較はできない」という一次資料の但し書きまでにとどめる。
TOEFL受験者は何のために受けているか
ETSは、受験者が申告した「TOEFLを受ける主な理由」ごとにスコアを集計している。人数は公表されていないが、グループごとの平均スコアは公表されている。
| 受験の目的 | 合計平均 | Reading | Listening | Speaking | Writing |
|---|---|---|---|---|---|
| 大学院(ビジネス以外)への進学 | 88 | 22.8 | 22.9 | 21.0 | 21.6 |
| ビジネススクールへの進学 | 87 | 22.6 | 22.6 | 20.7 | 21.4 |
| 4年制大学への進学 | 85 | 21.4 | 21.6 | 20.8 | 21.0 |
| 移住のため | 85 | 21.2 | 22.0 | 20.7 | 20.9 |
| 就職のため | 84 | 21.3 | 21.8 | 20.4 | 20.6 |
| 資格・免許のため | 84 | 21.0 | 21.5 | 20.6 | 20.5 |
| 語学学校への入学 | 83 | 21.1 | 21.1 | 20.0 | 20.3 |
| 高校への進学 | 81 | 20.0 | 20.7 | 20.3 | 20.3 |
| 2年制大学への進学 | 77 | 19.1 | 19.9 | 19.2 | 19.3 |
| その他 | 85 | 22.1 | 22.0 | 19.6 | 20.9 |
いちばん高いのは大学院進学の88点、いちばん低いのは2年制大学進学の77点で、その差は11点ある。全体平均の86点は、この10グループのうち大学院・ビジネススクールの層に引っ張られた位置にある。自分の目標が大学院なら、比べる相手は86点ではなく88点ということになる。
TOEFLの男女別の平均スコア
性別を回答した受験者だけを対象にした集計も公表されている。合計は男性85.7点、女性85.6点でほぼ同じだが、セクションごとに見ると差が出る。
| 区分 | Reading | Listening | Speaking | Writing | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 男性 | 22.4 | 22.1 | 20.2 | 21.0 | 85.7 |
| 女性 | 21.4 | 22.0 | 21.0 | 21.1 | 85.6 |
| 差(編集部が計算) | +1.0 | +0.1 | -0.8 | -0.1 | +0.1 |
Readingは男性が1.0点高く、Speakingは女性が0.8点高い。合計ではほぼ並ぶが、内訳では逆向きの差があるという形である。なお差の列は編集部がETSの表から引き算したもので、ETSが差として公表している数字ではない。
TOEFLと他の英語試験で公表の姿勢が違う
受験者数を公表しているかどうかは、試験によって分かれる。国内で実施されている試験は実数を出し、国際的に実施されている試験はスコアの分布だけを出す、という傾向がある。
| 試験 | 受験者数の公表 | 直近の公表値 | 対象期間 |
|---|---|---|---|
| 英検(実用英語技能検定ほか) | 公表 | 志願者数 4,543,122人 | 2025年度 |
| 英検(前年度) | 公表 | 志願者数 4,489,999人 | 2024年度 |
| TOEIC L&R(公開テスト) | 公表 | 735,425人 | 2024年度 |
| TOEIC L&R(IPテスト) | 公表 | 1,041,495人 | 2024年度 |
| TOEFL iBT | 非公表 | 累計4,000万人以上のみ | ― |
| IELTS | 非公表 | スコア分布のみ公表 | 2024〜2025年 |
英検は2025年度の志願者数が4,543,122人(実用英語技能検定・英検IBA・英検Jr.の合算)で、前年度の4,489,999人から増えている。TOEICは2024年度のL&Rが公開テストとIPテストを足して1,776,920人(編集部が計算)、平均スコアは公開テスト615点・IPテスト495点だった。一方IELTSは、公表しているのがスコア分布のみで、受験者数の総数は出していない。しかもIELTS側の資料には「国籍や母語の表は受験者数の多い順ではなくアルファベット順に並べている」という但し書きが付いており、人数の情報をあえて出さない姿勢がTOEFLと共通している。
TOEFLの数字で最後に確認しておくこと
- TOEFL iBTの年間受験者数は、ETSも日本事務局も公表していない
- 公表されているのは累計4,000万人以上、日本は2000年以降130万人以上
- 文部科学省の資料でも、TOEFL iBTの国内受験人数は「非公表」と記載
- 2024年の全受験者の平均は合計86点(R 21.9/L 22.1/S 20.7/W 21.1)
- 母国別の平均は日本が72点、韓国86点、台湾86点、中国85点
- ETS自身が「国別スコアでの順位づけはデータの誤用」と明記している
- 受験目的別では大学院進学が88点、2年制大学進学が77点で11点差
- ETS『TOEFL iBT Test and Score Data Summary 2024』(2024年1月〜12月の受験データ、2025年発行)=平均スコア、標準偏差、パーセンタイル順位、母国別・母語別・男女別・受験目的別の平均、30人未満は非公表の注記、国別順位づけに関するETSの注意書き。確認日2026年9月21日
- ETS公式サイト(TOEFLトップページ)=累計4,000万人以上、13,000以上の機関、160か国以上。確認日2026年9月21日
- TOEFLテスト日本事務局(CIEE)『TOEFL基本情報』=累計4,000万人以上、日本は2000年のTOEFL CBT導入以降130万人以上、TOEFL ITPは全国500以上の団体・約22万人。確認日2026年9月21日
- 文部科学省『主な英語の資格・検定試験』(資料7-2、2016年3月25日版)=TOEFL iBTの国内受験人数「非公表」、年間実施回数40〜45回。確認日2026年9月21日
- 公益財団法人日本英語検定協会『受験の状況』=2025年度志願者数4,543,122人、2024年度4,489,999人。確認日2026年9月21日
- 一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会『TOEIC Program DATA & ANALYSIS 2025』(2025年11月7日発表、2024年度データ)=TOEIC L&R公開テスト735,425人・IPテスト1,041,495人、平均スコア公開615点・IP495点。確認日2026年9月21日
- IELTS公式サイト『Test Statistics』=2024〜2025年のスコア分布を公表、受験者数の総数は非公表、国籍別はアルファベット順という但し書き。確認日2026年9月21日
TOEFLについて「年間何人が受けているか」を知りたい場合、答えは「公表されていないので分からない」になる。代わりに公表されているのは、その年に受けた人たちがどんなスコアを取ったかという分布のほうである。自分の位置を知りたいのであれば、人数よりも、目的別の平均(大学院なら88点、学部なら85点)とパーセンタイル順位の表を見るほうが具体的な目安になる。数字はいずれもETSが毎年更新するので、次の年版が出たら差し替えて確かめてほしい。
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