
文部科学省の「教科書目録(令和8年度使用)」に載っている英語の検定教科書は、小学校が6種類16点、中学校が6種類18点、高等学校が6科目あわせて124点である。中学校の英語教科書を出している発行者は6社(東京書籍・開隆堂出版・三省堂・教育出版・光村図書出版・啓林館)で、この6社以外の検定教科書は存在しない。
この記事は、文部科学省が公表している教科書目録・教科書検定結果、および東京都・千葉県・埼玉県の各教育委員会が公表している教科書採択結果を並べ直したものである。数字は2026年9月21日に各公式サイトで確認した。確認が取れなかったものは載せていない。なお、発行者別の全国採択シェアは公的機関から公表されていないため、後半では公表されている都県単位の採択結果を編集部が数えた集計で示す。
英語の検定教科書は小・中・高であわせて何点あるのか
教科書目録は、その年度に発行される予定の検定済教科書を文部科学省が全部並べた冊子である。令和8年度使用の目録に載っている英語の数は次のとおり。高等学校は「英語コミュニケーションⅠ〜Ⅲ」と「論理・表現Ⅰ〜Ⅲ」の6科目があり、その合計は124種類124点になる(6科目の足し算は編集部が計算したもの)。
| 校種 | 英語の種類数 | 英語の点数 | 全教科の種類数 | 全教科の点数 | 英語が占める割合(点数ベース) |
|---|---|---|---|---|---|
| 小学校 | 6種類 | 16点 | 54種類 | 259点 | 6.2% |
| 中学校 | 6種類 | 18点 | 71種類 | 142点 | 12.7% |
| 高等学校(第1部・小計) | 124種類 | 124点 | 681種類 | 711点 | 17.4% |
小学校の目録に載っている発行者は全部で16者、中学校は22者だが、そのうち英語を出しているのはどちらも6社だけである。校種が上がるほど点数は増え、高等学校では全711点のうち124点(17.4%)が英語という構成になる。割合は編集部が計算したものである。
教科書目録では、同じシリーズでも学年ごと・分冊ごとに1点と数える。中学校の英語が「6種類18点」なのは、6シリーズがそれぞれ1年・2年・3年の3冊に分かれているためである。小学校の16点には、本体のほかに単語集や絵辞典として別冊になっているものが含まれる。
英語の中学校教科書6種類は、どの発行者が何を出しているのか
令和8年度使用の中学校用教科書目録に載っている英語は、次の6シリーズ18点がすべてである。検定済年はいずれも令和6年、判型はA4またはAB判で、18点すべてに拡大教科書と学習者用デジタル教科書の発行予定を示す記号が付いている。
| 発行者(略称) | 書名 | 判型 | 1年のページ数 | 2年のページ数 | 3年のページ数 | 3学年合計 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 東京書籍 | NEW HORIZON English Course | A4 | 170 | 158 | 158 | 486 |
| 開隆堂出版 | Sunshine English Course | A4 | 182 | 166 | 166 | 514 |
| 三省堂 | NEW CROWN English Series | A4 | 188 | 172 | 172 | 532 |
| 教育出版 | ONE WORLD English Course | AB | 182 | 182 | 182 | 546 |
| 光村図書出版 | Here We Go! ENGLISH COURSE | AB | 194 | 194 | 194 | 582 |
| 啓林館 | BLUE SKY English Course | A4 | 166 | 170 | 154 | 490 |
3学年を通したページ数を足すと、いちばん多い光村図書出版が582ページ、いちばん少ない東京書籍が486ページで、その差は96ページになる。3学年合計は編集部が目録のページ数を足して計算したものである。予定定価は6社18点すべて同じで1冊360円である。
英語の高等学校教科書は6科目で124点ある
高等学校の英語は、平成30年告示の学習指導要領で「英語コミュニケーションⅠ・Ⅱ・Ⅲ」と「論理・表現Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」の6科目に整理されている。令和8年度使用の高等学校用教科書目録に載っている点数は次のとおりで、いちばん点数が多いのは英語コミュニケーションⅠの28点である。
| 科目 | 種類数 | 点数 |
|---|---|---|
| 英語コミュニケーションⅠ | 28種類 | 28点 |
| 英語コミュニケーションⅡ | 23種類 | 23点 |
| 英語コミュニケーションⅢ | 22種類 | 22点 |
| 論理・表現Ⅰ | 21種類 | 21点 |
| 論理・表現Ⅱ | 17種類 | 17点 |
| 論理・表現Ⅲ | 13種類 | 13点 |
| 6科目の合計(編集部が計算) | 124種類 | 124点 |
学年が進むほど点数は減っていき、英語コミュニケーションはⅠの28点からⅢの22点へ、論理・表現はⅠの21点からⅢの13点へと少なくなる。中学校が6種類しかないのに対し、高等学校では同じ科目のなかに20点以上が並ぶ点が大きく違う。
英語コミュニケーションⅠは11社が28点を出している
高等学校でいちばん点数の多い英語コミュニケーションⅠについて、目録に載っている28点を発行者ごとに数えると11社になる。次の表は編集部が目録の記載を1点ずつ数えたものである。啓林館の6点が最多で、東京書籍の4点が続く。
| 発行者 | 英語コミュニケーションⅠの点数 | 28点に占める割合 |
|---|---|---|
| 啓林館 | 6点 | 21.4% |
| 東京書籍 | 4点 | 14.3% |
| 開隆堂出版 | 3点 | 10.7% |
| 三省堂 | 3点 | 10.7% |
| 数研出版 | 3点 | 10.7% |
| 第一学習社 | 3点 | 10.7% |
| 大修館書店 | 2点 | 7.1% |
| 文英堂 | 1点 | 3.6% |
| 増進堂 | 1点 | 3.6% |
| 桐原書店 | 1点 | 3.6% |
| いいずな書店 | 1点 | 3.6% |
この28点のうち24点は検定済年が令和7年、残る4点は令和3年で、古い検定を通った教科書が目録に残り続けている形になる。割合は編集部が計算したものである。
これは「発行されている点数」の内訳であって、実際に学校で使われている数ではない。1社が複数のシリーズを難度別に出している場合もあるため、点数が多いことと採択が多いことは別の話になる。
英語の小学校教科書は6社16点で、単語集が別冊になる社もある
小学校の英語は5年生・6年生で教科として扱われる。令和8年度使用の小学校用教科書目録に載っているのは6社16点で、検定済年はいずれも令和5年である。本体のほかに単語集や絵辞典を別冊で出している社があるため、社ごとの点数が2点から4点までばらつく。
| 発行者 | 書名 | 点数 | 本体の予定定価 |
|---|---|---|---|
| 東京書籍 | NEW HORIZON Elementary English Course(別冊の絵辞典あり) | 3点 | 292円 |
| 開隆堂出版 | Junior Sunshine(学年ごとに別冊の単語集あり) | 4点 | 294円 |
| 三省堂 | CROWN Jr.(別冊の辞典あり) | 3点 | 337円 |
| 教育出版 | ONE WORLD Smiles | 2点 | 374円 |
| 光村図書出版 | Here We Go! | 2点 | 374円 |
| 啓林館 | Blue Sky elementary | 2点 | 374円 |
小学校・中学校・高等学校のいずれでも、東京書籍・開隆堂出版・三省堂・教育出版・光村図書出版・啓林館の6社は英語を出し続けている。一方で高等学校だけに出ている社(数研出版・第一学習社・大修館書店・文英堂・増進堂・桐原書店・いいずな書店)もある。
英語教科書の採択結果を東京・千葉・埼玉の公表資料で数えた
どの教科書を使うかは、市区町村の教育委員会などが置かれた採択地区ごとに決まり、その結果は各教育委員会が公表している。ここでは公立中学校の英語について、東京都教育委員会が公表した54採択地区、埼玉県が公表した25採択地区、千葉県が公表した18の採択地区等、あわせて97単位の採択結果を編集部が1件ずつ数えた。
| 発行者 | 東京都(54) | 千葉県(18) | 埼玉県(25) | 合計(97) | 97に占める割合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 光村図書出版 | 19 | 1 | 7 | 27 | 27.8% |
| 東京書籍 | 15 | 4 | 6 | 25 | 25.8% |
| 開隆堂出版 | 3 | 7 | 10 | 20 | 20.6% |
| 三省堂 | 16 | 2 | 2 | 20 | 20.6% |
| 教育出版 | 1 | 3 | 0 | 4 | 4.1% |
| 啓林館 | 0 | 1 | 0 | 1 | 1.0% |
3都県をまとめると光村図書出版の27単位が最多で、東京書籍25、開隆堂出版20、三省堂20と続く。ただし同じ3社でも都県によって順位は入れ替わり、東京都では光村図書出版19・三省堂16・東京書籍15の順、埼玉県では開隆堂出版10・光村図書出版7・東京書籍6の順、千葉県では開隆堂出版7・東京書籍4・教育出版3の順になる。
東京都は令和7〜10年度使用の公立中学校、埼玉県は令和7〜10年度使用の市町村立中学校等、千葉県は令和7年度使用の県立・市町村立中学校および中等教育学校(前期課程)の公表資料を用いた。数えた単位は「採択地区・学校」であって生徒数ではない。人口の多い市と小さな町村が同じ1として数えられているため、この割合は生徒数ベースのシェアとは一致しない。
英語教科書の全国シェアは、公的機関から公表されていない
公的機関のサイトには、発行者別の全国需要数・シェアの一覧が置かれていない。文部科学省には「令和8年度使用教科書に係る採択及び需要数報告」というページがあるが、そこにあるのは教育委員会が需要数を報告するための手続きの案内であり、集計後の発行者別需要数そのものは掲載されていない。
したがって本記事では、全国シェアという数字は出していない。代わりに確認できたのは、文部科学省が公表する「発行される点数」と、各教育委員会が公表する「採択地区ごとの結果」の2つである。この2つはどちらも実数だが、掛け算してシェアにすることはできない。都県単位の集計を全国に当てはめて語ることも、材料としては足りない。
英語の教科書が検定を通った点数は、年度ごとに公表されている
教科書は検定を通らなければ発行できない。文部科学省は毎年3月に検定結果の概要を公表しており、教科・種目ごとの受理点数と合否が載っている。英語に関する直近3年分は次のとおりで、この3年で英語の不合格は0点である。
| 検定 | 公表 | 対象 | 種目 | 受理点数 | 合格 | 不合格 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 令和5年度検定 | 令和6年3月 | 中学校 | 外国語(英語) | 6点 | 6点 | 0点 |
| 令和5年度検定 | 令和6年3月 | 高等学校 | 英語コミュニケーションⅢ | 1点 | 1点 | 0点 |
| 令和6年度検定 | 令和7年3月 | 高等学校 | 英語コミュニケーションⅠ | 24点 | 24点 | 0点 |
| 令和6年度検定 | 令和7年3月 | 高等学校 | 論理・表現Ⅰ | 17点 | 17点 | 0点 |
| 令和7年度検定 | 令和8年3月 | 高等学校 | 英語コミュニケーションⅡ | 24点 | 24点 | 0点 |
| 令和7年度検定 | 令和8年3月 | 高等学校 | 論理・表現Ⅱ | 17点 | 17点 | 0点 |
検定全体で見ると、令和6年度検定は受理254点・合格253点・不合格1点、令和7年度検定は受理224点・合格220点・不合格4点だった。令和7年度検定の外国語は受理41点すべてが合格で、不合格4点はいずれも地理歴史科のものである。
検定結果の概要に出てくる点数と、教科書目録の点数は、数え方がそろっていない種目がある。たとえば中学校の英語は検定結果では6点、目録では18点と書かれている。編集部はどちらも出典の表記どおりに載せており、両者を足したり引いたりはしていない。
英語の教科書の定価は校種と科目で決まっている
教科書の定価は文部科学大臣の認可制で、目録には予定定価が載る。英語については、同じ科目なら発行者が違っても定価は同じになっている。中学校の英語は18点すべてが360円、高等学校の英語コミュニケーションⅠは28点すべてが729円である。
| 区分 | 予定定価 | 対象の点数 |
|---|---|---|
| 小学校 英語(本体) | 292円〜374円 | 10点 |
| 小学校 英語(単語集・絵辞典など別冊) | 37円〜80円 | 6点 |
| 中学校 英語 | 360円 | 18点 |
| 高等学校 英語コミュニケーションⅠ | 729円 | 28点 |
教科書目録の「予定定価」欄と、文部科学省の定価認可のお知らせには、その金額が税込なのか税抜なのかを示す表記が見当たらなかった。編集部は判断を加えず、目録に書かれている数字をそのまま転記している。
小学校の本体だけが292円から374円まで分かれており、これはページ数や判型の違いを反映したものと読める。中学校と高等学校では、発行者による価格差は目録上は生じていない。点数の内訳は編集部が目録から数えたものである。
英語の教科書データを見るときに最後に確認しておくこと
- 令和8年度使用の英語の検定教科書は、小学校6種類16点・中学校6種類18点・高等学校6科目124点。
- 中学校の英語を出している発行者は6社で、この6社以外の検定教科書は目録に無い。
- 高等学校の英語コミュニケーションⅠは11社28点で、啓林館の6点が最多。
- 東京・千葉・埼玉の公表資料97単位を数えると、光村図書出版27・東京書籍25・開隆堂出版20・三省堂20・教育出版4・啓林館1。
- この97単位の集計は生徒数で重みづけしていないため、全国シェアではない。
- 発行者別の全国採択シェアは、公的機関から公表されていない。
- 令和5・6・7年度の検定で、英語の不合格は0点。
- 文部科学省「小学校用教科書目録(令和8年度使用)」令和7年4月/確認日2026年9月21日
- 文部科学省「中学校用教科書目録(令和8年度使用)」令和7年4月/確認日2026年9月21日
- 文部科学省「高等学校用教科書目録(令和8年度使用)」令和7年4月/確認日2026年9月21日
- 文部科学省「令和5年度教科書検定結果の概要(別紙)」令和6年3月公表/確認日2026年9月21日
- 文部科学省「令和6年度教科書検定結果の概要(別紙)」令和7年3月公表/確認日2026年9月21日
- 文部科学省「令和7年度教科書検定結果の概要(別紙)」令和8年3月公表/確認日2026年9月21日
- 文部科学省「令和8年度使用教科書に係る採択及び需要数報告」/確認日2026年9月21日
- 東京都教育委員会「令和7〜10年度使用教科書採択地区別の採択結果(公立中学校)」/確認日2026年9月21日
- 千葉県教育委員会「令和7年度使用県立・市町村立中学校及び中等教育学校(前期課程)教科書の採択状況一覧」/確認日2026年9月21日
- 埼玉県教育委員会「令和7〜10年度使用 中学校用教科用図書採択一覧(市町村立中学校等)」/確認日2026年9月21日
英語の検定教科書は、点数だけを見れば小学校16点・中学校18点・高等学校124点という小さな世界である。しかし「どれがいちばん使われているか」を全国規模の実数で示す資料は、2026年9月21日の時点では公的機関のサイト上に見当たらなかった。数字が公表されたら、この記事の集計も差し替えていく。
コメント