MENU

留学ビザの発給数は年間何件?国別の公表データ

留学ビザの年間発給件数がイギリス431,725件・オーストラリア371,564件・カナダ380,525件であることを各国政府の統計から並べた、AI語学の解説記事のアイキャッチ
留学ビザの年間発給件数がイギリス431,725件・オーストラリア371,564件・カナダ380,525件であることを各国政府の統計から並べた、AI語学の解説記事のアイキャッチ

主要な留学先が政府として公表している年間の発給件数は、イギリスが431,725件(2025年6月までの1年間)、オーストラリアが371,564件(2024〜25年度)、カナダが380,525件(2025年の暦年に開始した就学許可)である。いずれも各国政府の統計サイトに件数そのものが載っている数字で、推計値ではない。

この記事は、英国内務省・豪州内務省・カナダ移民難民市民権省(IRCC)・米国国土安全保障省統計局(OHSS)・出入国在留管理庁が公表している数字を並べ直したものである。数字は2026年9月21日に各機関のサイトで確認した。確認が取れなかったものは載せていない。割り算や引き算をした箇所は「編集部が計算した」と明記している。

目次

留学ビザの発給数は主要国で年間何件か

まず結論の表を置く。3か国だけで年間およそ118万件が出ている計算になるが、後述するとおり各国で数え方も期間の区切りも違うため、この合計そのものに意味を持たせてはいけない。

国公表されている件数対象期間その国が使っている名称
イギリス431,725件2025年6月までの12か月Sponsored study visa grants
オーストラリア371,564件2024〜25年度(7月〜翌6月)Student visa grants
カナダ380,525件2025年(暦年)Study permit holders(許可の開始年で集計)
アメリカ(発給数は本記事の確認日に取得できず)—F-1/M-1 visa issuances
日本435,203人(在留者数であり発給数ではない)2025年6月末時点在留資格「留学」

この表を見た時点で、すでに3つの落とし穴が見えている。①期間の区切りが3通りあること、②イギリスは家族分を含み、カナダは人数ベースであること、③日本の数字だけが「その日に国内にいる人の数」であることだ。順に数字で確かめていく。

この記事で扱わないもの

アメリカ国務省の査証発給統計(F-1/M-1)は、2026年9月21日の確認時点で当該サイトにアクセスできず、件数を取得できなかった。取得できていない数字を推定で埋めることはしないため、アメリカについては国土安全保障省が公表している別系統の数字だけを後段に載せている。

留学ビザの「発給数」は国ごとに定義が違う

同じ「留学ビザの発給数」という言葉でも、各国の統計が数えている対象は同じではない。ここを揃えずに比較した数字は、ほぼ必ずどこかが狂う。

国数えている単位家族(帯同者)の扱い年度の区切り
イギリスビザの発給件数(grants)本人と扶養家族を分けて公表し、合計も出す任意の12か月(四半期ごとに移動)
オーストラリアビザの発給件数(grants)学生ビザの中に家族が含まれる会計年度=7月1日〜翌6月30日
カナダ就学許可を持つ人数(延べ人数ではない)家族は別の許可のため含まない暦年=1月1日〜12月31日
アメリカ(入国者数)入国した回数(I-94の記録数)F-2などは別区分会計年度=10月1日〜翌9月30日
日本その時点で在留している人数「家族滞在」は別の在留資格6月末・12月末の時点集計

とくに注意が要るのが、カナダは「件数」ではなく「人数」で、アメリカの入国者数は「回数」だという点だ。回数で数えると、学期の合間に一度出国して戻った学生は2回とカウントされる。1人の学生が1年で複数回計上されるため、人数や件数と並べて比較することはできない。

留学ビザの発給数:イギリスは年間431,725件

英国内務省の移民統計(2025年6月までの1年)によると、スポンサー付き就学ビザ(sponsored study visa)の発給は431,725件で、前年同期より18%少なく、2019年より52%多い。

区分2025年6月までの1年前年同期比
合計431,725件−18%
本人(main applicants)413,921件−4%
扶養家族(dependants)17,804件−81%
(参考)在留期間の延長・本人35,181件前年は34,879件
(参考)在留期間の延長・家族5,985件−9%

この表でいちばん動いているのは家族の欄である。扶養家族が1年で81%減となり、合計に占める割合は4.1%まで下がった(431,725件のうち17,804件。編集部が計算した)。本人分が4%減にとどまっているため、合計の18%減は大半が家族分の減少で説明できる。

なお英国内務省は、就学ルート全体の入国査証発給を435,891件とも公表している。431,725件はスポンサー付き就学ビザに限った数であり、同じ資料の中でも対象の取り方によって数字が変わる。どちらの数字を引くのかを決めずに議論すると噛み合わない。

イギリスの数字で押さえる点
  • 申請の約9割が高等教育機関(大学など)向けである
  • 上位5か国で全体の66%を占める
  • 「年」は1月〜12月ではなく、任意の12か月で区切られている

留学ビザの発給数:オーストラリアは年間371,564件

豪州内務省の年次資料(Australia’s Migration Trends 2024–25)によると、2024〜25年度の学生ビザ発給は371,564件。前年度の376,731件から1.4%(5,167件)減り、過去最多だった2022〜23年度の577,295件からは35.6%(205,731件)減っている。コロナ前の2017〜18年度は378,292件だったので、ほぼその水準に戻った形だ。

区分2022〜23年度2023〜24年度2024〜25年度前年度比
高等教育300,144227,230233,570+2.8%
職業教育訓練(VET)153,04365,61666,606+1.5%
語学(Independent ELICOS)74,62739,02027,061−30.6%
非学位課程17,43217,66317,279−2.2%
大学院研究16,79812,79613,042+1.9%
初等中等学校10,6919,7789,075−7.2%
外務・国防関係4,5604,6284,931+6.5%
合計577,295376,731371,564−1.4%

合計の1.4%減という小さな数字の内訳を見ると、語学コース(ELICOS)だけが30.6%減(11,959件減)と突出して落ちており、高等教育の2.8%増(6,340件増)がそれを打ち消している。英語学習の観点でいえば、減っているのは語学留学の側だと読める。

もうひとつ、オーストラリアの統計は「どこで申請したか」を分けて出している。国外からの申請に対する発給は234,040件で12.9%(34,757件)減った一方、オーストラリア国内での発給は137,524件で27.4%増えた。国外分は全体の63.0%にあたる(234,040÷371,564。編集部が計算した)。

留学ビザの発給数:カナダは年間380,525人

カナダのIRCCは、就学許可(study permit)を「許可の開始年」で集計したオープンデータを公開している。2026年9月21日に取得した版(2015年1月〜2026年7月)では、年ごとの実人数は次のとおりだった。

年(暦年)就学許可が開始した実人数
2019年400,570人
2022年547,975人
2023年680,650人
2024年514,625人
2025年380,525人
2026年1〜7月174,440人

ピークの2023年から2025年までで300,125人(44.1%)減した(680,650−380,525。編集部が計算した)。2019年の400,570人と比べても下回っており、コロナ前の水準を割り込んでいる。

カナダの数字の丸め方

IRCCのこのデータは、個人が特定されないよう5人単位に丸めて公表されている。5人未満のセルは「–」と伏せられる。したがって国別の数字を足し上げても合計と一致しないことがあり、1人単位の精度では読めない。

留学ビザに相当する米国F-1の数字は「入国回数」で出ている

アメリカについては、国務省の査証発給統計を本記事の確認日に取得できなかった。代わりに、国土安全保障省統計局が公表している入国記録(I-94)の数字を載せる。これは入国した回数であり、発給された査証の件数でも、人数でもない。

会計年度学生計F-1(学術)M-1(職業)
2019年度1,907,1801,817,72018,390
2020年度918,440876,1609,450
2021年度798,980758,4607,870
2022年度1,264,2901,199,0909,890
2023年度1,700,2801,625,74011,770
2024年度1,892,9101,816,48012,500

2024会計年度のF-1入国は1,816,480回で、2019年度の1,817,720回とほぼ同じ水準に戻っている。同年度のI-94入国記録の総数は77,646,290件なので、学生はそのうち2.4%にあたる(1,892,910÷77,646,290。編集部が計算した)。

繰り返すが、この数字をイギリスの431,725件やカナダの380,525人と同じ土俵に並べてはいけない。1人の学生が年に3回出入国すれば3回として数えられるため、桁がひとつ違って見えるのは当然である。

留学ビザで日本に在留している外国人は435,203人

日本側の数字も確認しておく。出入国在留管理庁の発表(2025年6月末現在)によると、在留資格「留学」の在留外国人数は435,203人で、前年末より33,069人増えた。

在留資格2025年6月末前年末比
永住者932,090人+13,974人
技術・人文知識・国際業務458,109人+39,403人
技能実習449,432人−7,163人
留学435,203人+33,069人
特定技能336,196人+51,730人
在留外国人の総数3,956,619人+187,642人(+5.0%)

ここで最も間違えやすいのは、この435,203人は「1年間に出された数」ではなく「その日に日本にいる人の数」だという点である。4年制大学に通う学生は4年分が毎年カウントされるので、発給件数よりも大きく出る性質がある。イギリスの431,725件と数字が近いことに意味はない。

留学ビザの国別内訳は中国とインドが上位を占める

国別に見ると、どの受け入れ国でも上位は中国とインドで固まっている。ただし順位と比率は国によってはっきり違う。

イギリスの上位国

本人分413,921件の内訳は、中国が99,919件(24%・前年比−7%)、インドが98,014件(24%・同−11%)、パキスタンが37,013件(9%・同+9%)。中国とインドだけで本人分の47.8%を占める(197,933÷413,921。編集部が計算した)。ナイジェリアは25%減、アメリカ国籍は7%増と公表されているが、件数そのものは当該ページに記載がないため、ここには載せない。

オーストラリアの上位国

国籍2023〜24年度2024〜25年度前年度比
中国90,57388,014−2.8%
インド50,51648,536−3.9%
ネパール19,39731,869+64.3%
コロンビア15,83915,408−2.7%
ブラジル12,83514,775+15.1%
バングラデシュ10,14313,821+36.3%
ベトナム15,43612,251−20.6%
インドネシア10,25111,103+8.3%
フィリピン13,65110,244−25.0%
スリランカ9,3609,942+6.2%
その他128,730115,601−10.2%

上位3か国(中国・インド・ネパール)で全体の45.3%を占める。全体が1.4%減った年に、ネパールだけが12,472件増(+64.3%)と逆方向に動いているのが目立つ。

カナダの上位国

国籍2023年2024年2025年
インド277,940188,11593,735
中国58,00056,12548,740
ナイジェリア37,46026,43025,335
フィリピン33,74524,66019,835
フランス15,38013,68513,315
ベトナム10,73010,5009,715
イラン14,72510,9009,080
韓国10,4558,4458,720
アメリカ7,6806,7708,450
メキシコ11,3558,3257,905

カナダで起きているのはほぼインド一国の変動である。2023年に277,940人だったインドは2025年に93,735人となり、2年で66.3%減った(編集部が計算した)。全体の減少幅300,125人のうち、インドだけで184,205人分を占めている計算になる。全体に占めるインドの割合も、2023年の40.8%から2025年の24.6%へ下がった。

留学ビザの発給数はどこまで減ったのか

3か国とも直近の1年で前年を下回っているが、減り方のスピードには差がある。ピーク年を基準に並べ直すと次のようになる。

国直近1年ピーク(年)ピークからの減少
イギリス431,725件—(前年比−18%と公表)前年比−18%
オーストラリア371,564件577,295件(2022〜23年度)−205,731件(−35.6%)
カナダ380,525人680,650人(2023年)−300,125人(−44.1%)

減少幅がいちばん大きいのはカナダで、2年で44.1%落ちた。オーストラリアは2年で35.6%落ちたが、直近1年に限れば1.4%減とほぼ横ばいに戻っている。「減り続けている」のか「落ちきって止まった」のかは、国ごとに答えが違うということになる。

イギリスについては、内務省が公表している比較が「前年同期比−18%」と「2019年比+52%」の2つであり、ピーク年からの減少率は当該ページに記載がない。そのため表では前年比だけを載せている。

留学ビザの数字を読むときに間違えやすい4点

発給数と在籍者数は別

発給数は1年間に出た件数、在籍者数はある時点で国内にいる人の数である。在籍者数は在学年数ぶん積み上がるので、通常は発給数より大きくなる。日本の435,203人と、イギリスの431,725件を並べて「ほぼ同じ規模」と言うのは誤りになる。

年度の区切りが国ごとに違う

オーストラリアは7月〜翌6月、アメリカは10月〜翌9月、カナダは1月〜12月、イギリスは任意の12か月で区切る。同じ「2025年の数字」でも、対象になっている12か月は国ごとにずれている。

本人と家族を分けて読む

イギリスは本人413,921件と扶養家族17,804件を分けて公表している。家族を含む合計と本人だけの数を取り違えると、前年比の読み方まで変わる。実際、合計は18%減だが本人だけなら4%減である。

丸めと伏せ字に注意する

カナダのオープンデータは5人単位に丸められ、少人数のセルは伏せられる。国別を足し上げても合計に一致しないことがあるため、差分を細かく論じる用途には向かない。

留学ビザで最後に確認しておくこと

この記事の要点
  • イギリス431,725件(2025年6月までの1年)、オーストラリア371,564件(2024〜25年度)、カナダ380,525人(2025年)が、各国政府が公表している直近の数字である
  • 3か国とも直近1年で前年を下回った。減少幅はカナダがピーク比44.1%減で最大、オーストラリアは直近1年では1.4%減にとどまる
  • 上位国はイギリスとオーストラリアが中国、カナダがインド。カナダの減少はほぼインド一国の変動で説明がつく
  • アメリカの数字は入国回数(2024年度のF-1が1,816,480回)であり、件数・人数とは並べられない
  • 日本の435,203人は在留者数であって発給数ではない
この記事の数字の出どころ

英国内務省「Immigration system statistics, year ending June 2025」内の解説ページ Why do people come to the UK – Study? および How many people come to the UK each year?(2025年6月までの12か月)。

豪州内務省「Australia’s Migration Trends 2024–25」学生ビザ発給の章、表17・表18・表19(2024〜25年度=2024年7月1日〜2025年6月30日)。

カナダ移民・難民・市民権省(IRCC)オープンデータ「Canada – Study permit holders by country of citizenship and year in which permit(s) became effective」2015年1月〜2026年7月版。5人単位に丸めた数値。

米国国土安全保障省 統計局(OHSS)「Yearbook of Immigration Statistics 2024」Table 26 Nonimmigrant Admissions by Class of Admission: Fiscal Years 2015 to 2024(会計年度=10月1日〜翌9月30日)。

出入国在留管理庁「令和7年6月末現在における在留外国人数について」(基準日2025年6月末)。

なお、米国国務省の査証発給統計(F-1/M-1)は2026年9月21日の確認時点で当該サイトにアクセスできず、発給件数を取得できなかった。推定値は載せていない。

留学ビザの発給数は、国ごとに単位も期間も違うまま公表されている。数字を引くときは、件数か人数か回数か、期間はどこからどこまでか、家族を含むかどうかの3点をセットで控えておくと、あとから別の資料と突き合わせたときに齟齬が出にくい。各機関は四半期または年単位で更新しているため、最新の値はそれぞれの統計ページで確認してほしい。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次