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転職でTOEICの点数は何点必要?公表されている基準を全部並べた

転職でTOEICの点数が「必須」になっている会社は、実はごく一部です。中途採用でTOEICスコアを要件としている企業は10.2%、参考としている企業が43.6%、まったく利用していない企業が38.4%でした。

この記事は、転職とTOEICの点数について公表されている数字だけを並べたものです。出どころはIIBC(一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会)の「英語活用実態調査2019【企業・団体】」と「TOEIC Program DATA & ANALYSIS 2025」、および人事院の公表資料で、2026年9月7日に取得しました。

目次

転職でTOEICの点数は「要件」より「参考」で見られている

まず結論です。転職の選考でTOEICスコアを合否の条件にしている企業は1割で、大半は参考情報として見ています。

採用区分 要件としている 参考としている 新たに要件・参考とする可能性がある 利用していない
新卒採用 4.2% 44.9% 6.3% 44.5%
英語を使用する部署の中途採用 10.2% 43.6% 7.4% 38.4%

中途採用のほうが「要件としている」割合が新卒の2.4倍です。即戦力を採る場面ほど、点数が条件に格上げされているという読み方ができます。

ただし調査対象は「英語を使用する部署の中途採用」です。英語を使わない部署の求人まで含めた数字ではないので、そこは切り分けて読んでください(回答企業数n=528)。

転職の中途採用で企業が要件・参考にするTOEICの点数は平均620点

では実際に何点を見ているのか。IIBCは採用区分ごとの平均値を公表しています。

場面 要件・参考とするTOEIC L&Rスコア(平均) 回答企業数
新卒採用 545点 n=128
英語を使用する部署の中途採用 620点 n=139
海外出張者の選抜 620点 n=81
海外赴任者の選抜 635点 n=122

転職での620点という数字は、海外出張者の選抜基準とまったく同じ水準です。新卒の545点とは75点の差があります。

よく言われる「転職なら730点」「800点は欲しい」という数字は、この調査には出てきません。IIBCが公表しているのは上の平均値だけです。

転職後の昇進・昇格で求められるTOEICの点数は役職で上下する

入社後の話も同じ調査に入っています。役職ごとに「要件・参考とするスコア」の平均が出ています。

役職 要件・参考とするTOEIC L&Rスコア(平均) 要件としている 参考としている 利用していない
係長・主任 515点 10.8% 17.0% 56.3%
課長 565点 10.2% 18.2% ―
部長 600点 11.4% 13.8% 61.4%
役員 530点 8.9% 14.0% 67.2%

係長・主任の515点から部長の600点まで、階段状に上がります。ところが役員だけ530点に下がっています。

この逆転の理由はIIBCの資料に書かれていません。回答企業数が役員はn=50と少ないことだけが読み取れる事実です。理由の推測はここでは書きません。

転職の面接官が持っている物差し|部門別に期待されるTOEICの点数

同じ調査には「社員・職員に期待する平均スコア」も載っています。こちらは採用の条件ではなく、企業が社員に望む水準です。

対象 TOEIC L&R TOEIC Speaking TOEIC Writing
新入社員 535点 110点 110点
中途社員 560点 110点 110点
技術部門 560点 120点 130点
営業部門 575点 120点 120点
海外部門 690点 140点 140点

海外部門だけ690点と突き抜けていて、技術部門・営業部門とは115〜130点の差があります。転職先の部門がどこかで、必要な点数は100点以上動きます。

TOEIC SpeakingとWritingは各0〜200点の10点刻みです。L&Rの点数だけを見て「4技能も同じくらい要る」と考えると、単位が違うので比較になりません。

転職で点数がはっきり決まっているのは公務員の採用試験

民間の求人で「TOEIC◯点以上」と数字が固定されている例は、公表資料から拾えません。一方で、点数と扱いが1点単位で公表されている場所があります。国家公務員採用総合職試験です。

TOEIC L&Rスコア 最終合格者決定時の加算点
600点以上 総得点に15点を加算
730点以上 総得点に25点を加算

人事院は加算の理由を「行政の国際化の進展を踏まえると、国家公務員採用総合職試験からの採用者が従事する政策の企画立案等の業務の遂行に当たっては、基礎的な英語能力を有していることが望ましい」と説明しています。

対象になるのは、試験実施年度の4月1日から遡って5年前の日以降に受験したスコアです。この加算は総合職試験のみで、一般職試験や国税専門官などの専門職試験には設けられていません。

転職で並ぶライバルは何点なのか|社歴別の実測スコア

「何点必要か」より役に立つのが、「同じ立場の人が実際に何点なのか」です。IIBCはIPテスト(企業・団体で実施される団体受験)の社歴別データを公表しています。

社歴 受験者数 Listening Reading Total(平均)
内定者 18,227人 337点 289点 626点
新入社員 63,933人 295点 241点 536点
入社2〜5年目 81,941人 309点 251点 560点
入社6〜10年目 62,834人 310点 249点 559点
入社11年目以上 145,662人 290点 226点 517点

最も高いのは内定者の626点で、最も低いのが入社11年目以上の517点。社歴が長いほど点数が下がるという、直感と逆の並びになっています。

つまり20代後半〜30代前半の転職では、620点前後で「中途採用の平均的な基準」と「同世代の実測平均」の両方に届くことになります。数字はいずれも2024年度のものです。

転職の実務で見られるのは、役職が上がるほど高いTOEICの点数

役職別の実測値も公表されています。ここで注意したいのは、公開テストとIPテストで平均が大きく違うことです。

役職 公開テストの平均(受験者数) IPテストの平均(受験者数) 差
役員 686点(6,702人) 585点(2,027人) 101点
部長 672点(10,297人) 565点(10,641人) 107点
課長 651点(27,253人) 545点(37,658人) 106点

同じ役職でも100点前後の開きがあります。公開テストは自分で申し込んで受ける人の集まりで、IPテストは会社が全員に受けさせる形が多いためです。

2024年度の全体平均は、公開テストが615点、IPテストが495点でした(公開テスト735,425人・IPテスト1,041,495人)。転職で提出する点数を「平均と比べる」なら、どちらの平均かを確認しないと120点ずれます。

転職で出すスコアは公開テストとIPテストのどちらを見られるか

企業がどちらのスコアを参考にしているかも調査されています。

場面 両方とも使う IPテストのみ 公開テストのみ
採用時に参考にするテストの種類 69.5% 14.2% 16.3%
昇進・昇格時に参考にするテストの種類 74.9% 18.4% 6.7%

採用の場面では約7割が両方を見ています。公開テストのみに限定している企業は16.3%にとどまります。

なお、IPテストは団体が試験会場と日程を任意に設定する仕組みで、個人では申し込めません。前職で受けたIPテストのスコアシートが手元にあるかどうかが、転職時に出せる材料を左右します。

転職でTOEICの点数が意味を持たない場面もある

数字を並べたうえで、逆の事実も書いておきます。

ここが分かれ目

中途採用でTOEICを「利用していない」と答えた企業は38.4%。約4割の企業では、点数を持っていても選考の材料になりません。

しかもこの調査は上場企業を対象にしたものです。非上場企業を含めた全体像は、この調査からは分かりません。

TOEIC L&Rは聞く・読むの2技能を測るテストで、話す・書く力は測っていません。面接で英語を話す場面がある求人なら、L&Rの点数だけでは判断材料が足りないことになります。

転職に向けてTOEICの点数を上げるとき、どこを狙うか

ここまでの数字を、目標設定に使える形に並べ直します。

  1. 620点:英語を使用する部署の中途採用で、企業が要件・参考とするスコアの平均。海外出張者の選抜基準と同じ水準
  2. 600点:国家公務員採用総合職試験で15点の加算が付く境目。部長職の要件・参考スコアの平均とも一致する
  3. 635点:海外赴任者の選抜で要件・参考とされるスコアの平均。この調査で最も高い採用系の基準
  4. 690点:海外部門の社員に企業が期待する平均スコア
  5. 730点:国家公務員採用総合職試験で加算が25点に上がる境目

2024年度の公開テストのスコア分布では、595点以上の受験者が全体の55.4%でした(895点以上4.4%、845〜894点5.0%、795〜844点7.0%、745〜794点8.4%、695〜744点9.5%、645〜694点10.4%、595〜644点10.7%の合計)。620点前後は、公開テスト受験者のほぼ真ん中です。

転職とTOEICの点数について、公表されていないこと

この記事に書かなかったことを明示しておきます。

よく語られる話 公表状況
「業種別・職種別の求人に書かれた応募条件スコアの集計」 試験団体も行政も公表していない
「TOEIC◯点で年収がいくら上がるか」 IIBCの調査に該当する数字は無い
「TOEICスコアとCEFRの合計点の公式換算表」 存在しない。IIBCが公表しているのはセクション別の最低スコアのみ
「英検・TOEFL・IELTSとTOEICの公式換算表」 4試験のあいだに公式の直接換算表は1つも無い

転職サイトや対策記事に出てくる「業種別の目安スコア」の多くは、こうした公表値ではなく各社の独自集計です。出どころが書かれていない数字は、目安としても使いどころが限られます。

なお、IIBCの英語活用実態調査で最新の詳細版は2022年版ですが、本記事で使った採用・昇進の平均スコアが揃った形で公開されているのは2019年版です。数値は取得日時点のものです。

転職でのTOEICの点数まとめ

転職の場面でTOEICの点数を条件にしている企業は10.2%、参考にしている企業が43.6%、使っていない企業が38.4%。要件・参考とするスコアの平均は620点でした。

同世代の実測値で見ると、内定者626点、入社2〜5年目560点。620点は「企業が示す基準」と「同世代の平均」がほぼ重なる点数です。

この記事の数字の扱い方

採用・昇進に関する割合と平均スコアはIIBC「英語活用実態調査2019【企業・団体】」(上場企業対象・n=528)、受験者数と平均スコアはIIBC「TOEIC Program DATA & ANALYSIS 2025」の2024年度データ、加算点は人事院の公表内容です。いずれも2026年9月7日に取得しました。企業ごとの基準はこの調査の平均値とは異なります。応募先の条件は必ず求人票で確認してください。

この記事で使った転職とTOEICの一次ソース

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