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日本人で英語が話せる割合は何%?公的調査の数字を並べた

「日本人で英語が話せる人は何%か」を直接測った公的な統計は、2026年9月7日時点で存在しません。「話せる」を定義して全国民に調べた調査が、国にも民間にも1つも無いからです。

この記事は、その代わりに使える公的な数字を3つだけ集めて並べたものです。文部科学省「令和6年度 英語教育実施状況調査」、総務省統計局「令和3年社会生活基本調査」、EF EPI 2025年版(EF公式のファクトシート)から、2026年9月7日に取得しました。割合の計算のうち編集部が自分で出したものは、その都度「編集部の計算」と書いてあります。

目次

日本人で英語が話せる割合は、公的な数字では「中3で52.4%・高3で51.6%」までしか分からない

先に結論だけ置きます。

国が毎年発表している唯一の「英語力の到達割合」は、公立の中学3年生と高校3年生についてのものだけです。

対象 基準 令和6年度の割合 国の目標(令和9年度まで)
公立中学校の第3学年 CEFR A1(英検3級)相当以上 52.4% 60%以上
公立高等学校の第3学年 CEFR A2(英検準2級)相当以上 51.6% 60%以上
公立高等学校の第3学年 CEFR B1(英検2級)相当以上 21.2% 30%以上

この3つが、日本人の英語力について国が公表している到達割合のすべてです。

大人については、国は「英語が話せる人の割合」を発表していません。

ここが分かれ目

ネット上でよく見る「日本人で英語を話せるのは◯%」という数字は、出どころをたどると調査会社の自己申告アンケートか、記事の書き手の推計であることがほとんどです。この記事では、出どころが公的機関かEF自身の発表であるものだけを載せています。

日本人の英語力を測った調査は、性質のちがう3種類しかない

数字を読む前に、どの調査が何を測っているのかを分けておきます。3つは測っている対象も方法も別物で、並べて比べることはできません。

調査 実施者 測っているもの 対象 限界
英語教育実施状況調査 文部科学省 CEFR相当のレベルに届いた生徒の割合 公立の中3・高3 大人は対象外。半分は教師の判断による推計
社会生活基本調査 総務省統計局 過去1年に英語を学んだ人の割合 10歳以上の全国 学んだかどうかであり、話せるかは測っていない
EF EPI EF(Signum International AG) オンライン英語テストの平均スコア 受験した成人 自分から受けた人だけの集計。国民の代表標本ではない

この3つを混ぜて1つの「日本人の英語が話せる割合」を作ることはできません。

できるのは、3つを別々に読むことだけです。

日本人の中学3年生は52.4%がCEFR A1相当以上に届いている

文部科学省の「英語教育実施状況調査」は、公立の全中学校9,130校を対象に、令和6年12月1日を基準日として実施されました。

CEFR A1は英検3級に相当するレベルです。

年度 A1相当以上を取得している割合 A1相当以上の力があると思われる割合 合計
平成25年度 16.5% 15.7% 32.2%
平成29年度 22.0% 18.7% 40.7%
令和元年度 25.1% 18.9% 44.0%
令和3年度 27.2% 19.8% 47.0%
令和4年度 27.3% 21.9% 49.2%
令和5年度 27.9% 22.1% 50.0%
令和6年度 27.8% 24.5% 52.4%

平成25年度の32.2%から令和6年度の52.4%まで、11年で20.2ポイント上がっています(編集部の計算)。

ただし、伸びているのは右の列だけです。

「取得している割合」は平成29年度の22.0%から令和6年度の27.8%で5.8ポイントの増加、「思われる割合」は18.7%から24.5%で5.8ポイントの増加。ここ数年で見ると、令和5年度から令和6年度にかけては取得割合が27.9%から27.8%へ0.1ポイント下がっており、合計を押し上げているのは教師の判断による推計のほうです。

日本人の中3で、検定で証明されているのは27.8%だけ

この調査でいちばん見落とされるのが、52.4%の中身です。

文部科学省の調査票は、生徒を2つに分けて数えています。実際に英検などの外部試験でその級・スコアを取得している生徒と、取得はしていないが「相当の英語力があると英語担当教師が判断した」生徒です。

区分 人数 第3学年に占める割合(編集部の計算)
第3学年に所属している生徒数 965,678人 ―
外部試験を受験したことがある生徒 441,180人 45.7%
A1相当以上を実際に取得している生徒 268,914人 27.8%
A1相当以上の力があると思われる生徒 236,648人 24.5%
合計(文部科学省の公表値) 505,562人 52.4%

つまり、外部の検定で客観的に証明されている中学3年生は27.8%です。

残りの24.5%は、教師がパフォーマンステストや英検IBAなどのスコアをもとに判断した推計です。

文部科学省は、この判断に使った根拠も公表しています。複数回答で、CAN-DOリストに基づく自校でのパフォーマンステストの結果が52.2%、2技能または3技能を測る試験のスコアが51.3%、公式な記録としては認定されない試験のスコアが41.1%、MEXCBTの解答状況が1.9%、AIツール等による判定結果が1.8%、その他が13.5%でした。

日本人の高校3年生はA2相当以上が51.6%、B1相当以上は21.2%

高等学校は公立3,241校が対象です。基準はCEFR A2(英検準2級)相当以上に上がります。

指標 令和5年度 令和6年度 令和9年度の目標
生徒:CEFR A2相当以上 50.6% 51.6% 60%以上
生徒:CEFR B1相当以上 19.8% 21.2% 30%以上
英語担当教師:CEFR B2相当以上 80.7% 82.2% ―
英語担当教師:CEFR C1相当以上 21.8% 23.5% ―

高校の英語担当教師は82.2%が英検準1級相当以上を持っています。

中学校の英語担当教師のCEFR B2相当以上は46.2%で、平成25年度の27.9%から18.3ポイント上がりました(編集部の計算)。

教師と生徒で、同じ「英検準1級相当以上」を見ても割合は倍以上ちがいます。

日本人の高3を人数で数え直すと、外部試験を受けたことがあるのは49.8%

高校も、中学と同じように人数で確かめられます。

区分 人数(全学科) 第3学年に占める割合(編集部の計算)
第3学年に所属している生徒数 596,344人 ―
外部試験を受験したことがある生徒 296,852人 49.8%
A2相当を取得している生徒 102,853人 17.2%
B1相当以上を取得している生徒 86,776人 14.6%
A2相当以上を取得している生徒の合計(A2+B1以上) 189,629人 31.8%
A2相当以上の力があると思われる生徒の合計 118,297人 19.8%

高校3年生でも、外部の検定でA2相当以上が証明されているのは31.8%です。

B1(英検2級)相当以上を実際に取得している生徒は86,776人で、学年全体の14.6%にとどまります。

ここが分かれ目

「日本人の高校生の半分は英検準2級レベル」と読むか、「検定で証明されているのは3割」と読むかで、印象はまったく変わります。どちらも同じ調査から出た正しい数字です。数字を引用するときは、取得ベースなのか推計込みなのかを必ず添えてください。

日本人の英語力は、住んでいる自治体で50ポイント以上ひらく

全国平均の52.4%は、47都道府県と20政令指定都市を合わせた67自治体の平均です。

自治体ごとに見ると、差はかなり大きくなります。

項目 数値
全国平均(中3・A1相当以上) 52.4%
資料に載っている最も高い自治体の値 89.2%
資料に載っている最も低い自治体の値 34.5%
目標の50%に届いた自治体の数 67自治体中37自治体
令和5年度に50%に届いていた自治体の数 28自治体
令和4年度に50%に届いていた自治体の数 24自治体
令和3年度に50%に届いていた自治体の数 20自治体

最も高い自治体はさいたま市です。

さいたま市は令和7年6月24日に、令和6年度調査で89.2%となり6回連続で全国1位になったと発表しています。全国平均を36.8ポイント上回った計算です。

最高値と最低値の差は54.7ポイントで、全国平均そのものより大きい開きです(編集部の計算)。

日本人の大人はEF EPI 2025で123カ国・地域中96位、スコア446

大人のほうは、公的な調査がありません。代わりに使われているのがEF EPI(EF English Proficiency Index)です。

EF EPI 2025年版は、123の国と地域で220万人の成人が受けたオンライン英語テストの結果をもとに作られています。

項目 日本の数値 世界平均
総合スコア 446 488
順位 123カ国・地域中96位 ―
前年からの変化 -8 ―
Reading(読む) 454 ―
Listening(聞く) 437 ―
Writing(書く) 394 ―
Speaking(話す) 393 ―

世界平均との差は42ポイントです(編集部の計算)。

技能の中では「話す」の393が最も低く、最も高い「読む」の454とは61ポイント差があります(編集部の計算)。

EF EPIは自分から受けにきた人だけの集計なので、国民全体の代表値ではありません。EF自身も、この指標は国と地域を英語力で並べたランキングであると説明しています。それでも、日本人の大人について毎年同じ方法で測られている数字は、事実上これしかありません。

日本人のEF EPIスコアは、住む地域と都市でも差が出ている

EFの日本向けファクトシートには、地域別と都市別のスコアも載っています。

地域 スコア 都市 スコア
関東 478 川崎 489
関西 468 横浜 483
北海道 456 東京 480
九州・沖縄 448 神戸 462
四国 447 京都 461
東北 443 大阪 460
中部 442 札幌 457
中国 436 名古屋 457
― ― 千葉 449
― ― 福岡 445
― ― 奈良 445
― ― 埼玉 444
― ― 高知 427
― ― 静岡 427
― ― 広島 421

地域は関東の478から中国の436まで42ポイントの幅、都市は川崎の489から広島の421まで68ポイントの幅があります(編集部の計算)。

世界平均の488を上回っている地域は1つもありません。都市では川崎の489が唯一上回っています。

日本人の職種別で見ると、EF EPIのスコア差は179ポイントになる

同じファクトシートには、受験者の職種別スコアも載っています。地域差より、こちらのほうが大きく開きます。

職種 スコア 世界平均488との差(編集部の計算)
Strategy & Project Management 578 +90
Teacher 561 +73
Marketing 551 +63
Accounting & Finance 538 +50
Admin & Clerical 530 +42
R&D 519 +31
Sales 516 +28
Human Resources 510 +22
Customer Service 505 +17
IT 502 +14
Technicians & Maintenance 493 +5
Student 477 -11
Unspecified / unemployed 399 -89

最高のStrategy & Project Managementの578と、最低のUnspecified / unemployedの399の差は179ポイントです(編集部の計算)。

日本の総合スコア446を上回っている職種は13区分のうち12区分あります。

つまり日本全体の446という数字は、職に就いていない受験者の399に大きく引き下げられた平均だということです。日本人の英語力を1つの数字で語ることが難しい理由は、この職種別の表からも読み取れます。

日本人で英語を学んでいる人の割合は、男性13.5%・女性12.2%

「話せる割合」ではありませんが、母数が全国民に近い公的統計として使えるのが総務省統計局の社会生活基本調査です。

この調査は5年に1度、10歳以上の全国の人を対象に、過去1年間の行動を聞いています。

「学習・自己啓発・訓練」の種類 男性の行動者率 女性の行動者率
パソコンなどの情報処理 20.1% 13.0%
家政・家事 9.1% 17.7%
英語 13.5% 12.2%
人文・社会・自然科学 11.9% 7.8%
商業実務・ビジネス関係 11.5% 5.6%

2021年(令和3年)調査で、過去1年間に英語の学習をした人の割合は男性13.5%、女性12.2%でした。

男性では「パソコンなどの情報処理」に次いで2番目、女性では「家政・家事」「パソコンなどの情報処理」「芸術・文化」に次いで4番目に高い項目です。

日本人のおよそ8人に1人が、1年のうちに英語を学んでいる計算になります。

なお同じ調査では、「英語」を学ぶ目的は「自分の教養を高めるため」が最も高く、「現在の仕事に役立てるため」が最も高いのはパソコンなどの情報処理や商業実務・ビジネス関係のほうでした。

日本人の英語が話せる割合を引用するときに、必ず添えたい3つ

ここまでの数字を使うときの注意を、3つだけまとめます。

  • 「話せる」を測った公的統計は無い:文部科学省の調査が測っているのはCEFR相当のレベルであり、スピーキング単独の到達度ではありません。EF EPIのSpeakingスコアは、テストを自分から受けた人の平均です
  • 52.4%には教師の推計が24.5ポイント含まれる:検定で証明されているのは27.8%です。どちらの数字を使うかで結論が変わります
  • 大人の数字はすべて受験者ベース:EF EPIは無作為抽出ではないため、日本人全体の平均としては読めません

この3つを添えるだけで、引用した数字の信頼度はまったく変わってきます。

ここが分かれ目

「日本人の◯%が英語を話せる」という一文を作りたいときは、出典が「文部科学省の中3・52.4%」なのか「EF EPIの96位」なのかを必ず書き添えてください。前者は15歳の到達割合、後者は成人受験者のスコア順位で、指しているものがまったく別です。

日本人の英語力の数字を、これから追いかけるための見方

最後に、この記事の数字が次に更新されるタイミングを整理しておきます。

調査 更新の頻度 次に見るもの
英語教育実施状況調査(文部科学省) 毎年(令和2年度は中止) 中3の52.4%が60%の目標へどれだけ近づくか
社会生活基本調査(総務省統計局) 5年に1度 英語の行動者率が13.5%/12.2%からどう動くか
EF EPI(EF) 毎年 スコア446と世界平均488の差42ポイントが縮むか

文部科学省の調査は、第4期教育振興基本計画の期間である令和9年度まで、同じ目標値(中高とも60%以上、高校生のB1相当以上は30%以上)で追いかけられます。

中3は令和5年度50.0%、令和6年度52.4%で、1年に2.4ポイントの伸びです(編集部の計算)。

この伸び方が続けば、60%の目標に届くのは令和9年度あたりという計算になります。

ただし前の項目で見たとおり、伸びているのは教師の判断による推計のほうです。取得ベースの27.8%がどう動くかも、あわせて見ておく価値があります。

この記事で使った日本人の英語力に関する一次ソース

数値はすべて2026年9月7日に以下から取得しました。最新の値は各公式ページで確認してください。

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