オンライン英会話の継続率を数字で公表している会社は、2026年9月7日に各社の公式サイトとIR資料を当たった範囲では見つかりませんでした。上場していた会社でさえ、有価証券報告書に「継続率」という言葉はあるのに、その数値は載っていません。
この記事は、それでも公表されている「継続に関する数字」を集めて並べたものです。出どころは各社の決算説明会書き起こし・決算補足説明資料・有価証券報告書・調査会社の公表資料で、すべて2026年9月7日に原文から取得しました。
オンライン英会話の継続率は、公表されている数字がほとんど無い
まず結論です。近い数字が出ているのは、次の3つだけです。
| 出どころ | 公表されている中身 | 数値の形 | 時期 |
|---|---|---|---|
| レアジョブ 決算説明会の質疑応答 | 継続率は「平均すると1年以上」 | 期間(%ではない) | 2024年5月15日 |
| レアジョブ 有価証券報告書 | レッスン数と継続率に相関があるというリスク記述 | 数値なし | 第19期 |
| プログリット 決算説明資料 | 継続コース入会率が50%超 | %(ただし英語コーチング) | 2021年8月期以降 |
「継続率」と名前の付いた%の数字は、オンライン英会話では1つも出てきませんでした。ネットで見かける「継続率◯%」の多くは、出どころが示されていないものです。
オンライン英会話で唯一「期間」が語られたのは、レアジョブの決算説明会だった
株式会社レアジョブが自社サイトで公開している2024年3月期決算説明会(2024年5月15日)の書き起こしに、投資家からの質問に対する回答として継続率の話が出てきます。
質問は「レアジョブ英会話の継続率を上げることを最優先にする必要があるのではないか」という趣旨で、回答は「継続率という点については、平均すると1年以上というところの継続率があります」というものでした。
| 回答で語られたこと | 内容 |
|---|---|
| 平均の継続 | 平均すると1年以上 |
| 属性による差 | 子どもは継続率が高く、大人は低くなる傾向がある |
| 競合との比較 | 属性を揃えて見れば、継続率は高いほうではないかと考えている |
| 会社の課題認識 | 大きな課題は継続ではなく新規獲得の側にある |
ここで注意したいのは、これが%ではなく期間で語られていることです。「平均継続期間が1年以上」と「1年後の継続率が◯%」は別の指標で、前者からは後者を計算できません。
「平均1年以上」は、3年続ける人と1か月でやめる人が混ざった平均です。分布が公表されていないため、「自分が1年続く確率」には翻訳できません。
オンライン英会話の有価証券報告書には、継続率の数値が載っていない
レアジョブの第19期(2025年4月1日〜2026年3月31日)有価証券報告書を全文で確認すると、「継続率」という語は事業等のリスクの中に出てきますが、数値はどこにもありません。
記載されているのは、レッスン受講率についてのリスクとして「レッスン数と継続率には一定の相関関係が認められるため、継続率が低下し、売上高が減少する可能性があります」という趣旨の説明です。
これは事実として重要です。会社自身が「レッスンを受けなくなること」と「解約」がつながっていると認めている、という一次情報だからです。ただし、その相関がどれくらいかという数字は開示されていません。
オンライン英会話の継続は、会員数と売上の動きから間接的に読める
継続率そのものは出ていませんが、会員数の増減は決算資料に書かれています。レアジョブの2026年3月期決算補足説明資料から、個人向けサービスの数字を抜き出します。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 連結売上高 | 9,715百万円 | 9,600百万円 | -1.2% |
| 個人向けサービス(レアジョブ英会話 個人向けほか) | 2,827百万円 | 2,147百万円 | -24.0% |
| EBITDA | 749百万円 | 386百万円 | -48.5% |
同資料は減収の理由として「レアジョブ英会話の会員数減少」を明記しています。個人向けサービスは1年で24.0%減りました。
なお同社は、2026年7月29日をもって東京証券取引所スタンダード市場で上場廃止となり、株式会社学研ホールディングスの完全子会社になりました。上場企業として決算資料を出す会社が1社減ったことになります。
オンライン英会話ではないが、プログリットは継続の数字を定義つきで出している
比較のために、英語コーチングの株式会社プログリット(東証グロース・9560)の決算説明資料を見ます。この資料には継続に関するKPIが、定義の脚注つきで載っています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 指標名 | 通常コース卒業生の継続コース入会率 |
| 定義(脚注の記載) | 通常コース卒業生の中で、NEXTコースもしくはサブスクリプション型英語学習サービスに入会された方の割合 |
| 水準 | 2021年8月期以降、50%を超える水準 |
| 公表の形 | 四半期ごとの推移グラフ |
| 関連指標 | 卒業時アンケートの5段階満足度が常に4を超える/平均受講待機期間 約1か月半 |
注意点として、これは「コースを卒業した人が次のコースに入る割合」であって、オンライン英会話の月額課金が続いている割合とは意味が違います。定義を読まずに数字だけ比べると、比較が壊れます。
オンライン英会話の利用者500人に聞いた調査では、過去の学習が続いた人は5.8%だった
利用者側から調べた公表データもあります。MMD研究所(MMDLabo株式会社)が2014年9月12日〜18日に実施した「オンライン英会話に関する利用実態調査」です。
対象は20代〜50代のオンライン英会話利用者500人(DMM英会話・レアジョブ英会話・産経オンライン英会話・QQイングリッシュ・ラングリッチの各100人)、インターネット調査、設問9問という設計です。
| 設問 | 数字 | 母数 |
|---|---|---|
| 過去に何らかの英語学習をしていた | 93.8%(「特に何もしていなかった」は6.2%) | N=500 |
| その英語学習を「現在も継続している」 | 5.8% | N=469(英語学習経験者) |
| 断念した理由の最多 | 通うのが面倒になったから 46.1% | 同上 |
| 今後もオンライン英会話を継続して利用したい | 96.0%(「予定はない」は4.0%) | N=500 |
| オンライン英会話を利用しようと思った理由(上位) | 新しいサービスが気になった 70.8%/通う必要がない 55.8%/価格が安い 51.4% | N=500 |
この5.8%はオンライン英会話そのものの継続率ではなく、その人が過去にやっていた英語学習が続いている割合です。混同しないでください。また調査は2014年で、2026年9月7日時点から見ると12年前のデータです。
オンライン英会話は「継続意向96.0%」と「実際に続いた5.8%」が同居している
同じ調査の中で、今後も継続して利用したい人は96.0%、過去の学習を現在も継続できている人は5.8%でした。母数も対象も違う設問なので直接は比べられませんが、意向と実績の温度差ははっきり出ています。
断念の理由が「通うのが面倒になったから」46.1%だった点も、オンライン英会話を選ぶ動機(通う必要がない 55.8%)と表裏になっています。通う手間を外しても、続くかどうかは別問題として残るということです。
オンライン英会話の「継続率」は、少なくとも3つの意味で使われている
数字を比べる前に、言葉の定義を揃える必要があります。今回集めた資料の中だけでも、次の3つが「継続率」と呼ばれていました。
| 呼び方 | 何を数えているか | 今回の資料での例 |
|---|---|---|
| 平均継続期間 | 解約までの平均月数・年数 | レアジョブ「平均すると1年以上」 |
| 継続コース入会率 | 1つのコースを終えた人が次を申し込む割合 | プログリット「50%超」 |
| 学習継続の割合 | ある時点でまだ学習を続けている人の割合 | MMD研究所「5.8%」 |
3つはまったく別物です。出どころと定義が書かれていない「継続率◯%」は、この3つのどれなのかが判別できないため、比較にも判断にも使えません。
オンライン英会話の継続率が公表されない、構造的な理由
なぜ数字が出ないのか。資料を読む限り、理由は「隠している」より「出す仕組みが無い」に近いところにあります。
- 継続率は法定開示事項ではない。有価証券報告書に必ず載せる項目ではないため、上場企業でも数値を書く義務がありません。実際にレアジョブの有報にも数値はありませんでした
- 定義が会社ごとに自由。上の表のとおり、同じ「継続率」でも数え方が違うため、揃えて出す動機が弱くなります
- 非上場の会社には開示の仕組みがそもそも無い。決算説明資料を作る必要がないため、公表される機会が生まれません
つまり、オンライン英会話の継続率が並んだ比較表は、原理的に作れないということになります。
オンライン英会話の継続率で、公表されていない数字
| 数字 | 公表の状況 |
|---|---|
| 各社の月次解約率 | 公表されていない |
| 無料体験から有料会員になる割合 | 公表されていない |
| 1年後・3年後の継続率 | 公表されていない |
| レアジョブの有料会員数の実数 | 2026年3月期の資料では「会員数減少」の記述のみで、実数の記載はない |
| 継続期間の分布(何か月でやめる人が何%か) | 公表されていない |
いずれも2026年9月7日時点の公表資料の状況です。各社の決算資料やIR資料が更新されたら、そちらで確かめてください。
オンライン英会話の継続率を、自分の判断材料に変える方法
公表数字が揃わない以上、他人の継続率で選ぶことはできません。代わりに、資料から読み取れた「続くかどうかを分けている条件」を並べます。
| 読み取れた条件 | 出どころ | 自分で確かめる形 |
|---|---|---|
| レッスンを受ける回数が減ると解約に向かう | レアジョブ有価証券報告書のリスク記述 | 1週間で実際に受けられた回数を数える |
| 子どもは継続率が高く、大人は低い傾向 | レアジョブ決算説明会の回答 | 自分が大人なら、続ける仕組みを別に用意する |
| 「通うのが面倒」で断念した人が最多 | MMD研究所2014年調査 | 移動時間ではなく、予約と時間帯の負担を見る |
| コースの区切りがあると次に進む人が半数を超える | プログリットの継続コース入会率 | 期限や区切りのある形を選べるか確かめる |
無料体験は、続けられるかどうかを測る唯一の実測手段です。体験期間中に何回受けられたかを数えておくと、継続率の代わりになります。
オンライン英会話の継続率まとめ
オンライン英会話の継続率は、%の形では公表されていません。分かっているのは、レアジョブが決算説明会で「平均すると1年以上」と答えたこと、子どもより大人のほうが継続率が低い傾向があると同社が述べたこと、そして同社の個人向けサービスが2026年3月期に24.0%減ったことです。
利用者調査の側では、継続意向は96.0%と高く、過去の英語学習を続けられていた人は5.8%でした。意向は高く、実績は低い。この2つが同じ集団の中で並んでいるのが、公表資料から読み取れる現状です。
数字はすべて2026年9月7日に、各社のIR資料・有価証券報告書・調査会社の公表ページから取得しました。金額は各社の決算資料の表記(百万円単位)のまま写しています。定義の異なる指標を横に並べて平均したり、%に換算したりはしていません。数字は更新されるため、判断の前に各社の最新資料で確認してください。
この記事で使ったオンライン英会話の一次ソース
- 株式会社レアジョブ 決算情報(決算説明会書き起こし・決算補足説明資料)(2026年9月7日取得)
- 株式会社レアジョブ 有価証券報告書 第19期(2025年4月1日〜2026年3月31日)(2026年9月7日取得)
- 株式会社プログリット 決算説明資料(2026年9月7日取得)
- MMD研究所「オンライン英会話に関する利用実態調査」(2014年9月12日〜18日・有効回答500人)(2026年9月7日取得)

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