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就活でTOEICは何点あればいい?業界別に見た応募条件のデータ

就活でTOEICを応募条件にしている企業は、多数派ではありません。新卒採用でTOEICスコアを要件としている企業は4.2%、参考としている企業が44.9%、まったく利用していない企業が44.5%でした。

この記事は、就活とTOEICについて公表されている数字だけを並べたものです。出どころはIIBC(一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会)の「英語活用実態調査2019【企業・団体】」「TOEIC Program DATA & ANALYSIS 2025」と、人事院の公表資料で、2026年9月7日に取得しました。累計の割合は編集部の計算です。

目次

就活でTOEICが応募条件になっている企業は全体の4.2%だった

まず結論です。就活の選考でTOEICスコアを合否の条件にしている企業は、20社に1社ほどしかありません。

採用区分 要件としている 参考としている 新たに要件・参考とする可能性がある 利用していない
新卒採用 4.2% 44.9% 6.3% 44.5%
英語を使用する部署の中途採用 10.2% 43.6% 7.4% 38.4%

回答企業数は528社です。新卒採用で「要件」としている企業は4.2%で、中途採用の10.2%の半分以下でした。

一方で「参考としている」は44.9%あります。要件と参考を足すと49.1%=約半数の企業が、新卒採用で何らかの形でTOEICを見ています。

ここが分かれ目

「条件」と「参考」を分けて読むのが大事なところです。点数が足りないと応募すらできない企業は少数で、多くは他の要素と合わせて見ています。

就活の新卒採用で企業が要件・参考にするTOEICは平均545点

では実際に何点を見ているのか。IIBCは採用区分ごとの平均値を公表しています。

場面 要件・参考とするTOEIC L&Rスコア(平均) 回答企業数
新卒採用 545点 n=128
英語を使用する部署の中途採用 620点 n=139
海外出張者の選抜 620点 n=81
海外赴任者の選抜 635点 n=122

新卒採用の545点は、この調査に出てくる数字の中でいちばん低い水準です。中途採用の620点とは75点の差があります。

就活の目安としてよく挙がる「700点」「730点」という数字は、この調査には出てきません。IIBCが公表しているのは上の平均値だけです。

また、企業が採用時にどのテストを参考にするかも調べられています。

採用時に参考にするテストの種類 割合
公開テストとIPテストの両方を使う 69.5%
公開テストのみ 16.3%
IPテストのみ 14.2%

回答企業数は282社です。7割の企業は、大学で受けたIPテストのスコアも見ています。

就活で応募条件の数字がはっきり決まっている例|国家公務員総合職試験

民間企業で「何点以上で応募可」と公表している例はほとんど見つかりませんが、国家公務員採用総合職試験は加算点の基準を数字で公開しています。

対象は総合職試験(院卒者試験・大卒程度試験)の全ての試験区分です。

加算点 TOEFL iBT TOEIC L&R IELTS 実用英語技能検定
15点加算 65以上 600以上 5.5以上 ―
25点加算 80以上 730以上 6.5以上 準1級以上

最終合格者決定の際に、総得点に15点または25点が加算されます。加算を求められる英語試験は1つに限られます。

条件は3つあります。対象は試験年度の4月1日から遡って5年前の日以後に受験したスコア、提出は第2次試験(人物試験)の際、そして提出できなかった場合は加算されません。

注意が要るのはIPテストの扱いです。人事院はこう明記しています。

TOEIC Listening & Reading Test の IP テストのスコア(TOEIC Institutional Program (IP) Score Report)は、加算の対象としていません。

人事院「国家公務員採用総合職試験における英語試験の活用」(2026年9月7日取得)

TOEICで加算を求めるには公式認定証(Official Score Certificate)が必要で、紙とデジタルのどちらでも提出できます。大学で受けたIPテストのスコアでは加算されません。

就活のライバルは何点か|学生の平均は592点

企業の基準の次は、実際に受けている学生の点数です。2024年度の公開テストのデータを見ます。

区分 受験者数 Listening Reading Total
全体 735,425人 336点 279点 615点
社会人 312,258人 350点 294点 644点
学生 409,991人 325点 267点 592点

公開テストの受験者は、学生のほうが社会人より9万人以上多いという結果です。学生の平均592点は、企業が新卒採用で要件・参考にする545点を47点上回っています。

ここで注意したいのは、この592点が「大学生全員の平均」ではないことです。公開テストを自分で申し込んで受けた学生の平均であって、TOEICを受けていない学生は含まれていません。

就活で使える所属学校別の平均|大学は600点、大学院は640点

同じデータを所属学校で分けたものです。

所属 受験者数 Listening Reading Total
大学院 30,367人 342点 297点 640点
大学 314,326人 328点 273点 600点
語学学校 2,140人 314点 255点 569点
高校 31,178人 302点 233点 535点
短大 4,775人 301点 219点 520点
専門学校 7,929人 303点 213点 517点
高専 16,601人 294点 213点 507点

大学在学者の平均は600点ちょうどでした。大学院は640点で、40点高くなっています。

就活の準備でどこまで伸びるか|学年別のTOEIC平均

大学在学の受験者を学年で分けると、就活が本格化する時期にどれだけ伸びているかが見えます。

学年 受験者数 Total 前学年との差
大学1年 30,194人 555点 ―
大学2年 48,753人 589点 +34点
大学3年 124,175人 602点 +13点
大学4年 101,159人 613点 +11点

1年から4年で58点の差です。差の付き方は前半に寄っていて、2年生で34点、3年生で13点、4年生で11点と縮んでいきます(差は編集部の計算)。

受験者数の動きも見どころです。大学3年の受験者124,175人は1年生の4.1倍で、就活のタイミングに受験が集中していることが分かります。

就活の専攻別に見たTOEICの差は70点

専攻でも平均が変わります。大学・短大・専門学校・高専の在学者のうち、専攻を回答したデータの集計です。

専攻 受験者数 Total
社会/法学系(国際、法律、政治、社会学) 45,628人 629点
文系(教育、美術、言語、文学、音楽、心理学) 80,522人 613点
会計学/ビジネス/経済学/財政学/マーケティング/貿易 45,509人 612点
保健・医療(医学、看護、薬学、公衆衛生) 17,849人 593点
科学(農業、コンピュータ・サイエンス、数学、物理学、統計学) 65,575人 578点
工学/建築 75,518人 559点
その他/なし 13,030人 547点

いちばん高い社会/法学系の629点と、いちばん低い工学/建築の559点で70点の開きがあります。

同じ600点でも、工学系では平均を41点上回り、社会/法学系では平均を29点下回ります。同じ学部の学生と比べる材料として使えます。

就活の業界別データ①|業種別に見た平均スコアは160点の幅がある

業界別の応募条件そのものを公表している資料は見つかりませんでした。代わりに公式に業界別で出ている数字が2つあります。1つめが、企業・団体で実施されたIPテストの業種別平均です。

業種 受験者数 Total
マスメディア 635人 639点
証券・保険 2,676人 638点
金融 12,556人 622点
商社 7,940人 617点
学校 11,724人 615点
不動産 2,072人 610点
公共団体 463人 601点
運輸 20,409人 591点
薬品 5,542人 584点
石油 3,789人 578点
電気・ガス 2,405人 578点
サービス 76,421人 574点
化学 19,250人 559点
食品 5,950人 559点
造船 6,011人 550点
鉄鋼 10,724人 529点
精密機器 10,481人 527点
政府機関 15,128人 526点
非鉄金属 8,252人 521点
電機 83,139人 517点
小売業 7,357人 508点
機械 26,001人 494点
建設 9,728人 479点
車両 45,465人 479点

最高のマスメディア639点と、最低の建設・車両479点で160点の差です。

これは応募条件ではなく、その業種で実際に働いている人がIPテストで取った平均です。志望業界の社員の水準を先に知っておくための材料として読んでください。

就活の業界別データ②|業種別に公表された昇進・昇格の基準スコア

2つめが、企業が回答した昇進・昇格スコアの実例です。採用条件ではなく入社後の基準ですが、業種と企業規模つきで数字が出ている唯一の公表データです。

業種 従業員数(連結ベース) 係長・主任 課長 部長 役員
商社 10,000〜49,999人 700点 700点 700点 700点
情報通信・通信サービス 300〜499人 700点 700点 700点 700点
情報通信・通信サービス 500〜999人 500点 600点 720点 720点
卸売・小売 500〜999人 600点 600点 800点 800点
一般機械製造 299人以下 650点 700点 700点 700点
輸送機器・関連機器 10,000〜49,999人 500点 600点 700点 800点
化学・薬品 299人以下 600点 600点 600点 600点
飲食・宿泊 500〜999人 500点 600点 600点 600点
運輸・倉庫 300〜499人 500点 600点 600点 ―
建設・土木 10,000〜49,999人 470点 470点 470点 470点
電機・精密機械 2,000〜4,999人 400点 400点 500点 500点
その他サービス業 500〜999人 400点 400点 500点 600点

「―」は回答が無かった役職です。同じ業種でも従業員数が違うと基準が変わっている点に注目してください。

情報通信・通信サービスの299人以下の企業では、係長・主任の段階で600点、役員で800点という例が出ています。業種だけでなく規模でも動く、ということです。

就活のゴールはどこか|内定者の平均は626点

企業・団体でIPテストを受けた人を社歴で分けたデータに、内定者の項目があります。

社歴 受験者数 Listening Reading Total
内定者 18,227人 337点 289点 626点
新入社員 63,933人 295点 241点 536点
入社2〜5年目 81,941人 309点 251点 560点
入社6〜10年目 62,834人 310点 249点 559点
入社11年目以上 145,662人 290点 226点 517点

内定者626点は、この表でいちばん高い数字です。新入社員の536点より90点高くなっています(差は編集部の計算)。

ただし読み方に注意が必要です。内定者にIPテストを受けさせる企業は、そもそも英語を重視している企業に偏っている可能性があります。

それでも、学生の公開テスト平均592点と内定者のIPテスト平均626点という2つの数字が並ぶと、就活で目にする水準がだいたい600点前後だということは見えてきます。

就活で自分の点数がどこにいるか|学生のスコア分布

平均だけでは位置が分かりません。2024年度の公開テストを受けた学生409,991人の分布から、各スコア以上が何%にあたるかを計算しました。

スコア その帯の人数(割合) そのスコア以上の累計(編集部の計算)
895点以上 12,088人(2.9%) 2.9%
845点以上 15,046人(3.7%) 6.6%
795点以上 22,484人(5.5%) 12.1%
745点以上 29,719人(7.2%) 19.3%
695点以上 36,089人(8.8%) 28.1%
645点以上 42,293人(10.3%) 38.4%
595点以上 46,099人(11.2%) 49.6%
545点以上 46,192人(11.3%) 60.9%
495点以上 43,022人(10.5%) 71.4%

読み替えるとこうなります。600点で学生受験者の上位およそ半分、700点で上位28.1%、800点で上位12.1%です。

国家公務員総合職試験で25点加算がつく730点は、この分布では上位19.3%と28.1%のあいだにあたります。

就活でTOEICのスコアを出す前に確認しておくこと

数字の話から離れて、提出のルールを整理します。

確認する項目 公表されている内容
スコアの有効期限 ETSはスコアの有効期限を2年と設定。提出先が2年超を認めるかは各機関の方針次第(IIBC)
公式認定証の再発行 試験日から2年以内。2年を経過すると再発行できない(IIBC)
IPテストのスコア 企業の採用では69.5%が公開テストと併用。国家公務員総合職試験の加算は対象外
加算に使える試験の数 国家公務員総合職試験では1つに限る(人事院)
提出のタイミング 国家公務員総合職試験は第2次試験(人物試験)の際。提出できなければ加算なし(人事院)

大学1年で受けたスコアを大学4年の就活で使う場合、受験から2年を超えていると公式認定証の再発行ができません。大学3年の受験者が1年生の4.1倍に増えるのは、この期限とも無関係ではないはずです。

ここが分かれ目

TOEFL iBTのスコアを出す場合は追加の確認が要ります。人事院の資料に載っている「65以上」「80以上」は0〜120スケールの数字です。ETSは2026年1月にスコアを1〜6スケールへ変更し、公式サイトで「For a two-year transition period after January 2026, students will also receive a comparable overall score on the 0 – 120 scale.」と説明しています。提出前に、どちらのスケールの数字を求められているかを確認してください。

就活とTOEICについて、公表されていないこと

よく語られる話と、公式の公表状況を並べます。

よく語られる話 公表状況
「大手商社は730点が応募条件」 企業名つきの応募条件スコアは公表されていない
「業界別の必要スコア一覧」 IIBCが業種別で公表しているのは平均スコアと昇進・昇格の実例のみ。応募条件の業界別一覧は存在しない
「就活は600点から」 IIBCも人事院も、就活の下限スコアを示していない
TOEICとCEFRの合計点の換算表 公式の対応表は無い。IIBCが公表しているのはセクション別の最低スコアのみ

「公式は公表していない」と分かること自体が、判断材料になります。

就活のTOEICは何点あればいいかのまとめ

この記事で並べた数字を1枚にまとめます。

問い 公表されている答え
新卒採用で要件にしている企業の割合 4.2%(参考としているは44.9%)
企業が新卒採用で要件・参考にする平均 545点
企業が新入社員に期待する平均 536点(IPテストの新入社員実績)
学生の公開テスト平均 592点
大学在学者の平均 600点
大学4年の平均 613点
内定者のIPテスト平均 626点
国家公務員総合職試験の加算基準 600点で15点、730点で25点
学生の上位半分に入るライン 595点以上(累計49.6%・編集部の計算)

就活で何点あればいいかという問いに、公式の答えはありません。ただし公表されている数字は、545点から626点までの帯に集中しています。

この帯のどこを狙うかは、志望業界の平均と、応募先が加算基準を公表しているかどうかで決めることになります。

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