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全国通訳案内士試験の合格率と科目は?観光庁の公表データを並べた

全国通訳案内士試験の直近5年の最終合格率は、2021年度が9.1%、2022年度が16.4%、2023年度が12.0%、2024年度が10.0%、2025年度が14.7%です。年によって7.3ポイントの幅で動いています。2025年度は3,987人が受験し、585人が最終合格しました。

この記事は、観光庁が公表している「全国通訳案内士試験ガイドライン」(令和7年4月7日改正)と「通訳ガイド制度」「全国通訳案内士とは」の各ページ、日本政府観光局(JNTO)が公表している「全国通訳案内士試験 受験者及び合格者数・合格基準」の年度別数表(2021年度〜2025年度)、「2026年度全国通訳案内士試験施行要領」、および e-Gov法令検索で読める通訳案内士法の条文に書かれている数字を、そのまま並べ直したものです。数字はすべて2026年9月11日に各公式サイトで確認しました。編集部が足したり割ったりした値には、その旨を必ず書き添えています。

目次

全国通訳案内士とは、報酬を得て外国人を案内する国家資格

まず法律上の位置づけです。通訳案内士法の第二条は逐語でこう定めています。「全国通訳案内士は、報酬を得て、通訳案内(外国人に付き添い、外国語を用いて、旅行に関する案内をすることをいう。以下同じ。)を行うことを業とする。」

資格を得る道筋も条文で決まっています。第三条は「全国通訳案内士試験に合格した者は、全国通訳案内士となる資格を有する。」、第十八条は「全国通訳案内士となる資格を有する者が全国通訳案内士となるには、全国通訳案内士登録簿に、氏名、生年月日、住所その他国土交通省令で定める事項の登録を受けなければならない。」と書かれています。試験に受かっただけでは全国通訳案内士にはならず、都道府県への登録がもう1段必要です。

項目 公表されている内容
根拠法 通訳案内士法(昭和24年法律第210号)
試験の実施 観光庁の代行機関として日本政府観光局(JNTO)が実施
実施回数 年1回
受験資格 年齢、性別、学歴、国籍等に関係なく、どなたでも受験できます(2026年度施行要領)
試験の外国語 英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、中国語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、韓国語、タイ語の10言語
登録先 居住する都道府県
登録者数 2025年4月1日現在の言語別延登録者数は27,950人(JNTOの表記)
英語表記 National Government Licensed Guide Interpreter

この資格は2018年に性格が大きく変わりました。JNTOの逐語は「平成30年1月4日より改正通訳案内士法が施行され、通訳案内士は『全国通訳案内士』(英語表記:National Government Licensed Guide Interpreter)となるほか、通訳案内士の業務独占規制が廃止され、資格を有さない方であっても有償で通訳案内業務を行えるようになるなど、通訳案内士制度が大きく変わりました。」です。

つまり現在は、資格がなくても有償で外国人を案内すること自体はできます。ただし名乗ることはできません。通訳案内士法第五十二条は「全国通訳案内士でない者は、全国通訳案内士又はこれに類似する名称を用いてはならない。」と定め、第六十四条はこれに違反した者を「三十万円以下の罰金に処する。」としています。業務独占から名称独占へ移った、という整理になります。

全国通訳案内士試験の合格率は、直近5年で9.1%から16.4%まで動いた

JNTOは年度ごとの受験者数・合格者数を数表で公表しています。2021年度から2025年度までの全言語合計を並べます。

年度 受験者数 第1次合格者数 第1次合格率 第2次受験者数 第2次合格率 最終合格者数 最終合格率
2021年度 3,834人 718人 19.3% 782人 44.4% 347人 9.1%
2022年度 3,472人 1,164人 34.8% 1,186人 48.1% 571人 16.4%
2023年度 3,638人 785人 22.7% 901人 48.4% 436人 12.0%
2024年度 3,849人 686人 18.0% 732人 52.6% 385人 10.0%
2025年度 3,987人 1,071人 27.6% 1,162人 50.3% 585人 14.7%

第2次(口述)の合格率は5年とも44%から53%の間に収まっているのに対し、第1次(筆記)の合格率は18.0%から34.8%まで動いています。最終合格率の年ごとの差は、ほとんど第1次側で生まれている、という読み方ができます(差の比較は編集部が表から読み取ったものです)。

この表には、そのままでは計算が合わない箇所があります。たとえば2025年度は第1次合格者が1,071人なのに、第2次受験者は1,162人で91人多くなっています。JNTOは数表に「※受験者数には、筆記試験免除者数を含む」と注記しています。筆記試験を免除された人は第1次を経由せずに第2次へ進むため、人数が逆転します。

同じ理由で、公表されている合格率は「合格者数÷受験者数」と一致しません。2025年度の英語なら、第1次合格者918人を受験者3,180人で割ると28.9%ですが、公表値は29.8%です。この0.9ポイントの差は編集部が割って比べたもので、JNTOが説明しているのは免除者を含むという注記だけです。合格率を自分で計算し直すと公表値とずれる点は、この数表を読むときに押さえておく必要があります。

全国通訳案内士試験の言語別合格率(2025年度)

10言語それぞれの数字を、JNTOの2025年度の数表どおりに並べます。

受験外国語 受験者数 第1次合格者 第1次合格率 第2次受験者 第2次合格率 最終合格者 最終合格率
英語 3,180人 918人 29.8% 989人 50.6% 500人 15.7%
中国語 268人 57人 21.8% 68人 42.6% 29人 10.8%
フランス語 146人 9人 6.2% 12人 33.3% 4人 2.7%
スペイン語 118人 29人 23.6% 30人 66.7% 20人 16.9%
韓国語 82人 12人 14.6% 15人 80.0% 12人 14.6%
イタリア語 55人 3人 5.7% 5人 80.0% 4人 7.3%
ドイツ語 47人 18人 38.3% 19人 47.4% 9人 19.1%
ロシア語 35人 4人 11.1% 4人 0.0% 0人 0.0%
ポルトガル語 34人 14人 42.4% 12人 33.3% 4人 11.8%
タイ語 22人 7人 35.0% 8人 37.5% 3人 13.6%
計 3,987人 1,071人 27.6% 1,162人 50.3% 585人 14.7%

2025年度の最終合格率が最も高かったのはドイツ語の19.1%、最も低かったのはロシア語の0.0%です。ロシア語は第1次を4人が通過して第2次に4人が進みましたが、第2次合格率が0.0%で最終合格者は0人でした。全体の14.7%を上回ったのはドイツ語・スペイン語・英語の3言語だけです(並べ替えは編集部が表から行ったものです)。

言語別の数字は年によって大きく振れます。参考までに、直近5年の最終合格率を言語ごとに並べます。

受験外国語 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度 2025年度
英語 8.5% 17.4% 12.9% 10.0% 15.7%
フランス語 18.7% 7.4% 5.2% 7.3% 2.7%
スペイン語 11.1% 16.2% 10.0% 12.1% 16.9%
ドイツ語 17.6% 25.0% 13.6% 6.3% 19.1%
中国語 7.3% 11.9% 9.7% 11.7% 10.8%
イタリア語 8.9% 16.9% 13.0% 3.2% 7.3%
ポルトガル語 12.0% 18.8% 6.3% 17.4% 11.8%
ロシア語 5.4% 11.9% 7.5% 14.0% 0.0%
韓国語 14.6% 21.8% 11.5% 10.6% 14.6%
タイ語 9.1% 0.0% 4.0% 5.0% 13.6%

英語以外の言語は受験者数が数十人規模なので、1人の合否で合格率が数ポイント動きます。2022年度のタイ語は受験者21人・第2次受験者1人で最終合格者0人、2021年度の韓国語は第2次受験者15人が全員合格して第2次合格率100.0%でした。少人数の言語の合格率を年単位で比べるときは、この分母の小ささを前提に見る必要があります。

全国通訳案内士試験の受験者は、8割が英語に集中している

言語ごとの人数の偏りも、数表からそのまま読めます。2025年度の内訳を割合にして並べます。

受験外国語 受験者数 全体に占める割合(編集部が割った値) 最終合格者数 合格者全体に占める割合(編集部が割った値)
英語 3,180人 79.8% 500人 85.5%
中国語 268人 6.7% 29人 5.0%
フランス語 146人 3.7% 4人 0.7%
スペイン語 118人 3.0% 20人 3.4%
韓国語 82人 2.1% 12人 2.1%
イタリア語 55人 1.4% 4人 0.7%
ドイツ語 47人 1.2% 9人 1.5%
ロシア語 35人 0.9% 0人 0.0%
ポルトガル語 34人 0.9% 4人 0.7%
タイ語 22人 0.6% 3人 0.5%

割合はすべて編集部がJNTOの人数から割った値で、JNTOが割合を公表しているわけではありません。受験者の約8割、最終合格者の約85%が英語です。英語以外の9言語を全部足しても807人で、英語1言語の4分の1に届きません(合計は編集部が足した値です)。

受験の仕方には、2か国語を同時に受けるという選択肢もあります。2026年度施行要領には二カ国語受験に関する注記が複数あり、「二カ国語受験者は、二カ国語ともに同一の受験地・試験会場です。」「二カ国語受験する方で、受験外国語に英語、中国語、韓国語以外の外国語が含まれる場合、口述試験受験地は東京近郊となります。」と書かれています。

全国通訳案内士試験の筆記(第1次)は5科目。配点と合格基準点が科目ごとに違う

筆記試験の科目は、通訳案内士法第六条第二項で決まっています。逐語は「筆記試験は、次に掲げる科目について行う。一外国語二日本地理三日本歴史四産業、経済、政治及び文化に関する一般常識五通訳案内の実務」です。観光庁のガイドラインは、この5科目それぞれについて試験時間・満点・合格基準点を示しています。

科目 試験時間 満点 合格基準点 問題数の目安 方式
外国語 90分 100点 原則70点 4題構成 多肢選択式(マークシート方式)
日本地理 30分 100点 原則70点 30問程度 多肢選択式(マークシート方式)
日本歴史 30分 100点 原則70点 30問程度 多肢選択式(マークシート方式)
一般常識 20分 50点 原則30点 20問程度 多肢選択式(マークシート方式)
通訳案内の実務 20分 50点 原則30点 20問程度 多肢選択式(マークシート方式)
合計 190分(編集部が足した値) 400点(編集部が足した値) ― ― ―

合格基準点は、100点満点の科目が7割、50点満点の科目が6割です。一般常識と通訳案内の実務だけ、必要な得点率が1割低く設定されています。合計の190分と400点はガイドラインの数字を編集部が足した値で、観光庁がこの合計を公表しているわけではありません。

合否の出し方も明記されています。ガイドラインの逐語は「筆記試験の合否判定については、科目ごとに合格基準点を設定し、すべての科目について合格基準点に達しているか否かを判定することにより行う。」です。総得点ではなく、5科目すべてで基準点を超える必要があります。1科目でも届かなければ、他が満点でも第1次は通りません。

外国語の中身も、配点の目安つきで書かれています。逐語は「出題は概ね、外国語文の読解問題1題(配点 40 点程度)、外国語文和訳問題1題(20 点程度)、和文外国語訳問題1題(20 点程度)、外国語による説明(あるテーマ、用語等について外国語で説明する)問題1題(20 点程度)を基準とする。」。100点のうち40点が読解で、残る60点は和訳・外国語訳・外国語による説明に20点ずつ割られています。

基準点が事後に調整されることがある

ガイドラインの逐語は「実際の平均点が、合格基準点から著しく乖離した科目については、当該科目の試験委員と試験実施事務局から構成される検討会を開催する。その結果、必要があると判断された場合には、合格基準の事後的な調整を行う。この調整は、平均点の乖離度及び得点分布を考慮して行う。」です。70点・30点という基準点は「原則として」と書かれており、年によって動く可能性が制度として用意されています。

全国通訳案内士試験の筆記は1日で5科目。朝10時から夕方4時50分まで

2026年度施行要領には、筆記試験当日のタイムテーブルが分単位で載っています。

試験科目 開場時間 着席時間(説明開始) 試験時間
外国語 10:00 10:45〜11:00 11:00〜12:30(90分)
昼休み(12:30〜13:10)
日本地理 13:10 13:30〜13:40 13:40〜14:10(30分)
日本歴史 ― 14:30〜14:40 14:40〜15:10(30分)
一般常識 ― 15:30〜15:40 15:40〜16:00(20分)
通訳案内の実務 ― 16:20〜16:30 16:30〜16:50(20分)

正味の試験時間は190分ですが、開場10:00から最終科目の終了16:50までの拘束は6時間50分です。この6時間50分は編集部が時刻から引いた値で、施行要領が合計を書いているわけではありません。施行要領は「※試験時間は変更になる場合があります。詳細は電子申請システムトップページ及び受験票にてご確認ください。」と注記しています。

受験地は8か所です。施行要領の逐語は「札幌市、仙台市、東京近郊、名古屋市、大阪近郊、広島市、福岡市、沖縄県」。会場の通知方法についても「試験会場は 8 月上旬頃に電子申請システム内のマイページに公開する受験票でお知らせします。受験票の郵送による交付はありません。」と書かれています。

全国通訳案内士試験の口述(第2次)は10分程度。評価項目は5つ

第2次は面接形式です。通訳案内士法第六条第三項は「口述試験は、筆記試験に合格した者につき、通訳案内の実務について行う。」と定めています。観光庁のガイドラインは、この試験の中身をこう書いています。

項目 ガイドラインに書かれている内容
試験時間 10分程度
使う外国語 受験者が筆記試験において選択したものと同一のもの
出題数 2題
1題目 通訳案内の現場で必要となる知識等に関する外国語訳及び全国通訳案内士として求められる対応に関する質疑(試験委員が読み上げる日本語を外国語訳し、関連した質疑を行う。メモを取ることが認められる)
2題目 プレゼンテーション問題(提示される3つのテーマから受験者が1つを選び、外国語で説明し、試験委員と外国語で質疑応答を行う)
合格基準点 原則として7割

採点の観点も5つ列挙されています。ガイドラインの表記どおりに並べると、「プレゼンテーション」「コミュニケーション(臨機応変な対応力、会話継続への意欲等)」「文法及び語彙」「発音及び発声」「ホスピタリティ(全国通訳案内士としての適切な受け答え等)」です。語学力に当たるのは5項目のうち「文法及び語彙」「発音及び発声」の2つで、残る3つは伝え方と振る舞いの側に置かれています。

試験の性格そのものも定義されています。逐語は「受験者に通訳案内の業務を擬似的に行わせることにより実施するものとする。」。語学の運用を単体で見るのではなく、案内の場面を模したうえで見る、という設計です。

口述試験の受験地は、筆記より限られます。2026年度施行要領の逐語は「英語・中国語・韓国語:東京近郊、大阪近郊、福岡市」「上記以外の外国語:東京近郊のみ」です。フランス語やスペイン語など7言語で受ける人は、第2次を東京近郊でしか受けられません。筆記を札幌市や沖縄県で受けた英語・中国語・韓国語の受験者についても、「口述試験受験地を『東京近郊、大阪近郊、福岡市』から選択していただきます」と書かれています。

全国通訳案内士試験には20通りの免除がある。語学資格でも科目が消える

免除の根拠は通訳案内士法第七条です。2026年度施行要領は「免除申請早見表(P.21~23)の(1)から(20)に該当する方は、筆記試験科目の一部または全科目の免除を申請できます(通訳案内士法第7条)。」として、20通りの免除を用意しています。観光庁のガイドラインに書かれている条件を、外国語筆記が消えるものから並べます。

持っている資格・実績 免除される科目
実用英語技能検定 1級に合格 外国語筆記試験(英語)
TOEIC Listening & Reading Test(公開テストに限る)900点以上 外国語筆記試験(英語)
TOEIC Speaking Test(公開テストに限る)160点以上 外国語筆記試験(英語)
TOEIC Writing Test(公開テストに限る)170点以上 外国語筆記試験(英語)
実用フランス語技能検定試験 1級に合格 外国語筆記試験(フランス語)
スペイン語技能検定 1級に合格/DELEのC1・C2・Superiorに合格 外国語筆記試験(スペイン語)
ドイツ語技能検定試験 1級に合格 外国語筆記試験(ドイツ語)
中国語検定試験 1級に合格/HSK6級180点以上/TOCFL Level6 精通級(C2)に合格 外国語筆記試験(中国語)
実用イタリア語検定 1級に合格 外国語筆記試験(イタリア語)
「ハングル」能力検定試験 1級に合格/韓国語能力試験(TOPIK)6級に合格 外国語筆記試験(韓国語)
総合旅行業務取扱管理者試験または国内旅行業務取扱管理者試験に合格 日本地理
歴史能力検定の日本史1級または日本史2級に合格 日本歴史
大学入学共通テストの日本史Bまたは旧日本史Bで60点以上(5年以内) 日本歴史
大学入学共通テストの現代社会または旧現代社会で80点以上(5年以内) 一般常識
一の外国語で筆記試験に合格 次回の全国通訳案内士試験の当該外国語による筆記試験
一の外国語で全国通訳案内士試験に合格 他の外国語で受験する場合の日本地理等筆記試験
筆記試験の一部の科目で合格基準に達した 次回の当該科目の筆記試験
一の外国語による地域限定通訳案内士試験に合格 外国語筆記試験

TOEICの免除には期限が付いています。ガイドラインの逐語は「当該得点を得たテストの行われた日の属する年度又は当該年度の翌年度に実施される全国通訳案内士試験を受ける者に限る」。取得した年度とその翌年度までで、大学入学共通テストの5年以内より短く設定されています。

免除の対象になっていない言語もあります。ガイドラインの免除規定を通しで確認したところ、外国語筆記試験の免除が用意されているのは英語・フランス語・スペイン語・ドイツ語・中国語・イタリア語・韓国語の7言語で、ポルトガル語・ロシア語・タイ語については外国語筆記試験を免除する規定がありません。この3言語はガイドラインの中で、試験で出題する外国語の一覧に名前が出てくるだけです。

免除を使っても受験手数料は変わりません。2026年度施行要領の逐語は「※免除の有無による受験手数料の減額はありません。」です。

全国通訳案内士試験の受験手数料は14,850円。返還されない

2026年度の金額は施行要領に載っています。支払方法ごとに事務手続手数料が別に乗ります。

区分 受験手数料 事務手続手数料 支払総額
1か国語受験・クレジットカード払い 14,850円 495円 15,345円
1か国語受験・コンビニ払い 14,850円 350円 15,200円
2か国語受験・クレジットカード払い 29,700円 986円 30,686円
2か国語受験・コンビニ払い 29,700円 548円 30,248円

金額はいずれも2026年度の公表値です。なお2026年度施行要領のPDF全文を検索したところ、「税込」「税抜」「消費税」という語は1件も出てきませんでした。税込か税抜かの別は書かれていないため、公表されている金額をそのまま載せています。支払方法の違いで、1か国語受験なら145円、2か国語受験なら438円の差が出ます(差は編集部が引いた値です)。施行要領は「クレジットカード又はコンビニエンスストアでのお支払いのみ受け付け可能です。郵便、銀行振替送金でのお支払いはできません」とも書いています。

返金の扱いは法律で決まっています。通訳案内士法第十条第二項は「前項の規定により納付した受験手数料は、全国通訳案内士試験を受けなかつた場合においても返還しない。」。施行要領も「※受領した受験手数料は、通訳案内士法 第 10 条の規定により返還いたしません。」と、条文を引いて明記しています。

全国通訳案内士試験の2026年度の日程は、願書から合格発表まで約7か月半

JNTOが公表している2026年度のスケジュールを並べます。

工程 日付
ガイドライン公開 2026年4月6日(月)
官報公示 2026年4月28日(火)
施行要領公開 2026年5月22日(金)
願書受付 2026年6月1日(月)〜7月9日(木)
筆記試験 2026年8月16日(日)
筆記試験合格発表 2026年9月25日(金)(予定)
口述試験 2026年11月29日(日)
最終合格発表 2027年1月22日(金)(予定)

願書受付の初日から最終合格発表までは約7か月半、筆記試験の日から最終合格発表までは約5か月です(期間は編集部が日付から数えた値です)。筆記試験と口述試験の間は8月16日から11月29日までの105日で、この間に筆記の合格発表が挟まります。

2026年度の出願はすべて電子化されています。JNTOの逐語は「施行要領の公開は電子媒体のみで、出願方法も電子申請のみとなります。」「郵送での施行要領配付および出願受付は行いません。」。受験票も同様で、施行要領は「受験票の郵送による交付はありません。」と書いています。

最終合格の発表方法は2通りです。施行要領の逐語は「① 官報にて合格者を発表します。」「② 受験者全員に結果をマイページにて公開します。」で、官報については「発表日から一定期間のみ閲覧可能」という注記が付いています。

全国通訳案内士は合格後も終わらない。登録と研修が法律で決まっている

試験に合格したあとの手続きも、条文で決まっています。第十八条の登録に加えて、第十九条は「全国通訳案内士登録簿は、都道府県に備える。」と定めています。登録先は国ではなく都道府県です。

登録後には、繰り返し受ける義務が付きます。通訳案内士法第三十条第一項の逐語は「全国通訳案内士は、三年以上五年以内において国土交通省令で定める期間ごとに、第三十五条から第三十七条までの規定により観光庁長官の登録を受けた者(以下『登録研修機関』という。)が実施する通訳案内に関する研修(以下『通訳案内研修』という。)を受けなければならない。」です。

観光庁は、この期間を具体的に示しています。逐語は「全国通訳案内士は、5年に1度、観光庁が登録した研修機関が実施する研修を受講しなければなりません。」「2回目以降については、前回の受講日から5年を超えない期間までに受講ください。」。合格して登録したら終わりではなく、5年ごとに研修を受け続ける資格です。

合格後に必要なこと 根拠
居住する都道府県知事への登録 通訳案内士法第十八条・第十九条
5年に1度の通訳案内研修の受講 通訳案内士法第三十条/観光庁「通訳ガイド制度」
欠格事由に当たらないこと 通訳案内士法第四条(1年以上の拘禁刑で刑の執行を終わった日等から2年を経過しない者、登録を取り消され2年を経過しない者)

登録が取り消される場合も定められています。第二十五条第一項は「都道府県知事は、全国通訳案内士が次の各号のいずれかに該当する場合には、その登録を取り消さなければならない。一第四条各号のいずれかに該当するに至つたとき。二偽りその他不正の手段により全国通訳案内士の登録を受けたことが判明したとき。」としています。

全国通訳案内士で、公表されていない数字

よく探されるのに、公式に数字が出ていないものを、公表されている範囲と合わせて並べます。

数字 公表の状況
2026年度の受験者数・合格者数 2026年9月11日時点でJNTOが公表していた数表は2025年度分までで、2026年度は筆記試験の問題と解答一覧が公開された段階だった
2020年度以前の受験者数・合格者数 JNTOのページから直接たどれる数表は2021年度分までだった
科目ごとの合格者数・平均点 ガイドラインは合格基準点を示しているが、実際の平均点や科目別の通過者数は公表されていない
全国通訳案内士の年収・稼働率 観光庁・JNTOの公表ページに収入に関する数字の掲載はない
都道府県別の登録者数 JNTOは2025年4月1日現在の言語別延登録者数27,950人を示しているが、都道府県別の内訳は今回参照したページに掲載されていなかった
ポルトガル語・ロシア語・タイ語の外国語筆記免除 観光庁のガイドラインの免除規定にこの3言語の記載はない
通訳案内研修の受講料 法第四十一条で登録研修機関が料金を定めると規定されているだけで、金額は機関ごとに決まるため一次ソースが1本に定まらない
二カ国語受験者の人数 施行要領に二カ国語受験の制度は書かれているが、人数は公表されていない

「全国通訳案内士の平均年収」という形の答えは、観光庁とJNTOの公表資料からは出せません。参照した各ページに収入に関する数字が置かれていないためです。数字が要るなら、業界団体や求人情報など別の出どころを当たることになります。

全国通訳案内士を目指すとき、最後に確認しておくこと

この記事で並べた数字を、確認の順番にまとめます。

  • 最終合格率は直近5年で9.1%〜16.4%。2025年度は14.7%(585人/3,987人)
  • 年ごとの振れはほぼ第1次(筆記)側で生まれている。第2次は44%〜53%で安定
  • 2025年度の言語別最終合格率はドイツ語19.1%が最高、ロシア語0.0%が最低
  • 受験者の約8割、最終合格者の約85%が英語
  • 筆記は5科目。外国語・日本地理・日本歴史が各100点で基準点70点、一般常識・通訳案内の実務が各50点で基準点30点
  • 筆記は総得点ではなく、5科目すべてで基準点に達する必要がある
  • 筆記当日は開場10:00から最終科目終了16:50まで。正味190分
  • 口述は10分程度・2題・合格基準点は原則7割。評価項目は5つ
  • 口述の受験地は、英語・中国語・韓国語以外は東京近郊のみ
  • 免除は20通り。英検1級やTOEIC L&R 900点以上などで外国語筆記が消える
  • TOEICによる免除は取得年度とその翌年度まで。共通テストによる免除は5年以内
  • 受験手数料は1か国語14,850円。免除があっても減額されず、返還もされない
  • 合格後は都道府県への登録と、5年ごとの通訳案内研修が法律上の義務になる

この試験で最初に決めるべきなのは、勉強法ではなく「どの免除を先に取りに行くか」です。筆記は5科目すべてで基準点に達する必要があるので、外国語・日本歴史・一般常識のどれかを別資格で落とせれば、当日に向き合う科目の数が減ります。免除の条件も期限も、観光庁のガイドラインと当年度の施行要領に全部書かれています。

この記事の数字の出どころ

受験者数・合格者数・合格率は日本政府観光局(JNTO)「全国通訳案内士試験 受験者及び合格者数・合格基準」の年度別数表(2021年度〜2025年度)、科目・試験時間・満点・合格基準点・口述試験の評価項目・免除の条件は観光庁「全国通訳案内士試験ガイドライン」(令和7年4月7日改正)、2026年度の日程・受験手数料・受験地・当日のタイムテーブルはJNTO「2026年度全国通訳案内士試験施行要領」、登録者数と制度の説明はJNTO「全国通訳案内士試験概要」および観光庁「通訳ガイド制度」「全国通訳案内士とは」、条文はe-Gov法令検索の通訳案内士法から採りました。いずれも2026年9月11日に開いて確認しています。

この記事で使った全国通訳案内士の一次ソース

すべて2026年9月11日に開いて確認しました。リンクは張っていないため、アドレスをコピーして開いてください。

観光庁|全国通訳案内士試験ガイドライン(PDF・令和7年4月7日改正。科目・配点・合格基準点・免除規定):https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001882032.pdf

観光庁|通訳ガイド制度(制度の概要・5年に1度の研修):https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kokusai/tsuyaku.html

観光庁|全国通訳案内士とは(登録の手順・根拠条文):https://www.mlit.go.jp/kankocho/seisaku_seido/tsuyaku_guide/zenkoku_annaishi.html

日本政府観光局(JNTO)|全国通訳案内士試験 受験者及び合格者数・合格基準:https://www.jnto.go.jp/projects/visitor-support/interpreter-guide-exams/exam-results.html

日本政府観光局(JNTO)|2025年度 受験者数及び合格者数(PDF):https://www.jnto.go.jp/final_guide_gokakusha_2025.pdf

日本政府観光局(JNTO)|2024年度 受験者数及び合格者数(PDF):https://www.jnto.go.jp/final_guide_gokauksha_2024.pdf

日本政府観光局(JNTO)|2023年度 受験者数及び合格者数(PDF):https://www.jnto.go.jp/final_guide_gokauksha_2023.pdf

日本政府観光局(JNTO)|2022年度 受験者数及び合格者数(PDF):https://www.jnto.go.jp/projects/visitor-support/interpreter-guide-exams/final_guide_gokauksha_2022.pdf

日本政府観光局(JNTO)|2021年度 受験者数及び合格者数(PDF):https://www.jnto.go.jp/projects/visitor-support/interpreter-guide-exams/final_guide_gokauksha_2021.pdf

日本政府観光局(JNTO)|2026年度全国通訳案内士試験施行要領(PDF・日程・手数料・受験地・タイムテーブル):https://www.jnto.go.jp/operation2026.pdf

日本政府観光局(JNTO)|2026年度全国通訳案内士試験(スケジュール):https://www.jnto.go.jp/projects/visitor-support/interpreter-guide-exams/exam.html

日本政府観光局(JNTO)|全国通訳案内士試験概要(登録者数・制度の説明):https://www.jnto.go.jp/projects/visitor-support/interpreter-guide-exams/

e-Gov法令検索|通訳案内士法(昭和24年法律第210号):https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000210

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