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高校生の海外留学は何人?文部科学省の調査データを並べた

高校生の海外留学は何人?文部科学省の調査データを並べた

外国の高等学校等へ3か月以上の留学をした日本の高校生は、令和5年度で3,174人だった。文部科学省が令和7年3月28日に公表した「令和5年度 高等学校等における国際交流等の状況について」の数字で、3か月未満の研修旅行31,711人と合わせると約3.5万人になる。

この記事は、文部科学省・日本学生支援機構(JASSO)が公表している高校生の留学に関する統計を並べ直したものである。数字は2026年9月21日に各機関の公式サイトで確認した。確認が取れなかったものは載せていない。留学をすすめる記事ではなく、公表されている人数をそのまま置く記事である。

目次

高校生の海外留学(3か月以上)は3,174人だった

文部科学省は、高校生の海外留学の状況を昭和61年度から隔年で調べている。令和5年度の調査は18回目にあたり、公表は令和7年3月28日だった。派遣側の3項目を並べると次のようになる。

派遣の種類令和5年度令和3年度平成29年度
留学(3か月以上)3,174人1,901人4,076人
研修旅行(3か月未満)31,711人1,217人42,793人
修学旅行66,618人0人179,910人

文部科学省が「高校生の留学生数」として扱っているのは、上の表の1段目と2段目を足した数である。令和5年度は約3.5万人で、平成29年度の約4.7万人に対して約1万2千人少ない。令和3年度の約0.3万人からは戻っている。

この調査が数えているもの

調査対象は高等学校、中等教育学校の後期課程、特別支援学校の高等部、専修学校の高等課程である。令和5年度から専修学校高等課程も対象に加わった。数字はいずれも延べ数で、同じ生徒が複数の国・地域へ行った場合は、それぞれの国・地域に計上されている。

高校生の留学先は44か国・地域、最多はカナダ998人

3か月以上の留学をした高校生3,174人の行き先は44か国・地域にわたる。付属表に載っている国・地域別の人数のうち、上位20を並べる。

順位国・地域生徒数公立私立国立
1カナダ998人143人853人2人
2アメリカ653人245人393人15人
3ニュージーランド551人57人490人4人
4オーストラリア349人86人261人2人
5イギリス85人14人70人1人
6イタリア60人24人35人1人
7フランス51人20人29人2人
8ドイツ49人27人20人2人
9オーストリア27人7人20人0人
10スペイン22人12人9人1人
11フィンランド20人11人9人0人
12メキシコ18人10人8人0人
13ベルギー17人8人8人1人
14スイス15人8人6人1人
14タイ15人6人9人0人
16デンマーク14人5人9人0人
16ハンガリー14人10人4人0人
16中国14人6人6人2人
19台湾13人2人11人0人
20アラブ首長国連邦12人1人11人0人
-合計(44か国・地域)3,174人776人2,361人37人

上位4か国だけで2,551人になる。編集部が合計から割り算すると全体の80.4%が、カナダ・アメリカ・ニュージーランド・オーストラリアの4か国に集まっている。5位のイギリスは85人で、4位との差は264人ある。

高校生の留学者数は私立が2,361人で全体の74.4%

同じ3,174人を、学校の設置者で分けた数字が公表されている。派遣した学校の実数も併せて置く。

設置者留学した生徒数派遣した学校数(実数)留学先の国・地域数
公立776人388校39か国・地域
私立2,361人410校41か国・地域
国立37人11校14か国・地域
合計3,174人809校44か国・地域

編集部が構成比を計算すると、私立が74.4%、公立が24.4%、国立が1.2%になる。派遣した学校の数は公立388校と私立410校でほとんど差がないのに、生徒数では私立が公立の約3.0倍という形になっている。

高校生の留学者数は平成4年度から令和5年度まで上下している

3か月以上の留学については、平成4年度からの数字が同じ資料に載っている。年度ごとの合計と、設置者別の内訳を並べる。

年度合計公立私立国立
平成4年度4,487人2,434人2,053人調査対象外
平成8年度4,481人2,009人2,472人調査対象外
平成12年度4,358人1,915人2,443人調査対象外
平成16年度4,441人1,583人2,821人37人
平成20年度3,208人990人2,200人18人
平成23年度3,257人918人2,308人31人
平成25年度3,897人1,104人2,742人51人
平成27年度4,197人1,083人3,056人58人
平成29年度4,076人1,129人2,897人50人
令和元年度(参考値)2,870人684人2,139人47人
令和3年度1,901人458人1,415人28人
令和5年度3,174人776人2,361人37人

底は令和3年度の1,901人で、直近のピークだった平成27年度の4,197人と比べると半分を下回っている。令和5年度は令和3年度から1,273人増えたが、編集部が計算すると平成29年度に対しては902人少ない(22.1%減)ところまでしか戻っていない。平成4年度からの32年間で最も多いのは平成4年度の4,487人である。

平成4年度から平成14年度までの注意

資料の注記に「平成4〜14年度は私立及び公立のみ調査対象」とある。国立の欄が空いているのは、国立の高校生が0人だったからではなく、その年度は数えていないためである。

高校生の留学先は年度によって入れ替わっている

行き先の国・地域は固定ではない。平成12年度から令和5年度までの主要5か国の人数を並べる。

年度カナダアメリカニュージーランドオーストラリアイギリス
平成12年度519人2,032人508人598人257人
平成16年度586人1,727人646人741人243人
平成20年度463人1,158人582人438人147人
平成25年度642人1,156人847人454人170人
平成27年度791人1,245人833人515人131人
平成29年度937人1,151人704人522人73人
令和元年度(参考値)710人798人491人320人69人
令和3年度973人499人5人53人60人
令和5年度998人653人551人349人85人

平成12年度はアメリカが2,032人で全体の約47%を占めていた。令和5年度のアメリカは653人で、編集部が計算すると平成12年度から67.9%減である。逆にカナダは519人から998人へ増え、令和3年度以降は1位になっている。ニュージーランドは令和3年度に5人まで落ちたあと、令和5年度は551人まで戻った。

高校生の研修旅行(3か月未満)は31,711人だった

3か月未満の語学研修や交流事業を目的とした渡航は、留学とは別枠で数えられている。令和5年度は31,711人、派遣した学校は実数1,484校、行き先は47か国・地域である。

年度合計オーストラリアアメリカ台湾イギリスカナダ
平成12年度39,310人11,188人10,461人209人5,149人4,355人
平成20年度27,134人8,887人5,400人190人2,809人2,896人
平成25年度38,152人9,819人10,100人779人4,568人3,914人
平成29年度42,793人10,888人9,123人2,390人3,395人4,438人
令和元年度(参考値)22,354人5,669人3,609人2,086人1,706人1,618人
令和3年度1,217人164人400人1人98人243人
令和5年度31,711人7,774人4,626人3,214人2,826人2,604人

3か月以上の留学と行き先の並びが違う点が目立つ。研修旅行の1位はオーストラリアで、台湾が3,214人で3位に入っている。台湾は平成12年度には209人だったので、この23年で15倍以上になった計算になる(編集部の計算)。令和5年度の合計は平成29年度から11,082人少なく、25.9%減である。

高校生の海外への修学旅行は66,618人まで戻った

学校行事としての修学旅行で外国を訪れた高校生は、令和5年度で66,618人だった。令和3年度は0人だったので、実施そのものが止まっていたことになる。

年度参加生徒数実施校数(延べ)行き先の国・地域数
平成12年度196,971人1,232校公表なし
平成20年度179,933人1,359校公表なし
平成27年度164,929人1,279校公表なし
平成29年度179,910人1,337校公表なし
令和元年度(参考値)163,394人1,257校公表なし
令和3年度0人0校0
令和5年度66,618人709校29か国・地域

令和5年度の行き先はオーストラリア12,304人、シンガポール11,734人、台湾10,616人、アメリカ9,904人、マレーシア5,810人の順である。編集部が計算すると、参加者数は平成29年度から113,292人少なく、63.0%減にとどまっている。3つの派遣区分のうち、戻りがいちばん遅いのが修学旅行である。

高校生の何人に1人が3か月以上の留学をしたかを計算した

人数だけでは規模が分かりにくいので、分母を置いて割り算する。分母は文部科学省「令和5年度学校基本調査」(確定値、調査期日は令和5年5月1日)の高等学校の在学者数を使った。

区分高等学校の在学者数3か月以上の留学者数在学者1万人あたり
公立1,897,321人776人4.1人
私立1,013,176人2,361人23.3人
国立8,004人37人46.2人
合計2,918,501人3,174人10.9人

右端の列は編集部が計算したものである。全体では在学者1万人あたり10.9人、割合にすると0.11%で、およそ920人に1人という水準になる。設置者別では、私立が公立の約5.7倍、国立が公立の約11.3倍である。

この割り算の限界

分子の3,174人は中等教育学校後期課程・特別支援学校高等部・専修学校高等課程を含む延べ数で、分母の2,918,501人は高等学校だけの実数である。分子と分母の範囲が完全には一致していないため、この列はおおまかな規模を示す概算として見る必要がある。厳密な留学率として公表されている数字ではない。

高校生を受け入れる側の人数も公表されている

同じ調査は、日本の高等学校等が外国から受け入れた人数も数えている。派遣とは別の3項目である。

受け入れの種類令和5年度令和3年度平成29年度最多の出身国・地域
外国人留学生(3か月以上)1,864人859人2,621人中国869人
研修旅行生(3か月未満)2,601人33人3,448人アメリカ478人
学校訪問を伴う教育旅行24,749人12人39,531人台湾7,081人

文部科学省は、第4期教育振興基本計画の数値目標として「2033年に外国人留学生2万人」を挙げている。上の表の1段目と2段目を足した令和5年度の実績は約4千5百人で、コロナ禍前の約6千人からは約1千6百人少ない。3か月以上の受け入れ1,864人のうち中国が869人を占め、56か国・地域から来ている。

高校生の卒業後に海外の高等教育機関へ進んだのは1,635人

在学中の留学とは別に、卒業後そのまま海外の大学等へ進んだ人数も同じ調査に入っている。令和5年度卒業生では1,635人で、令和3年度から211人増えた。進学先は32か国・地域である。

区分人数
アメリカ520人
韓国194人
台湾167人
オーストラリア159人
マレーシア139人
大学(学部・ファンデーションコース)1,372人
語学学校154人
短期大学52人
大学院28人
合計1,635人

上の5行が進学先の国・地域、下の4行が機関の種別である。在学中の留学ではアメリカが2位でカナダが1位だったのに対し、卒業後の進学ではアメリカが520人で1位になっている。種別では大学が1,372人で83.9%を占める(編集部の計算)。

高校生と大学生等では留学者数の桁が違う

日本学生支援機構(JASSO)が令和7年4月30日に公表した「2023(令和5)年度日本人学生留学状況調査」では、2023年度に海外への留学を開始した日本人留学生は89,179人だった。こちらの調査対象は日本国内の高等教育機関等に在籍する学生で、高校生は含まない。

国・地域2023年度2022年度増減率
アメリカ合衆国13,517人11,880人13.8%
オーストラリア9,163人6,187人48.1%
韓国8,384人4,679人79.2%
カナダ7,621人6,735人13.2%
台湾5,048人1,793人181.5%
英国5,037人3,425人47.1%
合計89,179人58,162人53.3%

高校生の3か月以上の留学3,174人と並べると、約28.1倍の開きがある(編集部の計算)。ただしJASSOの89,179人には1か月未満の短期も含まれており、文部科学省の3,174人は3か月以上に限った数である。数え方の範囲が違うため、この倍率はそのまま「高校生は大学生の28分の1しか留学していない」とは読めない。

高校生の留学データで読み違えやすい4点

同じ資料の中に、数字の読み方を縛る注記がいくつも置かれている。並べたデータを見るときに前提となるものを4つ挙げる。

数字はすべて延べ数

留学者数も学校数も延べ数で、同じ生徒が複数の国・地域へ留学した場合はそれぞれの国・地域に計上される。国別の人数を足した3,174人と、実際に留学した生徒の実人数は一致しない。学校数だけは「実数」と「延べ数」が別に書かれており、3か月以上の留学では実数809校・延べ1,554校である。

調査は隔年でしか行われない

この調査は昭和61年度から2年に1回のペースで実施されている。令和5年度が18回目で、令和4年度や令和6年度の数字は存在しない。前回は令和3年度、その前は令和元年度である。毎年の数字は公表されていないため、年単位の推移を出すことはできない。

令和元年度の数値は参考値

令和元年度の欄には資料側で「参考値」と注記されている。推移グラフの中で唯一の扱いになっているので、令和元年度を基準にした増減率を出すときは注意が要る。姉妹校提携についても、平成30年は調査方法が違うため参考値とされている。

調査対象は高等学校だけではない

調査対象は高等学校、中等教育学校後期課程、特別支援学校高等部、専修学校高等課程である。専修学校高等課程が加わったのは令和5年度からなので、令和3年度以前との比較には対象範囲のずれが含まれている。付属表には参考として小学校・中学校の数字も収録されている。

高校生の海外留学の数字で最後に確認しておくこと

この記事で並べた数字を、もう一度短くまとめる。

この記事に出てきた主な数字
  • 3か月以上の留学をした高校生=令和5年度3,174人(令和3年度1,901人、平成29年度4,076人)
  • 行き先=44か国・地域。カナダ998人、アメリカ653人、ニュージーランド551人、オーストラリア349人、イギリス85人
  • 設置者別=公立776人、私立2,361人、国立37人。私立が74.4%(編集部の計算)
  • 3か月未満の研修旅行=31,711人。修学旅行=66,618人
  • 留学と研修旅行の合計=約3.5万人。第4期教育振興基本計画の2033年目標は12万人
  • 在学者1万人あたり10.9人=およそ920人に1人(編集部の計算、分子と分母の範囲は完全一致しない)
  • 受け入れ側=外国人留学生1,864人、研修旅行生2,601人、教育旅行24,749人
  • 卒業後に海外の高等教育機関へ進学=1,635人
【この記事の数字の出どころ】
  • 文部科学省 総合教育政策局国際教育課「令和5年度 高等学校等における国際交流等の状況について」(令和7年3月28日公表、調査対象期間=令和5年度、18回目の調査)。3か月以上の留学者数、研修旅行、修学旅行、国・地域別内訳、設置者別内訳、年度推移、受け入れ人数、海外の高等教育機関等への進学者数、付属表の国・地域別順位はすべてこの資料による
  • 文部科学省「令和5年度学校基本調査」確定値(令和5年12月20日公表、調査期日=令和5年5月1日)。高等学校の在学者数2,918,501人(国立8,004人・公立1,897,321人・私立1,013,176人)と学校数4,791校はこの資料による
  • 独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)「2023(令和5)年度日本人学生留学状況調査」(令和7年4月30日公表)。日本人留学生89,179人と国・地域別の内訳はこの資料による
  • 構成比・増減率・1万人あたりの人数・倍率は、上記の公表値をもとに編集部が計算したもの。公表されている数字ではない
  • 数字の確認日=2026年9月21日。確認が取れなかった数字は記事に載せていない

高校生の海外留学に関する全国規模の統計は、文部科学省のこの隔年調査がほぼ唯一の情報源である。次回の対象は令和7年度で、公表は例年どおりなら2年後になる。本記事の数字は公表時点のものなので、最新の値は各機関の公表資料で確認してほしい。

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