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英検の難易度は本当に上がった?2016・2017・2024の変更を年表で検証

「英検の難易度が上がった」と言われますが、英検協会は「難易度を上げた」とも「下げた」とも一度も公表していません。公表されているのは、問題数・出題形式・試験時間が何年度に何級でどう変わったか、という変更内容だけです。

その公表内容を1つずつ突き合わせると、書く課題が1題から2題に増えたのは準1級・準2級・3級の3つだけで、1級と2級は選択式の問題が減っただけでした。つまり「上がった」も「下がった」も、級によって答えが違います。

この記事は、公益財団法人 日本英語検定協会の公式サイトおよび公式リリースから2026年9月7日に取得した数字だけを使い、「難易度が上がった」と言われる根拠を年表にして検証したものです。体感や口コミは1件も使っていません。

目次

英検の難易度は本当に上がった?重くなった級と、軽くなった級が分かれる

直近で最も大きい変更が2024年度第1回検定からの問題形式リニューアルです。その協会の公表内容を、級ごとに「重くなった点」と「軽くなった点」に分けて並べます。

級 重くなった点 軽くなった点
1級 なし 選択式が41問→35問
準1級 ライティングが1題→2題(要約が追加) 選択式が41問→31問
2級 なし 選択式が38問→31問
準2級 ライティングが1題→2題(Eメールが追加) 選択式が37問→29問/試験時間が75分→80分
3級 ライティングが1題→2題(Eメールが追加) 試験時間が50分→65分(問題数は変更なし)

「上がった」と公表事実で言えるのは、書く課題が増えた準1級・準2級・3級です。1級と2級は書く課題が変わらず、選択式だけが減りました。

さらに長い目で見ると、2016年度に2級へ、2017年度に準2級と3級へライティングが導入され、3級以上の全級が4技能化しています。次の見出しから、その3回の変更を協会の公表内容だけで1つずつ確認します。

この記事が断定しないこと

協会は「難易度を上げた」とも「下げた」とも公表していません。この記事は公表された変更内容を並べているだけで、合格しやすくなったか・しにくくなったかは判定していません。

英検の難易度が「上がった」と言われる根拠①2016年度の変更

体感の話を除き、協会が実際に公表した変更だけを時系列で並べます。まず2016年度第1回検定です。

  • 全級で合否判定の方法が変わった:一次・二次とも「CSE2.0」に基づくスコアを技能別に算出し、それに基づいて合否を判定する方式になった
  • 2級にライティングテストが導入された:これに伴い語句整序問題が削除された
  • 4級・5級にスピーキングテストが導入された:ただし級認定には影響しない別建ての合否
  • 準1級のライティングが形式変更:メール形式からエッセイ形式に変わり、120語〜150語程度が求められるようになった

技能別にスコアを出す方式になったことで、「1技能が極端に低いと総合点で補いにくい」という受け止め方が広がりました。ただし協会は各技能の最低点を合格条件として公表しているわけではありません。

英検の難易度が「上がった」と言われる根拠②2017年度の4技能化

2016年10月14日の協会リリースは、翌2017年度第1回検定から準2級と3級にライティングテストを導入すると発表しています。

同リリースには「これにより、『4級』、『5級』を除く、『3級』以上の全級で4技能化が実現します」と書かれています。

年度 ライティングが課される級 スピーキングが課される級
2015年度まで 1級・準1級 1級・準1級・2級・準2級・3級(面接)
2016年度第1回から 1級・準1級・2級 上記に加え4級・5級(録音形式・任意)
2017年度第1回から 1級・準1級・2級・準2級・3級 変更なし

3級と準2級の受験者にとっては、2017年度に「書く問題が0題から1題に増えた」ことになります。これは公表された事実です。

協会は準2級の英作文をCEFRのA2レベル、3級をA1レベルと整合させた出題だと説明しています。

英検の難易度が「上がった」と言われる根拠③2024年度の問題形式リニューアル

直近で最も大きい変更が、2024年度第1回検定からの問題形式一部リニューアルです。対象は3級以上(1級・準1級・2級・準2級・3級)でした。

級 筆記の問題数 ライティングの変更 筆記の試験時間
1級 41問→35問(大問1の単語問題を3問削除、大問3の長文内容一致を3問削除) 変更なし 変更なし(100分)
準1級 41問→31問(大問1の単語問題を7問削除、大問3の長文内容一致を3問削除) 1題から2題へ増加。既存の意見論述に加え「要約」問題を出題 変更なし(90分)
2級 38問→31問(大問1の文法問題などを3問削除、大問3Bの長文内容一致を4問削除) 変更なし 変更なし(85分)
準2級 37問→29問(大問1の熟語・文法問題などを5問削除、大問3Bの語句空所補充を3問削除) 1題から2題へ増加。既存の意見論述に加え「Eメール」問題を出題 75分→80分に延長
3級 変更なし 1題から2題へ増加。既存の意見論述に加え「Eメール」問題を出題 50分→65分に延長

準1級では二次試験にも変更が入り、受験者自身の意見を問う質問(No.4)に話題導入文が追加されました。

「難易度が上がった」と言われるのは、この表の真ん中の列が理由です。準1級・準2級・3級は、書く課題が1題から2題に増えました。

英検の難易度は、同じリニューアルで「下がった」面もある

同じ2024年度の変更表を、別の列で読むと逆のことが書いてあります。

  • 選択式の問題数は全級で減った:1級は41問から35問、準1級は41問から31問、2級は38問から31問、準2級は37問から29問
  • 削られたのは語彙・文法の単問が中心:協会の表記では「単語問題」「熟語・文法問題など」の削除が明記されている
  • 準2級と3級は試験時間が延びた:準2級は5分、3級は15分の延長

3級は問題数が変わらないまま試験時間だけが15分延びました。1問あたりに使える時間で見れば、負荷は下がっています。

英検の難易度の変遷を1本の年表にまとめた

ここまでの公表事実を、年度順に1枚に並べます。

いつから 何が変わったか(協会の公表内容) 影響を受けた級
2016年度第1回 CSE2.0に基づく技能別スコアで合否判定する方式へ変更 全級
2016年度第1回 2級にライティング導入・語句整序問題を削除/4級・5級にスピーキングテスト導入 2級・4級・5級
2017年度第1回 準2級・3級にライティング導入(3級以上の全級で4技能化) 準2級・3級
2024年度第1回 問題形式一部リニューアル(選択式の削減/準1級に要約・準2級と3級にEメール/準2級と3級の時間延長) 1級・準1級・2級・準2級・3級
2025年度第1回 準2級プラスを新設(級が7つから8つへ) 準2級と2級のあいだ
2026年度第1回 検定料を全級一律100円引き下げ(税込) 全級・全方式

10年で4回、出題や判定の仕組みが動いています。「難易度が上がった」という体感は、この頻度そのものから来ている面があります。

英検の難易度は、合格に必要な得点率で並べると順番が見える

英検の合否は素点ではなく英検CSEスコアで判定され、級ごとの合格基準スコアが公表されています。満点は技能別の満点スコアに測定技能数を掛けた値です。

この2つを割ると、その級が「何割取れば受かる試験か」が出ます。

級 一次の合格基準スコア 一次の満点 必要な得点率(自作の計算)
準1級 1792 2250 79.6%
1級 2028 2550 79.5%
2級 1520 1950 77.9%
準2級プラス 1402 1875 74.8%
準2級 1322 1800 73.4%
3級 1103 1650 66.8%
4級 622 1000 62.2%
5級 419 850 49.3%

上から順に並べたところ、最も高い得点率を求められるのは1級ではなく準1級(79.6%)でした。差はわずか0.1ポイントですが、1級のほうが「取りこぼしを許す」設計になっています。

5級と準1級のあいだには30.3ポイントの開きがあります。級が上がるほど問題が難しくなるだけでなく、許される間違いの割合そのものが減っていく構造です。

英検の難易度を二次試験で見ると、順番が入れ替わる

一次試験の得点率とは別に、面接形式の二次試験にも級ごとの合格基準スコアがあります。

級 二次の合格基準スコア 二次の満点 必要な得点率(自作の計算) 面接の時間
1級 602 850 70.8% 約10分
2級 460 650 70.8% 約7分
準1級 512 750 68.3% 約8分
準2級プラス 427 625 68.3% 約7分
準2級 406 600 67.7% 約6分
3級 353 550 64.2% 約5分

二次試験で最も高い得点率を求められるのは1級と2級で、どちらも70.8%です。一次で最難関だった準1級は、二次では68.3%と2級より低くなります。

ここが分かれ目

「英検◯級の難易度」という言い方には、一次と二次のどちらの話かで答えが変わる部分があります。数字で比べるなら、一次と二次を分けて見るのが正確です。

英検の難易度は、机に向かう時間の長さにも表れる

同じ得点率でも、45分の試験と135分の試験では負荷が違います。一次試験の長さは級で3倍の開きがあります。

級 筆記 リスニング 一次の合計(自作の計算) 推奨目安
1級 100分 約35分 約135分 大学上級程度
準1級 90分 約30分 約120分 大学中級程度
2級 85分 約25分 約110分 高校卒業程度
準2級プラス 85分 約25分 約110分 高校上級程度
準2級 80分 約25分 約105分 高校中級程度
3級 65分 約25分 約90分 中学卒業程度
4級 35分 約30分 約65分 中学中級程度
5級 25分 約20分 約45分 中学初級程度

注目したいのは4級です。筆記35分に対してリスニングが約30分あり、一次試験の時間の46%をリスニングが占めます。3級以上ではリスニングの比率が2割台まで下がります。

また準2級プラスの筆記85分は2級と同じ長さで、準2級の80分より5分長い設定です。

英検の難易度で最大の段差は、準2級と2級のあいだにあった

協会自身が「壁」の存在をデータで公表しています。2025年4月18日のリリースがそれです。

過去の受験者データを分析したところ、5級から準2級までは各級の合格までにおよそ1年であるのに対し、準2級合格者が2級に合格するまでには約2年近くかかっていた、という内容です。

対象 準2級合格から2級合格までに要した期間 出所の区分
5級から2級までの全級合格者 約18か月(1年6か月) 実データからの算出
5級から準2級までの全級合格者 約21か月(1年9か月) 協会による推計
5級から準2級までの各級(参考) 1級分の合格におよそ1年 実データからの算出

得点率で見ると準2級73.4%と2級77.9%で4.5ポイントの差ですが、実際に合格するまでの期間では約2倍の開きが出ていたことになります。

協会はこの段差を埋めるため、2025年度第1回検定から準2級と2級のあいだに準2級プラスを新設しました。

英検の難易度を語るとき、級別の合格率は使えない

難易度の比較でよく持ち出されるのが合格率です。しかし英検協会は級別の合格率を現在は公表していません。

公式サイトの「受験の状況」で公表されているのは志願者数だけです。

年度 志願者数の合計 前年度からの増減(自作の計算)
2025年度 4,543,122人 +53,123人
2024年度 4,489,999人 −13,699人
2023年度 4,503,698人 +297,778人
2022年度 4,205,920人 +103,252人
2021年度 4,102,668人 ―

2024年度は問題形式リニューアルが入った年ですが、志願者数の減少は13,699人(0.3%)にとどまりました。翌2025年度は準2級プラスの新設もあり、志願者数は過去5年で最多になっています。

世の中に流通している「◯級の合格率は約◯%」という数字は、協会の公表値ではありません。この記事では裏が取れないため扱っていません。

英検の難易度まとめ|「上がった」の答えと、数字で比べられる4つ

「英検の難易度が上がった」は、書く課題が増えた準1級・準2級・3級については公表事実で裏が取れます。1級と2級については、協会の公表内容からは言えません。

公式が公表していて、級同士を横に並べて比べられる指標は4つです。

  1. 合格に必要な得点率:5級49.3%から準1級79.6%まで。上位級ほど取りこぼしが許されない
  2. 一次試験の時間:5級約45分から1級約135分まで、3倍の開き
  3. 測る技能の数:4級・5級は2技能、3級以上は4技能
  4. 扱う話題の範囲:日常的な話題→身近な社会的な話題→社会的な話題→専門的な話題
この記事の数字の扱い方

合格基準スコア・満点スコア・試験時間・問題数・志願者数・変更内容は、すべて2026年9月7日時点で公益財団法人 日本英語検定協会が公式サイトおよび公式リリースで公表していた値です。「自作の計算」と書いた得点率・増減は、公表値から編集部が計算した結果です。検定料は税込。仕様は変更されることがあるため、受験前に必ず公式サイトで確認してください。

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