大学入試でTOEICのスコアを使える大学は、調査対象786校のうち390校です。そこに書かれている基準スコア2,052件を数え直したところ、中央値も最頻値も550点でした。600点以上を求めている例は36.1%にとどまります。
この記事は、IIBCの大学入学試験活用調査(2,052件の基準スコア)、人事院の加点表、航空会社の募集要項など、公表されている基準だけを2026年9月7日に取得して並べたものです。裏が取れない「一般に○点から」という話は載せていません。
大学入試のTOEIC基準スコアは中央値550点|2,052件を全部数えた
この調査資料には、大学・学部・入試名ごとに「基準スコア」が具体的な数字で載っています。TOEIC L&R単独のスコアが書かれた行を編集部が全件集計したところ、2,052件ありました。
| 統計値 | スコア |
|---|---|
| 最頻値(いちばん多い基準) | 550点(412件) |
| 中央値 | 550点 |
| 平均 | 551.4点 |
| 下位25%の位置 | 425点 |
| 上位25%の位置 | 665点 |
| 上位10%の位置 | 785点 |
| 最低 | 120点 |
| 最高 | 950点 |
550点が突出して多く、次いで400点(229件)、785点(226件)、600点(101件)、500点(99件)と続きます。大学が最もよく置く線は550点で、600点はむしろ少数派です。
大学入試でTOEICを使う大学は786校中390校ある
IIBCは旺文社への委託とIIBC自身の調査で、全国786校の国公私立4年制大学・専門職大学・大学校における2025年度入学試験でのTOEIC活用状況を調べています。
| 区分 | 校数 |
|---|---|
| TOEIC Program 活用校(調査対象786校のうち) | 390校 |
| TOEIC L&R を活用 | 388校 |
| TOEIC S&W を活用 | 300校 |
| TOEIC L&R+S&W(4技能)を活用 | 300校 |
| TOEIC Bridge Tests を活用 | 84校 |
786校中390校ですから、約49.6%の大学が入学試験のどこかでTOEICを使っていることになります(割合は編集部の計算)。2022年4月版では332校だったので、3年で58校増えました。
大学入試のTOEIC基準スコアの分布|600点以上を求めるのは36.1%
同じ2,052件を100点刻みで並べ直すと、大学が求める水準の全体像が見えます。
| 基準スコア帯 | 件数 | 割合 | 累積(この帯以上) |
|---|---|---|---|
| 900点以上 | 16件 | 0.8% | 0.8% |
| 800〜899点 | 30件 | 1.5% | 2.2% |
| 700〜799点 | 390件 | 19.0% | 21.3% |
| 600〜699点 | 304件 | 14.8% | 36.1% |
| 500〜599点 | 586件 | 28.6% | 64.6% |
| 400〜499点 | 517件 | 25.2% | 89.8% |
| 400点未満 | 209件 | 10.2% | 100% |
600点以上を求めているのは36.1%、730点以上は19.1%です。逆に言えば、64%近くは600点未満で条件を満たします。件数は行単位のため、同じ大学が複数の学部・入試方式で登場する分は重複して数えています。
大学入試でのTOEICの使われ方は5種類に分かれる
同じ基準スコアでも、扱いが違えば意味が変わります。IIBCの調査資料は活用方法を5つに分類しています。
| 活用方法 | 意味 | スコアが無いとどうなるか |
|---|---|---|
| 出願資格 | その基準を満たさないと出願できない | 受験そのものができない |
| 得点換算 | 英語科目の得点に置き換える | 通常どおり英語を受験する |
| 加点 | 合計点に上乗せする | 上乗せが無いだけ |
| 判定優遇・合否参考 | 合否判定の参考にする | 参考材料が1つ減る |
| 試験免除 | 英語の試験を受けなくてよい | 英語を受験する |
出願資格として使われている場合だけは、スコアが足りないと土俵に上がれません。それ以外は「持っていれば有利になる」種類の扱いです。同じ550点でも、出願資格なのか加点なのかで重みがまったく違います。
大学入試の基準を決めているのはIIBCではない|「何点から」の公式の線引きは無い
IIBCが公式サイトで書いているのは、次の3点だけです。
| IIBCが公表していること | 内容 |
|---|---|
| スコアの範囲 | リスニング5〜495点、リーディング5〜495点、トータル10〜990点。5点刻み |
| 合否の有無 | 「テスト結果は合格・不合格ではなく」と明記。合格ラインという概念がない |
| 結果に付く情報 | Score Descriptors(レベル別評価)とAbilities Measured(項目別正答率) |
Score Descriptorsはスコア帯ごとの傾向を文章で説明したもので、「何点以上が優秀」という評価は含みません。つまり評価の基準は、スコアを受け取る側がそれぞれ決めています。だからこの記事は、その「受け取る側」が公表している数字を集める形をとります。
大学入試以外でTOEICが点数になる例|人事院の加点は600点と730点
最も明確に線が引かれているのが、国家公務員採用総合職試験です。人事院は英語試験のスコアに応じて総得点に加算する点数を公表しています。
| 加算点 | TOEFL(iBT) | TOEIC(L&R) | IELTS | 英検 |
|---|---|---|---|---|
| 15点加算 | 65以上 | 600以上 | 5.5以上 | ― |
| 25点加算 | 80以上 | 730以上 | 6.5以上 | 準1級以上 |
対象は総合職試験(院卒者試験・大卒程度試験)の全区分です。人事院は条件も細かく公表しています。
- 有効期間:試験年度の4月1日から遡って5年前の日以後に受験したスコア
- 提出タイミング:第2次試験(人物試験)の際に持参。ここで出せなかった場合は加算されない
- 提出できる書類:Official Score Certificate(公式認定証)。紙・デジタルどちらも可
- 使える試験は1つだけ:「加算を求めることができる英語試験のスコア等は1つに限ります」
- IPテストは対象外:「TOEIC L&RのIPテストのスコアは、加算の対象としていません」と明記
最後の1行は見落としやすいところです。学校や会社で受けた団体特別受験制度(IPテスト)のスコアでは加点されません。公開テストを個人で申し込む必要があります。
大学入試の先|企業が募集要項にTOEICを書いている例
企業の採用でスコアの数字を公開している例は多くありません。募集要項に明記されている例を挙げます。
| 企業・職種 | 公表されている記述 | 必須か |
|---|---|---|
| 日本航空(JAL)客室乗務職・新卒 | 「TOEIC600点以上、または同程度の英語力を有することが望ましい」「入社時にTOEICスコアのご提出を求める場合がございます(対象:IIBC主催 国内公式TOEIC L&Rスコア)」 | 望ましい水準 |
| ANAウイングス 客室乗務職掌・新卒 | 「TOEIC600点、GTEC(LR)260点または同程度以上の英語力を有し、英語での意思疎通が円滑に行える能力を有することが望ましいが、上記の点数に未達の場合でも応募可能です」 | 未達でも応募可 |
どちらも「望ましい」であって、足切りではありません。JALが「IIBC主催 国内公式TOEIC L&Rスコア」と限定している点は、人事院と同じ考え方です。提出を求める側は、公開テストのスコアを指定する傾向があります。
転職の場面で公表されている基準は転職でTOEICの点数は何点必要?公表されている基準を全部並べたに分けてまとめています。
TOEICのスコアに企業が期待する水準は、部門で145点ひらく
個社の募集要項ではなく、企業全体の傾向はIIBCの調査に出ています。「英語活用実態調査【企業・団体/ビジネスパーソン】2022」の数字です。
| 項目 | 公表値 |
|---|---|
| 採用時にTOEICスコアを要件・参考にしている、または今後する可能性がある企業 | 73.6% |
| 技術部門の社員に期待するスコア | 平均560点 |
| 営業部門の社員に期待するスコア | 平均580点 |
| 海外部門の社員に期待するスコア | 平均705点 |
| 新入社員に期待するスコアの平均 | 550点 |
技術560点と海外705点で145点の差があります。大学入試の中央値550点、新入社員への期待550点、技術部門560点と、550〜580点という帯に複数の独立したデータが集まっているのは注目に値します。
TOEICのスコアとCEFRの対応は、セクション別だけしか公表されていない
「TOEIC◯点はCEFRのB2」といった評価をよく見かけますが、IIBCが公表しているのはセクション別の最低スコアだけです。トータルスコアとCEFRの公式対応表は存在しません。
| CEFRレベル | Listening | Reading |
|---|---|---|
| C1(Proficient User) | 490点以上 | 455点以上 |
| B2(Independent User) | 400点以上 | 385点以上 |
| B1(Independent User) | 275点以上 | 275点以上 |
| A2(Basic User) | 110点以上 | 115点以上 |
| A1(Basic User) | 60点以上 | 60点以上 |
C2の欄はありません。IIBCの資料でC2は全セクション「N/A」で、TOEIC L&RはC2を測る設計になっていないためです。出典はETSの2008年の研究(Linking English-Language Test Scores Onto the Common European Framework of Reference)です。合計点からCEFRを言い当てる公式の方法は無いので、「TOEIC◯点=B2」という表現は公式の裏が取れません。
スコア帯ごとに何ができるかはTOEICは何点で何ができる?スコア帯別のできること一覧に分けてまとめています。
TOEICスコアの有効期限は2年|出願前に確認しておきたい期限の扱い
評価される場面で効いてくるのが期限です。IIBCのよくあるご質問には次のように書かれています。
「テスト開発元のETSはできるだけ最新のスコアを参照(利用)することを推奨しており、スコアの有効期限を2年と設定しています。」
ただしIIBCは、提出先の機関が独自の方針で2年を超えるスコアを受け入れる場合があるとも書いています。実務では提出先の規定が優先されます。なお公式認定証の再発行が申請できるのは試験日から2年以内で、手数料は1部550円(税込)です。
有効期限そのものの扱いはTOEICのスコアに有効期限はある?公式の見解と、実務での2年ルールに分けてまとめています。
TOEICの評価について、公表されていないこと
よく語られるのに、公式が数字や基準を出していないものです。
- 「何点から評価される」という試験団体の基準:IIBCは合格・不合格を出さないと明記しており、評価の線引きも公表していない
- スコア帯ごとのレベル区分の数値:Score Descriptors(レベル別評価)は記述で提供されるが、区切りのスコアは数値として公表されていない
- 大手企業の採用基準スコア:募集要項に数字を書いている企業は少数。書かれていても「望ましい」であって必須要件ではない例が多い
- トータルスコアとCEFRの対応:公式にはセクション別のみ
これらは「無い」ことが分かった項目です。実在しない基準に合わせて動かないよう、提出先の募集要項や入試要項で条件を直接確かめてください。
この記事で使った一次ソース|大学入試・人事院・企業
- 人事院 国家公務員採用総合職試験における英語試験の活用(2026年9月7日取得。加点表・条件・Q&A)
- IIBC TOEIC Program 大学入学試験における活用状況(2026年9月7日取得。活用校数・基準スコア一覧・活用方法の分類)
- IIBC 就活サポート特集「データでみるTOEIC Tests」(2026年9月7日取得。英語活用実態調査2022の数値)
- IIBC TOEIC Listening & Reading Test テスト結果について(2026年9月7日取得。合否を出さない旨・スコアの範囲)
- IIBC 公式データ・資料(CEFRとの対照表)(2026年9月7日取得)
- IIBC よくあるご質問「【TOEIC L&R】スコアに有効期限はありますか?」(2026年9月7日取得)
- IIBC よくあるご質問「【TOEIC L&R】公式認定証の再発行はできますか?」(2026年9月7日取得)
- 日本航空 新卒採用 職種別募集要項 客室乗務職(2026年9月7日取得)
- ANA WINGS 客室乗務職掌(新卒)募集要項(2026年9月7日取得)
基準スコアの集計(2,052件・中央値・分布・割合)は、IIBCが公表している「大学入学試験活用一覧」に記載された数値を編集部が数え直したものです。それ以外の数字は各機関の公表値をそのまま使っています。募集要項や加点の条件は年度で変わるため、応募・出願の前に必ず各機関の最新の公表資料を確認してください。

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