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大学入試で使える英語外部検定は何がある?認定されている試験を全部並べた

大学入試で使える英語外部検定を「国が認定した一覧」で探しても、いまその一覧は存在しません。国が試験を認定して束ねる「大学入試英語成績提供システム」は導入が見送られ、運営大綱も廃止されています。いま並べられるのは、文部科学省がCEFRとの対照表を作った8つの試験群と、各大学が入試要項で名指ししている試験だけです。そして実際に英語の資格・検定試験が使われている選抜区分は、一般選抜で28.7%です。

この記事は、文部科学省の「大学入試英語ポータルサイト」「令和9年度大学入学者選抜実施要項」「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」(平成30年3月)、文部科学省委託調査「令和7年度 大学入学者選抜の実態の把握及び分析等に関する調査研究 調査報告書」、および各試験の運営団体(日本英語検定協会、国際ビジネスコミュニケーション協会、ETS、IELTSパートナー、ベネッセコーポレーション)が公表している数字を、そのまま並べ直したものです。数字はすべて2026年9月11日に各公式サイトを開いて確認しました。編集部が足したり数えたりした値には、その旨を必ず書き添えています。

目次

大学入試で使える英語外部検定に、国の「認定リスト」は存在しない

まず前提を確認します。かつて国は、英語の資格・検定試験の成績を大学へ受け渡す「大学入試英語成績提供システム」を作ろうとしていました。文部科学省の大学入試英語ポータルサイトの逐語は「大学入試における英語資格・検定試験活用のための『大学入試英語成績提供システム』については、この度、令和2年度からの導入を見送ることとしましたが、各大学において、システムを介さず、英語資格・検定試験を令和3年度大学入学者選抜で独自に活用することは可能です」です。

同じページには、運営大綱そのものを廃止した通知も並んでいます。「令和3年度大学入学者選抜に係る大学入試英語成績提供システム運営大綱の廃止について(通知)」が、大学向け・高校向けの2本で掲載されています。

いまどうなっているか 公表されている内容
国による参加試験の認定 成績提供システムの導入が見送られ、運営大綱も廃止されている
各大学が独自に使うこと 「システムを介さず、英語資格・検定試験を独自に活用することは可能」
どの試験を使うかを決める人 各大学(入試要項で指定する)
国が示しているもの CEFRとの対照表と、選抜実施要項の中の活用方針

つまり「大学入試で使える試験」は、全国共通で1つに決まっているわけではありません。志望校の要項に名前が載っていれば使えるし、載っていなければ使えない、というのが現在の形です。

大学入試で国が名前を挙げているのは「英検やTOEFL等の4技能試験」

文部科学省が毎年出す「大学入学者選抜実施要項」には、資格・検定試験の扱いが1項立てで書かれています。令和9年度版の第6の4(1)①の逐語は次のとおりです。

令和9年度大学入学者選抜実施要項の記載(逐語)

「入学志願者の外国語におけるコミュニケーション能力を適切に評価・判定する観点から、『英語力評価及び入学者選抜における資格・検定試験の活用促進について』(平成27年3月31日付け 26文科初第1495号 文部科学省初等中等教育局長・文部科学省高等教育局長通知)を踏まえ、実用英語技能検定(英検)やTOEFL等、『聞く』『読む』『話す』『書く』の4技能を測ることのできる資格・検定試験等の結果を活用する。」

条件として書かれているのは「4技能を測ることのできる」という点だけで、試験名の列挙は「英検やTOEFL等」という例示にとどまっています。国は試験を限定していません。限定しているのは各大学です。

同じ項には、受験機会の公平性についての記述も続きます。逐語は「家庭環境や居住地域により、資格・検定試験等を受検することの負担が大きい入学志願者の受験機会の公平性・公正性の確保に当たっては、例えば、学部等同一の募集単位において、資格・検定試験等の結果を利用しない選抜区分の設定や、教科・科目に係る個別テストの成績と資格・検定試験等の結果のいずれか有利となる方を選択的に利用することなどの措置を講じることが望ましい」です。

大学入試で名前が挙がる英語外部検定を、全部並べる

国が唯一「試験名を列挙した表」を作っているのが、文部科学省の「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」(平成30年3月)です。この表の列に載っている試験を、そのまま並べます。

試験名(対照表の表記) 運営団体 スコアの単位 2026年9月時点の実施状況
ケンブリッジ英語検定 ケンブリッジ大学英語検定機構(文部科学省のポータルサイトの表記) 対照表では100〜230のスコアで示されている 実施中
実用英語技能検定(英検) 公益財団法人 日本英語検定協会 英検CSEスコア(級ごとに満点が異なる) 実施中
GTEC 株式会社ベネッセコーポレーション 4技能合計スコア(Core 840/Basic 1080/Advanced 1280) 検定版は実施中/CBTタイプは終了
IELTS ブリティッシュ・カウンシル、IDP IELTS、Cambridge University Press & Assessment の共同保有 バンドスコア(0〜9) 実施中
TEAP 公益財団法人 日本英語検定協会 4技能合計スコア(80〜400) 実施中
TEAP CBT 公益財団法人 日本英語検定協会 4技能合計スコア(800点満点) 2024年度の実施をもって終了
TOEFL iBT ETS 1〜6のスケール(移行期間中は0〜120も併記) 実施中
TOEIC L&R/TOEIC S&W 一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC) L&Rは10〜990点、S&Wは各0〜200点 実施中

8つ並べたうち、TEAP CBTとGTEC CBTの2つはすでに新規受験ができません。対照表が作られたのは平成30年(2018年)3月で、その後に各試験の側が動いています。対照表に名前があることと、いま受けられることは別の話です。

対照表の空欄には意味が決められています。対照表には「スコアの記載がない欄は、各資格・検定試験において当該欄に対応する能力を有していると認定できないことを意味する」という注記が付いています。さらに「ケンブリッジ英語検定、実用英語技能検定及びGTECは複数の試験から構成されており、それぞれの試験がCEFRとの対照関係として測定できる能力の範囲が定められている」とも書かれています。英検の「◯級」やGTECの「Advanced」のように、同じ試験の中で測定範囲が分かれるものがある、ということです。

大学入試で使う前に、各試験のスコアの単位をそろえて見る

試験ごとにスコアの単位がまったく違います。文部科学省の対照表の数値を、CEFRの段階を縦軸にして並べ直します。

CEFR ケンブリッジ英語検定 英検CSEスコア GTEC IELTS TEAP TOEFL iBT TOEIC L&R/S&W
C2 200〜230 ― ― 8.5〜9.0 ― ― ―
C1 180〜199 2600〜3299 1350〜1400 7.0〜8.0 375〜400 95〜120 1845〜1990
B2 160〜179 2300〜2599 1190〜1349 5.5〜6.5 309〜374 72〜94 1560〜1840
B1 140〜159 1950〜2299 960〜1189 4.0〜5.0 225〜308 42〜71 1150〜1555
A2 120〜139 1700〜1949 690〜959 ― 135〜224 ― 625〜1145
A1 100〜119 1400〜1699 270〜689 ― ― ― 320〜620

TOEICの欄には注意書きが付いています。対照表の逐語は「TOEIC L&R/ TOEIC S&Wについては、TOEIC S&Wのスコアを2.5倍にして合算したスコアで判定する」です。つまりこの欄の数値はL&R単独の点数ではなく、L&RとS&Wの両方を受けたうえで合算した数値です。L&Rだけを受けた点数をこの表に当てはめることはできません。

もう1つ、この表は平成30年3月時点の資料だという点も見落とせません。GTECのB1の下限はこの表では960ですが、ベネッセが現在公表しているスコアページでは930です。TOEFL iBTも、後述のとおり採点尺度そのものが変わっています。

大学入試で最もよく名前が出る英検は、いま3つの受け方がある

実施要項でも唯一名指しされているのが実用英語技能検定(英検)です。日本英語検定協会は、受け方を複数用意しています。

方式 実施級 日数 実施頻度
英検(従来型) 1級〜5級 一次試験と二次試験の2日間 年3回
英検S-CBT 準1級・2級・準2級プラス・準2級・3級 1日で4技能 原則毎週土日(級や地域により毎週でない場合がある)
英検S-Interview ― ― 一次試験免除資格の取得に使える方式として案内されている

英検S-CBTについての逐語は「英検S-CBTは、スピーキング、リスニング、リーディング、ライティングを1日で測ることができる試験です」「英検S-CBTは1日で4技能を測ることができる試験ですが英検(従来型)と同様の級・スコアとして扱われます」です。従来型とS-CBTは、級もスコアも同じものとして扱われます。受験回数には「同回次(第1回/第2回/第3回)で同じ級は、3回まで受験可能です」という制限があります。

スコアの満点は級ごとに違います。日本英語検定協会が公表している技能ごとの満点スコアを並べます。

級 技能ごとの満点スコア 4技能合計の満点(編集部が4倍した値) 一次試験の合格基準スコア 二次試験の合格基準スコア
1級 850点 3400点 2028 602
準1級 750点 3000点 1792 512
2級 650点 2600点 1520 460
準2級プラス 625点 2500点 1402 427
準2級 600点 2400点 1322 406
3級 550点 2200点 1103 353
4級 500点 ― 622 324(スピーキングテスト)
5級 425点 ― 419 266(スピーキングテスト)

「4技能合計の満点」の列は、公表されている技能ごとの満点を編集部が4倍しただけの値です。4級・5級は一次試験が2技能(リーディング・リスニング)で、スピーキングテストが級認定と切り離されているため「―」にしました。協会の逐語は「英検4級・5級の級認定は、従来通り、リーディングとリスニングの一次試験の合否のみで判定します」です。

協会はスコアの作り方についても明記しています。逐語は「技能ごとに問題数は異なりますが、問題数に関係なく、各技能にスコアを均等に配分しています」「スコアは各回の全答案採点後、統計的手法(Item Response Theory)を用いてスコアを算出しているため、受験者の皆さまがご自身の正答数でスコアを算出することはできません」です。

大学入試でTOEICを使うなら、L&RとS&Wは別の試験だと知っておく

TOEICはIIBCが実施しています。4技能をそろえるには2つのテストを受ける必要があります。

テスト 測る技能 問題数 時間 スコアの範囲
TOEIC Listening & Reading 聞く・読む 200問(各100問) 約2時間(リスニング約45分+リーディング75分) トータル10〜990点(5点刻み)
TOEIC Speaking 話す 11問 約20分 0〜200点(10点刻み)
TOEIC Writing 書く 8問 約60分 0〜200点(10点刻み)

IIBCの逐語は「テスト結果は合格・不合格ではなく、リスニング5〜495点、リーディング5〜495点、トータル10〜990点のスコアで5点刻みで表示されます」です。TOEIC L&Rの最低点は0点ではなく10点です。白紙でも10点が付く尺度になっています。

スコアの作り方についても明記があります。逐語は「このスコアは正答数そのままの素点(Raw Score)ではなく、スコアの同一化(Equating)と呼ばれる統計処理によって算出された換算点(Scaled Score)です」。TOEIC Speakingでは、スコアに加えて「Pronunciation(発音)」「Intonation(イントネーション)とStress(アクセント)」がそれぞれ3段階で評価されると公表されています。

大学入試とTOEFL iBT。2026年1月から採点の尺度が変わった

TOEFL iBTは、この記事で扱う試験のなかで直近の変更幅がいちばん大きい試験です。ETSが公表している現在のテスト構成を並べます。

セクション タスクの種類(ETSの表記) 問題数 基準時間
Reading Complete the Words/Read in Daily Life/Read an Academic Passage 50 30分
Listening Listen and Choose a Response/Listen to a Conversation/Listen to an Announcement/Listen to an Academic Talk 47 29分
Writing Build a Sentence/Write an Email/Write for an Academic Discussion 12 23分
Speaking Listen and Repeat/Take an Interview 11 8分
合計(編集部が足した値) ― 120 90分

ETSは合計を公表していないため、最下行は編集部が足した値です。ETSの注記は「Test time does not include directions. Please allow approximately two hours to complete the test.(試験時間に説明の時間は含まれない。テスト完了まで約2時間を見込むこと)」です。

採点尺度についてのETSの記載は次のとおりです。逐語は「Receive four section scores, as well as an overall score, on the 1 – 6 scale.(4つのセクションスコアと総合スコアを1〜6のスケールで受け取る)」「The overall score will be the average of all four sections, rounded to the nearest half band.(総合スコアは4セクションの平均を、最も近いハーフバンドに丸めたもの)」「For a two-year transition period after January 2026, students will also receive a comparable overall score on the 0 – 120 scale.(2026年1月以降の2年間の移行期間中は、0〜120のスケールでの相当する総合スコアも受け取る)」です。

大学の入試要項に「TOEFL iBT 72点以上」のような0〜120の表記が残っていても、これから受ける人が受け取る主たるスコアは1〜6のスケールです。0〜120は移行期間中の併記です。文部科学省の対照表(平成30年3月)が0〜120で書かれている点も含め、資料の版年を見ずに読むと合わなくなります。

受験方法は2通りと公表されています。ETSの表記は「TOEFL iBT test: on a computer at an authorized test center」「TOEFL iBT Home Edition: on a computer at home, monitored by a live human proctor」です。

大学入試とIELTS。アカデミックは2時間45分で、バンドは0〜9

大学進学で使うIELTSは「IELTS Academic」です。IELTSの公式サイトの逐語は「Choose the IELTS Academic test if you wish to study at undergraduate or postgraduate levels(学部または大学院レベルで学びたい場合はIELTS Academicを選ぶ)」です。

セクション 時間(公式の表記)
Listening 約30分
Reading 60分(解答用紙への転記時間を含む)
Writing 60分
Speaking 11〜14分
全体 2時間45分(公式の表記)

バンドスコアは0から9までの10段階で、9がExpert、0が「Did not attempt the test(受験しなかった)」と定義されています。総合バンドについての逐語は「The overall band score is the average of the four section band scores rounded to the nearest half band.(総合バンドスコアは4セクションのバンドスコアの平均を、最も近いハーフバンドに丸めたもの)」です。

丸め方には非対称なルールがあります。逐語は「If the average of the four sections ends in .25, the overall band score is rounded up to the next half band, and if it ends in .75, the overall band score is rounded up to the next whole band.(4セクションの平均が.25で終わる場合は次のハーフバンドへ、.75で終わる場合は次の整数バンドへ切り上げる)」です。IELTSは会場受験とオンライン受験の両方が用意されており、「the format is the same wherever it is taken(どこで受けても形式は同じ)」と書かれています。

大学入試で使うTEAPとGTECは、どちらもCBT版が終了している

日本国内の大学入試向けに作られた2つの試験には、共通した動きがあります。コンピューター版が終わっている点です。

試験 いまの状況 公表されている内容
TEAP(PBT版) 継続 4技能各100点・総合80〜400/受験機会は年3回
TEAP CBT 終了 「2024年度をもって試験実施を終了した『TEAP CBT』」(日本英語検定協会)
GTEC 検定版 学校受検型 継続 全国約630の中学校・高校で実施/学校を通じた申し込み
GTEC CBTタイプ 終了 「2025年度第2回の実施をもって試験実施を終了させていただくこととなりました」(ベネッセコーポレーション)

GTECはCBTタイプの終了によって、個人の意思だけで申し込む道がなくなりました。ベネッセの逐語は「ご受検をご希望の場合は、学校を通じてお申込みいただく必要がございます」です。在籍校がGTEC検定版を実施していなければ、そもそも受けられないことになります。

取得済みスコアの扱いも公表されています。GTEC CBTについては「2025年度にご受検いただいた試験の成績は2027年度末(2028年3月末)まで有効です。大学入試への活用については、各大学にお問い合わせください」。TEAP CBTについては、成績表の有効期限が2026年3月31日までで、再発行受付も同日で終了したと公表されています。

大学入試で英語外部検定が使われている割合は、一般選抜で28.7%

ここからは実態の数字です。文部科学省委託調査「令和7年度 大学入学者選抜の実態の把握及び分析等に関する調査研究 調査報告書」の第6章から、選抜区分ベースの活用率を並べます。

区分 一般選抜 総合型選抜 学校推薦型選抜
大学全体 28.7%(N=35,002) 29.0%(N=21,692) 27.5%(N=21,106)
国立大学 13.8%(N=2,702) 32.5%(N=1,909) 17.5%(N=1,442)
公立大学 5.5%(N=1,025) 28.7%(N=578) 17.3%(N=845)
私立大学 30.8%(N=31,275) 28.7%(N=19,205) 28.7%(N=18,819)
短期大学全体 21.6%(N=2,511) 21.0%(N=2,483) 21.7%(N=1,975)

国立大学は、一般選抜では13.8%なのに総合型選抜では32.5%と、2倍以上の開きがあります。公立大学はさらに極端で、一般選抜5.5%に対して総合型選抜は28.7%です。「国公立は外部検定を使わない」という一括りの見方は、選抜方法別に分けると成り立ちません。

学科系統でも差が出ます。報告書の逐語は「大学において、英語の資格・検定試験の活用率を学科系統分類別でみると、活用が多い順に、人文科学(34.3%)、社会科学(33.1%)、工学(26.2%)である」です。いちばん低いのは芸術の15.7%で、人文科学との差は18.6ポイントです(この差は編集部が引き算した値です)。

大学入試での使われ方は「換算」「出願資格」「加点」に分かれる

同じ「活用あり」でも、スコアの使われ方は同じではありません。報告書の第6章から、最も多い活用方法を選抜方法ごとに並べます。

選抜方法 国立大学で最も多い活用方法 公立大学で最も多い活用方法 私立大学で最も多い活用方法
一般選抜 共通テストに換算(免除なし)73.4% 出願資格 37.5% 個別学力検査に換算(免除あり)31.9%
総合型選抜 出願資格 41.4% 出願資格 83.7% 判定優遇・合否参考 39.9%
学校推薦型選抜 出願資格 30.0% 出願資格 47.9% 出願資格 40.8%

報告書は用語も定義しています。逐語は「出願資格:出願する上での必須要件としている」「加点:個別学力検査又は共通テストの点数に『加点』している」「得点換算:個別学力検査又は共通テストの点数に『換算』(置き換え)している」「個別学力検査の代替:大学独自の英語試験を設けず、英語資格・検定試験の成績のみを個別学力検査の成績として用いている」「判定優遇・合否参考:英語資格・検定試験の成績によって合否判定を優遇したり、英語資格・検定試験の成績を合否判定の参考にしたりしている」です。

「出願資格」に当たると、スコアが足りなければ出願そのものができません。「加点」や「判定優遇」なら出願はできます。同じ外部検定の欄でも、この違いで準備の締切がまったく変わります。

さらに、活用ありの選抜区分のなかでも、全員に課すものと希望者だけのものが分かれます。報告書の逐語は「英語の資格・検定試験を活用している選抜区分のうち、全員が活用している割合は、大学において、一般選抜で14.0%、総合型選抜が29.3%、学校推薦型選抜が34.3%である」です。一般選抜では、86.0%が「希望者が活用」する形になっています。

大学入試で英語外部検定を使って入学した人は、年間で約16万人

割合ではなく実数でも公表されています。報告書の逐語は「英語の資格・検定試験の『活用あり』の選抜区分により大学に入学した者は、一般選抜が65,407人、総合型選抜が39,481人、学校推薦型選抜が55,085人の計159,973人である」です。

区分 一般選抜 総合型選抜 学校推薦型選抜 合計(全入学者に占める割合)
大学全体 65,407人 39,481人 55,085人 159,973人(25.4%)
国立大学 11,813人 2,492人 3,125人 17,430人(17.6%)
公立大学 914人 413人 2,091人 3,418人(9.5%)
私立大学 52,680人 36,576人 49,869人 139,125人
短期大学全体 618人 2,404人 2,709人 5,731人(20.2%)

大学入学者のおよそ4人に1人が、英語外部検定を活用する選抜区分から入っています。ただし報告書は「活用あり」の選抜区分による入学者数を数えているだけで、その全員が実際にスコアを提出したことを意味しません。前節のとおり、一般選抜では活用ありの区分のうち86.0%が「希望者が活用」する形だからです。

選抜方法別に見ると、全入学者に占める割合は一般選抜22.3%(N=293,838)、総合型選抜34.2%(N=115,361)、学校推薦型選抜25.1%(N=219,502)です。いちばん割合が高いのは総合型選抜です。

大学入試で複数の試験が使える場合、大学はCEFRで換算している

「英検でもTOEFLでもIELTSでも可」という入試では、大学は単位の違うスコアを比べなければなりません。その方法も調査されています。

比較の方法 一般選抜(n=10,047) 総合型選抜(n=6,293) 学校推薦型選抜(n=5,794)
大学独自作成の換算表等をもとに比較(換算表等はCEFRを参考にして作成) 56.8% 40.3% 47.9%
大学独自作成の換算表等をもとに比較(換算表等はCEFRを直接参考とせずに作成) 6.6% 9.1% 8.9%
その他の方法 4.5% 14.9% 11.4%
該当なし(複数試験を使用していない等) 32.1% 35.7% 31.8%

一般選抜の56.8%が、CEFRを参考にした自前の換算表でスコアを比べています。国が対照表の運用をやめても、CEFRという物差し自体は大学側で使われ続けている、という構図です。「その他の内容の例」として報告書が挙げているのは「大学独自の換算表はないが、CEFR等を参考とする」「総合的に判断する」の2つです。

ここで注意したいのは、換算表が「大学独自作成」だという点です。同じ英検2級でも、A大学とB大学で英語の得点が違う、ということが起こり得ます。どの試験が有利かは大学ごとの換算表を見ないと分かりません。

大学入試でスコアが出せなかったときの代替措置は、8割の区分で無い

試験が中止になった、体調を崩して受けられなかった。そういうときに救済があるかどうかも調べられています。

代替措置 一般選抜(n=10,047) 総合型選抜(n=6,293) 学校推薦型選抜(n=5,794)
代替措置を設けていない 79.3% 82.1% 85.6%
スコアの提出が不要な選抜区分の設定 13.5% 4.0% 3.0%
高等学校等における同等の能力証明 4.4% 8.2% 6.2%
成績の有効期限の延長 ― 0.1% ―
その他の代替措置 2.8% 5.6% 5.2%

代替措置を設けていない選抜区分が、どの方式でも8割前後を占めます。成績の有効期限を延ばす対応は、総合型選抜の0.1%以外はゼロと報告されています。スコアを取り直す時間が無い、という事態に対する救済は、制度としてはほぼ用意されていないことになります。

なお選抜実施要項には、大学側に事前検討を促す記述があります。逐語は「大規模な災害の発生等により、資格・検定試験等が実施されない場合の代替措置等についても検討しておくことが望ましい」です。「望ましい」であって義務ではありません。

大学入試の外部検定で、公表されていない数字

よく探されるのに、公式に数字が出ていないものを、公表されている範囲と合わせて並べます。

数字 公表の状況
試験別(英検・TOEIC・TOEFLなど)の採用大学数 文部科学省の実態調査は「英語資格・検定試験」全体でしか集計しておらず、試験別の内訳が無い
各試験の受験料 方式・級・地域で分かれ、一次ソースが試験ごとに複数ページに散っている。受ける試験の公式ページで方式と級を選んで確かめる
GTECの受検料 中高生向けGTECの公開ページに受検料の記載はない
ケンブリッジ英語検定の各試験の時間・問題数 日本語の公式ページに試験ごとの構成の記載はない
大学ごとの換算表 報告書のとおり「大学独自作成」で、一次ソースは各大学の入試要項になる
スコアの有効期間(大学が認める年度) 大学ごとに異なり、試験団体ではなく各大学が決めている
「500以上の大学・短大」などの各社の公表値の内訳 ベネッセはGTECについて「全国500以上の大学・短大の入試で活用可能」と公表しているが、大学名の総数リストは公表されていない

この分野でいちばん事故が起きるのは、古い資料の数値をそのまま今の入試に当てはめることです。文部科学省の対照表は平成30年3月、TOEFL iBTの尺度変更は2026年1月、GTEC CBTの終了は2025年度、TEAP CBTの終了は2024年度。版年を見ないと、どれも今の話ではなくなります。

大学入試で英語外部検定を使うとき、最後に確認しておくこと

この記事で並べた数字を、確認の順番にまとめます。

  • 国が試験を認定して束ねる仕組みは無い。成績提供システムは導入見送りで、運営大綱も廃止されている
  • 選抜実施要項が条件にしているのは「4技能を測ることのできる」試験であること。試験名は例示にとどまる
  • 文部科学省の対照表に列がある試験は8つ。うちTEAP CBTとGTEC CBTは新規受験ができない
  • スコアの単位は試験ごとに別物。TOEICの対照表の欄はL&RとS&Wを合算した数値で、L&R単独の点数ではない
  • TOEFL iBTは2026年1月から1〜6のスケール。0〜120は2年間の移行期間中の併記
  • 英検は従来型とS-CBTで級もスコアも同じ扱い。同回次で同じ級は3回まで
  • 使われ方は「出願資格」「加点」「得点換算」「個別学力検査の代替」「判定優遇・合否参考」に分かれる
  • 一般選抜で活用ありの区分のうち、全員に課すのは14.0%。残りは希望者が使う形
  • 複数試験を比べるときは、大学独自の換算表(CEFRを参考にして作成)が一般選抜で56.8%
  • スコアを出せなかったときの代替措置は、約8割の選抜区分で設けられていない

最後に見るのは試験の側ではなく、志望校の入試要項です。どの試験を認めるか、何年度の受験分まで認めるか、何点を何点に換算するか、出願資格なのか加点なのかは、すべて大学が決めています。文部科学省の実施要項も、大学に対して「具体的な活用方法を適切に判断し、分かりやすい形で入学志願者に明らかにする」ことを求める書き方になっています。

この記事の数字の出どころ

制度の前提は文部科学省「大学入試英語ポータルサイト」と「令和9年度大学入学者選抜実施要項」、試験名とCEFRの対応は同省「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」(平成30年3月)、活用率・活用方法・入学者数・比較方法・代替措置は同省委託調査「令和7年度 大学入学者選抜の実態の把握及び分析等に関する調査研究 調査報告書」、各試験の仕様は日本英語検定協会・国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)・ETS・IELTS・ベネッセコーポレーションの各公式ページから採りました。いずれも2026年9月11日に開いて確認しています。

この記事で使った大学入試まわりの一次ソース

すべて2026年9月11日に開いて確認しました。リンクは張っていないため、アドレスをコピーして開いてください。

文部科学省|大学入試英語ポータルサイト(成績提供システムの導入見送りと運営大綱の廃止):https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/koudai/detail/1420229.htm

文部科学省|令和9年度大学入学者選抜実施要項(資格・検定試験等の成績の活用):https://www.mext.go.jp/content/20260529-mxt_daigakuc02–000010813_1.pdf

文部科学省|各資格・検定試験とCEFRとの対照表(平成30年3月):https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/091/gijiroku/__icsFiles/afieldfile/2018/07/27/1407616_003.pdf

文部科学省|令和7年度 大学入学者選抜の実態の把握及び分析等に関する調査研究 調査報告書(第6章 英語資格・検定試験の活用の実態):https://www.mext.go.jp/content/20260327-mxt_daigakuc02-000048422_02.pdf

日本英語検定協会|英検CSEスコアについて(合格基準スコア・CEFR対応):https://www.eiken.or.jp/cse/

日本英語検定協会|英検 試験結果(各級の技能ごとの満点スコア・スコアの特徴):https://www.eiken.or.jp/eiken/result/eiken-cse_admission.html

日本英語検定協会|英検S-CBTとは?(実施級・1日4技能・受験回数の制限):https://www.eiken.or.jp/s-cbt/about/

国際ビジネスコミュニケーション協会|TOEIC L&R テスト問題の構成:https://www.iibc-global.org/toeic/test/lr/about/format.html

国際ビジネスコミュニケーション協会|TOEIC L&R について(スコアの範囲と算出方法):https://www.iibc-global.org/toeic/test/lr/guide04.html

国際ビジネスコミュニケーション協会|TOEIC S&W(問題数・時間・スコア):https://www.iibc-global.org/toeic/test/sw.html

ETS|TOEFL iBT Test Content(セクション構成・採点尺度・実施方法):https://www.ets.org/toefl/test-takers/ibt/about/content.html

IELTS|IELTS Academic test format and sections:https://ielts.org/take-a-test/test-types/ielts-academic-test

IELTS|IELTS scoring in detail(バンドスコアと丸め方):https://ielts.org/take-a-test/your-results/ielts-scoring-in-detail

ベネッセコーポレーション|「GTEC」CBTタイプ 実施終了のお知らせ(2025年10月):https://www.benesse.co.jp/gtec/fs/cuet/news/pdf/【校了】CBT収束のお知らせ_HP掲載用.pdf

日本英語検定協会|2026年3月31日(火)をもって「TEAP CBT」の成績表再発行を終了します:https://www.eiken.or.jp/teap/info/2026/0319_2026331teap_cbt.html

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