アイルランド留学の費用は、学校のパンフレットを見る前に、入国管理の側が金額を決めている部分があります。アイルランド政府の移民局(Immigration Service Delivery)が学生に求める生活資金は、6〜8か月の滞在なら月833ユーロ、6か月で合計4,998ユーロ、8か月で合計6,665ユーロ。1年の課程なら10,000ユーロ。ここに登録手数料300ユーロが別に乗ります。学費や家賃より先に、この金額が動かせない土台になります。
この記事は、アイルランド移民局(ISD)、アイルランド政府の法定機関であるCitizens Information Board、アイルランド官報(Irish Statute Book)、EU統計局(Eurostat)、英国政府(GOV.UK)が公表している数字を並べ直したものです。数字はすべて2026年9月11日に各機関のページを取得して確認しました。円に直した金額は、同じ日の三菱UFJ銀行公表相場(TTS181.10円/TTB178.10円)の仲値1ユーロ=179.60円で計算した編集部の概算です。公的な手数料は、日本の消費税のような税込・税別の区別を付けずに1つの金額で公表されているため、そのまま写しています。
アイルランド留学で最初に動かせない金額は、生活資金4,998ユーロと登録料300ユーロ
アイルランドに90日を超えて滞在する非EEA(欧州経済領域外)の学生は、全員が入国後に移民局へ登録します。ビザが要らない国籍の人も例外ではありません。その登録の場で、生活していけるだけのお金を持っていることを見せる必要があります。求められる金額は滞在の長さで決まっています。
| 滞在の長さ | 求められる資金(公表値) | 1ユーロ=179.60円での概算 |
|---|---|---|
| 6か月 | 4,998ユーロ | 約897,641円 |
| 8か月 | 6,665ユーロ | 約1,197,034円 |
| 1年の課程 | 10,000ユーロ | 約1,796,000円 |
| 月あたりの基準 | 833ユーロ | 約149,607円 |
この金額は「使ってよいお金」ではなく「持っていることを見せるお金」です。Citizens Information Boardは、この基準がビザの要る国籍にも要らない国籍にも同じように当てはまると書いています。月833ユーロという単価に8を掛けると6,664ユーロですが、公表されている8か月の合計は6,665ユーロです。ここでは公表されている数字をそのまま写しました。
アイルランド留学の費用は「公的に金額が決まっているもの」と「学校や大家が決めるもの」の2層に分かれます。この記事が扱うのは前者だけです。授業料と家賃は国が一覧を公表していないため、あとの見出しで「書かなかった数字」として整理します。
アイルランド留学で払う公的な手数料を、そのまま横に並べる
学校に払うお金とは別に、行政に払う手数料があります。移民局が金額を出しているものだけを並べます。
| 名目 | 金額 | 概算(円) | 誰が払うか |
|---|---|---|---|
| 登録手数料(IRPカード) | 300ユーロ | 約53,880円 | 90日超で滞在する非EEA学生の全員 |
| 入国ビザ(1回入国) | 60ユーロ | 約10,776円 | ビザが要る国籍の人 |
| 入国ビザ(数次入国) | 100ユーロ | 約17,960円 | ビザが要る国籍の人 |
| 通過ビザ | 25ユーロ | 約4,490円 | ビザが要る国籍の人 |
移民局は「ビザ手数料は申請を処理するための事務手数料であり、申請が却下されたり取り下げられたりしても返金されない」と明記しています。つまり、ビザが要る国籍の人にとっては、落ちても戻ってこない60〜100ユーロが最初に出ていくということです。書類の提出そのものに別料金がかかる場合があるとも書かれています。
アイルランド留学の語学コースには「25週・週15時間」という下限がある
費用の話に入る前に、何を満たせば学生として滞在できるのかが決まっています。移民局の学生向けFAQに書かれている条件はかなり具体的です。
| 条件 | 移民局が示している内容 |
|---|---|
| コースの長さ | 25週以上 |
| 週あたりの授業 | 15時間以上(休憩時間は数えない) |
| 授業の時間帯 | 午前9時から午後5時のあいだ |
| 週あたりの日数 | 月曜から金曜のうち4日以上 |
| 出席率 | 85%以上(教師が毎回記録する) |
| 修了時 | 認定された試験を受けることが条件 |
| 1コースあたりの在留許可 | 最長8か月 |
| 語学コースの上限 | 3コースまで=合計2年 |
週15時間・4日以上・出席85%は、費用を下げるために「安い週数の少ないコース」を選ぶと届かなくなる線です。移民局は、語学コースを終えた学生が在留を更新するときに、修了試験の結果と出席の記録を見ると書いています。休暇についても「学んだ週数の3分の1を超えてはならない」「コースを始める前に休暇を取ることはできない」と条件が付いています。
3コース×8か月で2年に届いたあとは、語学コースでの在留は続けられません。ILEP(Interim List of Eligible Programmes)に載っている高等教育の課程へ進むことが、それ以上の在留の条件になります。
アイルランド留学の学費は渡航前に全額前払いで、現金払いができない
支払い方法にも公的なルールが入っています。ここは費用の総額そのものより、資金繰りに響く部分です。
- 学生は渡航前にコースへ登録し、費用を全額支払っておく必要がある
- 学校は現金での支払いを求めてはならない。承認された送金手段か電子送金で払う
- 学校は登録前に、試験料・学習者保護の費用・民間医療保険を含むすべての費用を知らせなければならない
- 学校は返金規定を自校のサイトに公開する義務がある。返金にかかる期間は最長2か月を超えてはならない
- ビザが却下された場合や入国を拒否された場合、返金の請求は20営業日以内に処理される
「渡航前に全額」という条件があるため、アイルランド留学では出発の時点で学費と生活資金の両方を手元に用意しておくことになります。移民局は同じFAQで「最も安い価格が最も良い取引とは限らない」と書き、学校の評判と設備を自分で調べるよう促しています。
学習者保護(learner protection)についても条件があります。コースが途中で終わった場合に、別の学校で修了できるか、費用の一部が返金される仕組みを学校が用意しなければならず、保険で担保している場合は本人名義の証書が渡されます。受け入れ通知書にその種類が書かれていることを確認するよう案内されています。
アイルランド留学の学校選びの土台は、ILEPからTrustEd Irelandへ移っている
どの学校を選べるかという枠組みが、2025年から入れ替わりの途中にあります。ここを知らないまま古い情報で学校を探すと、費用の見積もり以前に選択肢がずれます。
| 時期 | 移民局が公表している内容 |
|---|---|
| 2025年3月21日 | ILEPの基準が更新された |
| 2025年6月20日 | ILEPの最後の更新が公表された |
| 現在 | ILEPは新規の学校の申請に対して閉じている |
| 移行先 | QQI(Quality and Qualifications Ireland)が与えるTrustEd Irelandの法定品質マーク |
ILEPが運用を終えたあとは、TrustEd Irelandの認可を受けた学校だけが非EEAの学生を語学コースに受け入れられます。移民局は「ILEPは学校の質を保証するものではないが、載っている学校は一定の基準を満たしている」とも書いています。すでにILEPに載っていて基準を守り続けている学校は、ILEPが終わるまで受け入れを続けられるという経過措置が示されています。
アイルランド留学中に働けるのは週20時間。長期休暇は週40時間
費用を賄う側の数字も公表されています。Stamp 2の在留許可を持つ非EEA学生は、就労許可なしでアルバイトができます。
| 期間 | 働ける上限 | 対象の月 |
|---|---|---|
| 学期中 | 週20時間まで | 下の休暇期間以外 |
| 長期休暇 | 週40時間まで | 6月・7月・8月・9月、12月15日〜1月15日 |
Eurostatが公表しているアイルランドの月額最低賃金は、2026年上半期で2,391ユーロ(約429,424円)です。フルタイム換算の最低賃金が月2,391ユーロという水準は、EUのなかでも高いほうにあたります。ただし移民局は「非EEA学生は社会保障の給付を受ける資格がなく、国の給付に頼らず自分で生活できることが在留の条件」と明記しています。働けることを前提に資金証明を軽くする考え方は取れません。
Stamp 2Aという別の許可の場合は就労が認められていません。どちらの許可になるかで、渡航後の家計の組み立てが変わります。
アイルランド留学の公的な費用を、円に直して並べ直す
ここまでに出た金額を、1ユーロ=179.60円(2026年9月11日の三菱UFJ銀行公表相場の仲値)で円に直します。為替は毎日動くので、あくまで同日時点の編集部の概算です。
| 項目 | ユーロ | 概算(円) |
|---|---|---|
| 登録手数料(IRP) | 300ユーロ | 約53,880円 |
| 6か月の生活資金 | 4,998ユーロ | 約897,641円 |
| 8か月の生活資金 | 6,665ユーロ | 約1,197,034円 |
| 1年課程の生活資金 | 10,000ユーロ | 約1,796,000円 |
| 6か月の資金+登録料 | 5,298ユーロ | 約951,521円 |
| 8か月の資金+登録料 | 6,965ユーロ | 約1,250,914円 |
8か月コースを1つ受けるだけで、学費と航空券を1円も数えないまま約125万円の資金証明が必要になる計算です。語学コースの上限である3コース=2年まで続ける場合、資金証明だけを単純に3回積むと約375万円に届きます。
アイルランド留学とイギリス留学の費用を、公表値だけで比べる
英語圏で比較対象になりやすいのがイギリスです。英国政府(GOV.UK)がStudent visaのページで公表している金額と並べます。円換算は同じ日の三菱UFJ銀行公表相場の仲値1ポンド=209.01円(TTS213.01円/TTB205.01円)で計算した編集部の概算です。
| 項目 | アイルランド | イギリス |
|---|---|---|
| 生活資金の基準 | 月833ユーロ(約149,607円) | ロンドン外 月1,171ポンド(約244,751円)/ロンドン 月1,529ポンド(約319,576円) |
| 資金を示す月数の上限 | 課程の長さに応じる(1年で10,000ユーロ) | 最大9か月分 |
| ビザ・在留の申請料 | 登録料300ユーロ(約53,880円) | 国外からの申請558ポンド(約116,628円) |
| 医療にかかる公的な負担 | 民間医療保険が必須(金額は保険会社が決める) | 医療付加金(IHS)学生は年776ポンド(約162,192円) |
生活資金の月額だけを見ると、ロンドン外のイギリスはアイルランドの約1.4倍、ロンドンは約1.8倍です。英国政府は、国外から6か月以下の申請をする場合は医療付加金を払う必要がないとも書いています。6か月を超えて1年未満の場合は、どこから申請しても1年分を払うことになります。
一方でアイルランドは、医療の負担が民間保険という形で外に出ています。移民局は「アイルランドに来るすべての非EEA学生は民間医療保険に加入する必要があり、登録時に証明を見せることになる」と書いていますが、金額の目安は示していません。イギリスのように国が単価を出していないため、同じ土俵での比較ができない項目です。
アイルランド留学は、物価の水準そのものがEU平均より高い
手数料や資金証明だけでは、現地で実際にいくら要るかは分かりません。ここで参照できる公的な数字が、Eurostatの価格水準指数(Price Level Index)です。EU27か国の平均を100として、その国の物価がどの位置にあるかを示します。
| 国・地域 | 価格水準指数(2024年・EU27=100) | 2023年 |
|---|---|---|
| アイルランド | 141.2 | 141.1 |
| マルタ | 93.1 | 92.2 |
| EU27平均 | 100.0 | 100.0 |
同じユーロ圏の英語学習先でも、アイルランドの物価水準はマルタの約1.52倍です。この指数は実際個人消費(actual individual consumption)を対象にしたもので、家計が使う財とサービスの全体を見た比較になります。資金証明の月額がアイルランド833ユーロに対しマルタが低いのも、この物価差と方向が揃っています。
物価が高いということは、資金証明で示した金額が現地で目減りしやすいということでもあります。Eurostatの指数は国全体の平均なので、ダブリンのような都市部ではさらに上振れする可能性があります。地域別の内訳をEurostatは公表していません。
アイルランド留学で日本のパスポートにビザが要らない根拠はどこにあるか
アイルランドはシェンゲン圏に入っていないため、ビザの要否はアイルランド独自の法令で決まります。根拠はアイルランド官報(Irish Statute Book)に載っている S.I. No. 473/2014「Immigration Act 2004 (Visas) Order 2014」です。
この省令の第3条(a)は「Schedule 1に挙げた国または地域の国民は、アイルランドに上陸する際に使えるアイルランドのビザを所持する必要がない」と定めています。2026年9月11日に条文の本文を取得して確認したところ、Schedule 1の一覧にJapanが入っていました。同じ一覧にはAustralia、Canada、New Zealand、South Korea、United States of Americaなども並んでいます。
ただし、ビザが要らないことと登録が要らないことは別です。移民局のFAQは「ビザを必要としない学生を含め、すべての非EEA学生は、90日を超えてアイルランドに滞在するために初回の登録をしなければならない」と書いています。登録料300ユーロは、ビザが要らない国籍の人にも同じようにかかります。登録の予約はCustomer Portalから取り、ダブリンのBurgh Quayにある登録office へ出向く流れが案内されています。
なお、駐日アイルランド大使館は、アイルランドと日本の両政府によるワーキングホリデー制度について「若い日本人が最長1年間アイルランドで長期の休暇を過ごし、旅費を補うために働くことを可能にする」と案内しています。学生としての在留とは別の枠組みです。
アイルランド留学の費用で、公表されていない数字と確かめ先
公的な金額が決まっていない項目と、その確かめ先です。
- 語学学校の授業料=アイルランド政府は学校ごとの授業料の一覧を公表していません。学校が自分のページで出している金額を見るほかありません。移民局は「学校は試験料を含むすべての費用を事前に示さなければならない」と定めているので、登録前の見積もりで確認できます。
- 家賃の相場=地域ごとの家賃は、アイルランド中央統計局(CSO)など政府の賃貸統計で確かめます。EurostatのPLIは物価の水準を示しますが、金額そのものではありません。
- 民間医療保険の保険料=加入が条件であることは移民局が明記していますが、いくらかは保険会社が決めるため、公的な単価がありません。
- 航空券=価格が日々変わるため、公表値として扱える数字がありません。
- 語学学校の数=ILEPが新規申請に対して閉じ、TrustEd Irelandへの移行が進んでいる途中のため、校数は移行後の公式の一覧で確かめます。
ここに挙げた5つは、合計するとアイルランド留学の支出の大半を占めます。つまり、公的に決まっている金額だけで総額は出せません。出せるのは「これ以下にはならない下限」の部分だけです。
アイルランド留学の費用を調べるとき、最後に確認しておくこと
この記事で並べた数字を、自分の計画に当てはめるときの確認点をまとめます。
| 確認すること | どこに書いてあるか |
|---|---|
| 自分の滞在の長さで求められる資金額 | 移民局とCitizens Information Boardの学生向けページ |
| 登録料が今も300ユーロか | 移民局の学生向けFAQ |
| 選ぶコースが25週以上・週15時間以上か | 学校の時間割と受け入れ通知書 |
| その学校がTrustEd Irelandの認可を取っているか | QQIのTrustEd Ireland情報ページ |
| 返金規定と学習者保護の中身 | 学校が自校のページに公開している規定 |
| その日の為替 | 取引する金融機関が公表する当日の相場 |
いちばん動きやすいのは為替です。この記事の円換算は2026年9月11日の1ユーロ=179.60円で計算しています。仮に1ユーロ=200円になれば、8か月の生活資金6,665ユーロは約1,333,000円になり、同じユーロ額でも13万円以上ふくらみます。ユーロ建ての金額と円建ての金額は分けて管理したほうが、見積もりがぶれません。
制度そのものも動いています。ILEPの終了とTrustEd Irelandへの移行、語学学生向けの短期Stamp 2の扱いなど、2025年から2026年にかけて変更が続いています。金額を確認するときは、そのページがいつ更新されたかも一緒に見ておくと、古い数字を掴まずに済みます。
この記事で使ったアイルランド留学の一次ソース
すべて2026年9月11日に取得して内容を確認しました。
- Immigration Service Delivery(アイルランド法務・内務・移民省)「Frequently asked questions for students」=登録料300ユーロ、25週・週15時間・出席85%、8か月×3コース、就労時間、医療保険、返金と学習者保護。ページ最終更新は2025年3月31日
- Immigration Service Delivery「Interim List of Eligible Programmes (ILEP)」=ILEPの基準更新(2025年3月21日)、最終更新の公表(2025年6月20日)、TrustEd Irelandへの移行
- Immigration Service Delivery「Preclearance and entry visas fees」=1回入国60ユーロ、数次入国100ユーロ、通過25ユーロ
- Immigration Service Delivery「A short term course」=90日未満の短期コースの扱い
- Citizens Information Board「Immigration rules for full-time non-EEA students」=月833ユーロ、6か月4,998ユーロ、8か月6,665ユーロ、1年10,000ユーロ。ページ編集日は2026年4月16日
- Irish Statute Book「S.I. No. 473/2014 Immigration Act 2004 (Visas) Order 2014」=第3条(a)およびSchedule 1
- Eurostat「earn_mw_cur(月額最低賃金)」=アイルランド2026年上半期 2,391ユーロ
- Eurostat「prc_ppp_ind(価格水準指数・実際個人消費)」=アイルランド141.2、マルタ93.1、EU27=100(2024年)
- GOV.UK「Student visa」および「Money you need」「Healthcare surcharge」=月1,171ポンド/1,529ポンド、申請料558ポンド、医療付加金年776ポンド
- Embassy of Ireland, Japan(ireland.ie)=日本とのワーキングホリデー制度の案内
- 三菱UFJ銀行公表相場(2026年9月11日)=ユーロTTS181.10円/TTB178.10円、ポンドTTS213.01円/TTB205.01円
金額と制度は変わります。申し込みの前に、上に挙げた発行元のページで、その時点の数字と更新日を自分で確認してください。

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