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Versantとは?スコアの見方とCEFR対照

Versantのスコアを読むときにいちばん混乱するのは、数字の物差しが2本あることです。Pearsonの公式資料には「GSE 59/90 is equivalent to Versant 58/80」(GSEの59点はVersantの58点に当たる)と書かれています。10〜90で返るGSEのスコアと、20〜80で返るVersantのスコアは、同じ英語力を指していても数字が一致しません。そしてCEFRとの対照表も、この2本ぶん別々に公表されています。

この記事は、Versantを運営するPearsonが公開している技術資料「Versant™ English Test Test Description and Validation Summary」(2022年版)、「Versant by Pearson English Speaking and Listening Test Validation Report」(2024年版)、「Versant™ 4 Skills Essential Test Test Description and Validation Summary」(2022年版)、「Versant™ Professional English Test Test Description and Validation Summary」、および公式のサンプルスコアレポート2種に書かれている数字を、そのまま並べ直したものです。数字はすべて2026年9月11日にPearsonのウェブサイトで確認しました。英文の逐語は原文を示したうえで日本語を添えています。編集部が引いたり数えたりした値には、その旨を必ず書き添えています。

目次

Versantとは、話した音声を機械が採点する英語テストのシリーズ

Versantは1つの試験の名前ではなく、Pearsonが提供する自動採点型テストのまとまりです。中心にあるスピーキング試験について、公式資料はこう定義しています。逐語は「The Versant™ English Test, powered by Versant technology, is an assessment instrument designed to measure how well a person understands and speaks English.」(Versant英語テストは、その人がどれだけ英語を理解し、話せるかを測るために設計された評価手段)。

ほかの試験と最も違うのは、採点に人間が要らない点です。公式資料の逐語は「A human examiner is not required.」(人間の試験官は必要ない)。結果が出るまでの時間についても「The Versant testing system analyzes the candidate’s responses and posts scores to a secure website usually within minutes of the completed test.」(Versantの採点システムは受験者の応答を分析し、通常は試験終了から数分以内にスコアを安全なウェブサイトに掲出する)と書かれています。

項目 公式資料に書かれている内容
運営 Pearson
採点 自動採点(人間の試験官は不要)
受験場所 いつでも、どこでも。スマートフォンのアプリまたはコンピューター
結果 通常は試験終了から数分以内にウェブサイトへ掲出
スコアの物差し Global Scale of English(GSE、10〜90)とCEFRレベル
合否 なし(スコアとCEFRレベルで返す)
想定される使い道 クラス分け、資格判定、認定、学習の進捗測定

スピーキング試験が測っている対象も、公式資料では限定的に書かれています。逐語は「The Versant English Test measures facility with spoken English」で、この facility を資料は「how well the person can understand spoken English on everyday topics and respond appropriately at a native-like conversational pace in English」(日常的な話題について話された英語をどれだけ理解し、母語話者並みの会話の速さで適切に応答できるか)と定義しています。

逆に、測っていないものも明記されています。逐語は「The Versant English Test probes the psycholinguistic elements of spoken language performance rather than the social, rhetorical, and cognitive elements of communication.」(Versant英語テストは、コミュニケーションの社会的・修辞的・認知的な要素ではなく、話し言葉の心理言語学的な要素を調べる)。話の内容が面白いか、場にふさわしいかは採点の対象ではない、という設計です。

Versantには複数の試験がある。時間も問題数も採点対象も違う

「Versantを受けた」と言っても、どの試験を受けたかで数字の意味が変わります。Pearsonが技術資料を公開している主な4つを並べます。

試験名 所要時間 おおよその問題数 返るスコア 対象年齢
Versant English Test 約15分(実施は15〜17分) 約63問(6セクション) 総合+4つの診断スコア 15歳超の成人・学生
Versant by Pearson English Speaking and Listening Test 約20分 6タスク(下で内訳) 総合+サブスコア 15歳超の成人・学生
Versant 4 Skills Essential Test 約30分 約70問(6セクション) 総合+4技能スコア 資料に記載を確認できず
Versant Professional English Test 約60分 58問(10パート) 総合+4技能スコア 16歳超

同じVersantでも、所要時間は約15分から約60分まで4倍の開きがあります。スピーキングだけを見る試験と、読む・書くまで含める試験が同じブランド名で並んでいるためです。4技能を見る2つについては、公式資料に「the four skill scores are weighted equally」として、Speaking・Listening・Reading・Writingがそれぞれ25%ずつという重みの表が載っています。

Versant Professional English Testには、総合スコアが出ない条件も明記されています。逐語は「overall scores are withheld if one or more skill scores is BL (Below Level), or if the speaking score is unavailable due to unrecognizable speech」(1つ以上の技能スコアがBL=レベル未満の場合、または音声が認識できずスピーキングのスコアが得られない場合、総合スコアは保留される)。機械が音声を認識できないと、総合スコアそのものが返らないという設計です。

Versantのスコアは2本の物差しで表示される。数字は一致しない

ここがVersantのスコアを読むときの最大の落とし穴です。公式のスコアレポートには、GSEの数字とVersantの数字が両方書かれています。

公式資料の逐語は「Scores are reported in the range from 10 to 90 on Pearson’s Global Scale of English (GSE). The corresponding Common European Framework of Reference for Languages (CEFR) level is also displayed.」(スコアはPearsonのGlobal Scale of Englishで10から90の範囲で報告される。対応するCEFRのレベルも表示される)。一方、Versantの目盛りについては別の箇所にこう書かれています。逐語は「Scores outside the 20 to 80 range are deemed to have saturated the intended measurement range of the test and are therefore reported as 20 or 80.」(20〜80の範囲を外れたスコアは、このテストが測ろうとしている範囲を飽和させたとみなされ、20または80として報告される)。

公式サンプルスコアレポート GSEの表示 同じ資料に書かれているVersantの換算 差(編集部が引いた値)
サンプルA(2020年4月27日受験と記載) 59/90 58/80 Versantのほうが1点低い
サンプルB(2020年8月19日受験と記載) 41/90 45/80 Versantのほうが4点高い

2つのサンプルを見比べると、GSEとVersantの数字の差は一定ではありません。GSE 59はVersant 58で1点低いのに、GSE 41はVersant 45で4点高くなっています。つまり「GSEからVersantへは何点足す/引く」という単純な足し算では変換できない、ということになります。この差は編集部が引いた値で、Pearsonが差そのものを公表しているわけではありません。

GSEの位置づけについても、公式資料は数字で説明しています。逐語は「The GSE is a detailed, numerical scale running from 10 at the lowest level to 90 at the highest and is fully aligned both with the CEFR and with Pearson’s range of language learning resources. GSE scores offer more precision than traditional CEFR bands」(GSEは最低10から最高90まで続く詳細な数値尺度で、CEFRともPearsonの学習教材とも完全に対応している。GSEのスコアは従来のCEFRの区分より高い精度を提供する)。

スコアを見るときに確かめる1点

Versantのスコアを人に伝えるとき、あるいは提出先の基準と見比べるときは、その数字がGSE(10〜90)の目盛りなのか、Versant(20〜80)の目盛りなのかを先に確かめる必要があります。公式のスコアレポートには両方が併記されているため、レポートを開けば判別できます。上限が90なのか80なのかが、いちばん分かりやすい見分け方です。

VersantのCEFR対照表(10〜90の目盛りの版)

Pearsonが2024年版の技術資料に載せているのが、この対照表です。原題は「Concordance table between Versant by Pearson English Speaking and Listening Test scores and CEFR levels」。10〜90の目盛りで、CEFRのプラス表記(A2+・B1+・B2+)まで刻まれています。

CEFRレベル Versant by Pearson English Speaking and Listening Test のスコア
<A1 10〜21
A1 22〜29
A2 30〜35
A2+ 36〜42
B1 43〜50
B1+ 51〜58
B2 59〜66
B2+ 67〜75
C1 76〜84
C2 85〜90

この目盛りでは、B1に入る下限が43、B2に入る下限が59、C1に入る下限が76です。幅を数えると、A1が8点ぶん、B1が8点ぶん、B2が8点ぶん、C1が9点ぶんと、上に行くほど極端に狭くなる作りではありません(幅は編集部が数えた値です)。

この表がどう作られたかも資料に書かれています。2つの手法で判定者にCEFRレベルを付けさせ、その2つの推定値を突き合わせた、という手順です。逐語は「Both estimates, derived independently, agree to a high degree (r=.99).」(独立に導かれた2つの推定値は非常に高い程度で一致した)。相関係数0.99という数字が明示されています。

なお、2022年版のスピーキング試験の技術資料の付録にも同じ趣旨の対照表があり、C1が76から、B2が59から、B1が43から、A2が30から、A1が22から、A1未満が10〜21という区切りで、上の表と同じ境界値が使われています。

VersantのCEFR対照表(20〜80の目盛りの版)

もう1本の対照表は、20〜80の目盛りのものです。4技能を測るVersant 4 Skills Essential Testの技術資料に「Table 7. Mapping of CEFR levels with VEPT scores」として載っています。

スコア(20〜80の目盛り) CEFRレベル
20〜23 <A1
24〜33 A1
34〜45 A2
46〜56 B1
57〜67 B2
68〜78 C1
79〜80 C2

同じCEFRのB1でも、10〜90の目盛りでは43から、20〜80の目盛りでは46からです。B2は59と57、C1は76と68。数字だけを取り出して比べると、まったく別のことを言っているように見えます。どちらの目盛りの話なのかを確かめないまま「B1に届くには何点」と議論すると食い違う理由が、ここにあります。

この20〜80の表の出どころも資料に書かれています。逐語は「the linking is based on the previous study mapping VEPT scores onto the CEFR levels (Green, 2013)」(この対応づけは、VEPTのスコアをCEFRのレベルに対応させた先行研究〈Green, 2013〉に基づいている)。

対照表の作り方 公式資料に書かれている内容
実施機関 University of Bedfordshire の Centre for Research in English Language Learning and Assessment と Pearson の共同
準拠した手引き Manual for Relating Language Examinations to the Common European Framework of Reference(欧州評議会、2009)
仕様確認の担当 University of Bedfordshire の6名のコンサルタントが個別にレビュー
判定パネル 14名の専門家(教師・応用言語学者・言語テストの研究者・テスト開発者)
使った手法 Basket法、人物中心のパフォーマンス評定法、Body of Work法の3種類
提示した材料 111問の設問、108件の受験者応答、8名のテスト全体のパフォーマンス
統計処理 多相ラッシュ分析ののち回帰分析。3手法の結果を平均し、整数へ切り上げ

3つの手法が少しずつ違う結果を出したため、平均して切り上げた、と資料自身が書いています。逐語は「Because the three approaches suggested somewhat different relationships between the VEPT and the CEFR, the results from the three approaches were averaged and rounded up to the nearest integer」。対照表の境界値は、複数の推定の折衷として決められた数字だということです。

Versantの4つのサブスコアは、何を見ているか

スピーキング試験のスコアレポートには、総合スコアのほかに4つの診断スコアが並びます。それぞれが何を反映しているのか、公式資料の定義を日本語に置き換えて並べます。

サブスコア 公式資料の定義(要点) 何に左右されると書かれているか
Sentence Mastery(文の運用) 英語の句や節を完全な文として理解し、思い出し、産出する力 正確な統語処理と、意味のある文構造の中での語・句・節の適切な使用
Vocabulary(語彙) 文脈の中で話される日常的な語を理解し、必要に応じて産出する力 日常的な語の形と意味への習熟と、つながった発話の中での使用
Fluency(流暢さ) 文を組み立て、読み、繰り返すときのリズム・区切り・タイミング 応答までの時間、話す速さ、発話の流れの連続性といった表層的な特徴の測定
Pronunciation(発音) 文脈の中で子音・母音・強勢を母語話者のように産出する力 句の文脈の中に現れる日常語の音韻構造の知識

この4つは2つのグループに分けられています。逐語は「scores relating to the content of what a candidate says (Sentence Mastery and Vocabulary) and scores relating to the manner (quality) of the response production (Fluency and Pronunciation)」(受験者が何を言ったかという内容に関わるスコア〈Sentence MasteryとVocabulary〉と、応答の産出のしかた=質に関わるスコア〈FluencyとPronunciation〉)。

Fluencyという語の意味も、資料の中でわざわざ狭く定義し直されています。脚注の逐語は「In the narrower sense used in the Versant English Test score reporting, ‘fluency’ is taken as a component of oral proficiency that describes certain characteristics of the observable performance.」(Versant英語テストのスコア報告で使われる狭い意味では、fluencyは観察可能なパフォーマンスの一定の特徴を記述する、口頭能力の一構成要素とされる)。一般に言う「ペラペラかどうか」とは別の、測定可能な表層特徴のことだと書かれています。

スコアレポートにはもう1つ、Intelligibility(聞き取りやすさ)という指標も載ります。公式資料の説明は「Intelligibility is a measure of how understandable a candidate is as a speaker. Even when spoken English proficiency is low, if intelligibility is high, it means that native speakers find the speech easy to understand.」(Intelligibilityは、話し手としてどれだけ理解しやすいかを測るもの。話す英語の習熟度が低くても、Intelligibilityが高ければ、母語話者はその発話を理解しやすいということになる)。サンプルスコアレポートでは4段階のうちの「4 Good」「3 Moderate」という形で表示されていました。

Versantの総合スコアは「何を言ったか」と「どう言ったか」が半分ずつ

総合スコアの作り方も、割合まで公表されています。ここはVersantのスコアを読むうえで、対照表と並んで重要な数字です。

採点の軸 対応するサブスコア 総合スコアに占める割合
内容の正確さ(content accuracy) Sentence Mastery/Vocabulary 50%
話し方(manner-of-speaking) Fluency/Pronunciation 50%
合計 ― 100%

逐語は「Across all the items, content accuracy counts for 50% of the Overall score」および「The manner-of-speaking scores count for the remaining 50% of the Overall score」です。つまり、正しい内容を言えていても、話し方の側で点が出なければ総合スコアの半分しか取れない構造になっています。

この配分の理由も資料に書かれています。逐語は「Producing accurate lexical and structural content is important, but excessive attention to accuracy can lead to disfluent speech production and can also hinder oral communication; on the other hand, inappropriate word usage and misunderstood syntactic structures can also hinder communication.」(正確な語彙・構造の産出は重要だが、正確さに注意を向けすぎると流暢でない発話につながり、口頭コミュニケーションを妨げうる。他方で、不適切な語の使用や取り違えた統語構造もコミュニケーションを妨げる)。

話し方の側が具体的に何を測っているかも列挙されています。逐語は「measuring the latency of the response, the rate of speaking, the position and length of pauses, the stress and segmental forms of the words, and the pronunciation of the segments in the words within their lexical and phrasal context」(応答までの遅れ、話す速さ、ポーズの位置と長さ、語の強勢と分節の形、語彙的・句的文脈における語の音素の発音を測定する)。黙っている時間の長さそのものが測定対象に入っています。

Versantの出題は6つのパート。スピーキング試験は約63問

Versant English Testの構成は、公式資料に問題数つきで載っています。

パート 課題 おおよその問題数 何をするか
A Reading(音読) 8問 画面に表示された番号付きの文を、指示された順に読み上げる
B Repeat(復唱) 16問 聞こえた文をそのまま繰り返す。文の長さは3語から15語
C Short Answer Questions(短答) 24問 聞こえた質問に、1語または短い句で答える
D Sentence Builds(文の組み立て) 10問 3つの短い句を聞き、並べ替えて文にして言う
E Story Retelling(物語の再話) 3問 短い話を聞き、自分の言葉で30秒以内に語り直す
F Open Questions(自由回答) 2問 意見を問う質問に、40秒以内で理由をつけて答える
合計 ― 約63問 ―

63問のうち24問、つまり約38%が短答問題(Short Answer Questions)です(割合は編集部が割った値です)。この短答について資料は「they are intended to be within the realm of familiarity of both a typical 12-year-old native speaker of English and an adult who has never lived in an English-speaking country」(典型的な12歳の英語母語話者にとっても、英語圏に住んだことのない成人にとっても、なじみのある範囲に収まるよう意図されている)と書いています。知識を問う設計ではない、ということです。

最後のOpen Questionsには、ほかと違う扱いがあります。逐語は「In all but the Open Questions section of the Versant English Test, each incoming response is recognized automatically by a speech recognizer」(Versant英語テストではOpen Questionsのセクションを除き、入ってくる応答はすべて音声認識装置によって自動的に認識される)。自由回答のパートは自動採点の対象外で、資料は「This task is used to collect longer spontaneous speech samples.」(この課題は、より長い自発的な発話サンプルを集めるために使われる)と説明しています。

試験の冒頭に置かれるSpeech Sampleという課題も、採点されません。逐語は「Candidates’ responses to items in this section are not scored but are available for review by authorized listeners. These questions are not considered test items.」(このセクションの応答は採点されないが、権限のある聴き手が確認できる。これらの質問はテスト項目とはみなされない)。

ほかの3つの試験も、構成が公表されています。Versant by Pearson English Speaking and Listening Testは6タスクで、短答が8問、復唱が16問、会話についての設問が6問、パッセージについての設問が6問、パッセージの再話が2〜3問、意見を述べる課題が2〜3問。Versant 4 Skills Essential Testは約70問で、復唱16問・文の組み立て8問・会話12問・文の完成18問・ディクテーション14問・パッセージ再構成2問。Versant Professional English Testは58問で、10のパートに分かれています。

Versantのスコアはどれだけ安定しているか(公表されている統計値)

自動採点である以上、「同じ人が受け直したら同じ点が出るのか」は誰もが気にする点です。Pearsonはこれを数字で公表しています。

指標 公表されている値 サンプル数
測定の標準誤差(SEM、Versantの目盛り) 2.8 ―
折半信頼性(機械採点・総合) 0.97 143
折半信頼性(人間採点・総合) 0.99 143
折半信頼性(機械・Sentence Mastery) 0.92 143
折半信頼性(機械・Vocabulary) 0.92 143
折半信頼性(機械・Fluency) 0.97 143
折半信頼性(機械・Pronunciation) 0.97 143
再テスト信頼性(練習なし・1回目対2回目) 0.97 140
再テスト信頼性(練習あり・2回目対3回目) 0.97 140
反復効果(1回目対3回目) 0.97 140

3回続けて受けても相関は0.97で変わらず、平均スコアもほとんど動きませんでした。資料に載っている平均値は、1回目が44.46(標準偏差15.30)、2回目が44.99(14.25)、3回目が44.72(15.17)です。資料の結論は「Mean score differences are <1 point between each administration of the test, which is well within the standard error of measurement (2.8 points).」(各回の平均スコアの差は1点未満で、測定の標準誤差〈2.8点〉の十分内側に収まる)。

受験の手段による差も検証されています。コンピューター受験の平均が52.3(標準偏差13.9)、電話受験の平均が52.7(14.5)で、統計的な差は出ませんでした。資料の逐語は「These results strongly suggest that there is no systematic difference between Versant English Test scores from the same candidate when the test is taken via CDT or by telephone.」(同じ受験者がコンピューターで受けても電話で受けても、Versant英語テストのスコアに系統的な差はないことを、これらの結果は強く示唆する)。

SEMが2.8という数字の読み方も、資料が引用した定義で示されています。逐語は「shows how far it is worth taking the reported score at face value」(報告されたスコアをどこまで額面どおりに受け取ってよいかを示す)。数点の違いは誤差の範囲に入りうる、という前提でスコアを扱う必要があります。

Versantのスコアは、ほかの英語試験とどれくらい相関するか

Pearsonは、Versant English Testの総合スコアと他の試験のスコアとの相関係数を、サンプル数つきで一覧にしています。表は「複数技能を含む試験」「リスニングの試験」「主にスピーキングの試験」の3群に分けられています。

群 比較した試験 相関係数 r サンプル数 n
複数技能 TOEFL Overall 0.75 392
複数技能 TOEFL Overall(別研究) 0.80 104
複数技能 TOEFL iBT Overall 0.64 130
複数技能 TOEIC 0.65 494
リスニング TOEIC Listening 0.71 171
リスニング TOEFL Listening 0.79 321
リスニング New TOEFL Listening 0.78 321
スピーキング TSE 0.88 58
スピーキング New TOEFL Speaking 0.84 321
スピーキング TOEFL iBT Speaking 0.75 130
スピーキング IELTS Speaking 0.76 130
スピーキング ILR Speaking 0.75 51
スピーキング CEFR(第1実験) 0.84 121
スピーキング CEFR(第2実験) 0.94 150
スピーキング CEFR(第3実験) 0.88 303

この表でいちばん低いのはTOEFL iBT総合の0.64、次いでTOEIC全体の0.65です。逆に高いのはCEFRの第2実験の0.94、TSEの0.88、New TOEFL Speakingの0.84でした。Pearson自身も、群分けの理由をこう説明しています。逐語は「Scores that include skills such as writing and reading are expected to correlate only moderately with the Versant English Test, which specifically targets speaking and listening.」(ライティングやリーディングを含むスコアは、スピーキングとリスニングに特化したVersant英語テストとは中程度の相関にとどまると予想される)。

この表は、VersantのスコアからTOEICのスコアを換算できることを示すものではありません。相関係数は2つの数字が一緒に動く度合いを表すだけで、換算式ではないからです。Pearsonも換算表は公表しておらず、代わりに「score users must decide what Versant English Test score is considered a minimum requirement in their context (i.e., a cut score)」(スコアの利用者は、自分たちの文脈でVersant英語テストの何点を最低要件とするかを自分で決めなければならない)と書いています。

Versantのスコアはネイティブと非ネイティブをどう分けているか

スコアの意味を掴むうえで参考になるのが、母語話者と学習者の分布です。Pearsonは母語話者775名、非母語話者603名のデータを比較しています。

集団 人数 公表されている分布の特徴
英語母語話者 775名 68点(Versantの目盛り)を下回ったのは5%未満
英語の学習者(非母語話者) 603名 68点を上回ったのは5%のみ。スコアは広い範囲に分布

68点という1本の線の上下に、母語話者の95%と学習者の95%が分かれていた、という読み方になります。逐語は「Fewer than 5% of the native sample scored below 68 on the Versant Scale.」「Note also that only 5% of the non-natives scored above 68.」です。なおこの68点はVersantの目盛り(20〜80)での値で、GSEの目盛りの数字ではないと資料に明記されています。

この分布は、Versantが記憶力のテストではないという主張の根拠にも使われています。資料の逐語は「If memory, as such, were being measured as an important component of performance on the Versant English Test, then native speakers would show greater variation in scores as a function of their range of memory capacities.」(もし記憶力それ自体がVersant英語テストの重要な構成要素として測られているのなら、母語話者のスコアは記憶容量の幅に応じてもっと大きくばらつくはずだ)。復唱や文の組み立てという課題形式への、Pearson側の説明です。

Versantで、公表されていない数字

よく探されるのに、公式に数字が出ていないものを、公表されている範囲と合わせて並べます。

数字 公表の状況
Versantの受験料 日本の公式サイト(versant.jp)で確かめる。
日本国内の受験者数・導入企業数 日本の公式サイト(versant.jp)で確かめる
日本人受験者の平均スコア Pearsonの技術資料に、国別の平均スコアの掲載はない
VersantとTOEICのスコア換算表 Pearsonは相関係数を公表しているが、換算表は公表していない。相関係数は換算式ではない
Versant 4 Skills Essential Testの対象年齢 同試験の技術資料に年齢の記載はない(スピーキング試験は15歳超、Professionalは16歳超と明記)
スコアの有効期限 技術資料に有効期限の記載はない

「Versantで何点取ればTOEIC何点に当たるか」という形の答えは、Pearsonの公表資料からは出せません。公表されているのは相関係数だけで、Pearson自身がスコアの利用者に対して「自分たちの文脈で最低要件を決めてほしい」と書いているためです。

Versantのスコアを読むとき、最後に確認しておくこと

この記事で並べた数字を、確認の順番にまとめます。

  • まず、その数字が10〜90(GSE)の目盛りなのか、20〜80(Versant)の目盛りなのかを確かめる
  • 2つの目盛りは単純な足し引きで変換できない。公式サンプルではGSE 59=Versant 58、GSE 41=Versant 45
  • 10〜90の対照表では、B1が43から、B2が59から、C1が76から、C2が85から
  • 20〜80の対照表では、B1が46から、B2が57から、C1が68から、C2が79から
  • 総合スコアは内容の正確さ50%と話し方50%の合成。片方だけでは半分にとどまる
  • サブスコアはSentence Mastery・Vocabulary・Fluency・Pronunciationの4つ
  • Fluencyは「ペラペラかどうか」ではなく、応答までの時間・話す速さ・ポーズの位置と長さなどの測定値
  • スピーキング試験は約15分・約63問。4技能を測る試験は約30分または約60分
  • 測定の標準誤差は2.8。数点差は誤差の範囲に入りうる
  • 3回続けて受けても相関0.97、平均の差は1点未満
  • TOEIC全体との相関は0.65、IELTS Speakingとは0.76、TSEとは0.88
  • Pearsonはスコアの換算表を公表しておらず、合格ラインは利用者が決める前提になっている

Versantのスコアを提出先に出すときに最後に見るべきなのは、試験の仕様ではなく、提出先が何点を要件にしているかのほうです。Pearsonは「Score users may wish to base their selection of an appropriate cut score on their own localized research.」(スコアの利用者は、適切なカットスコアの選定を自分たちの現地調査に基づいて行うことが望ましい)と書いています。基準を決めるのは試験の運営側ではなく、スコアを受け取る側だという設計です。

この記事の数字の出どころ

試験の定義・問題構成・採点の重み・信頼性・他試験との相関はPearson「Versant™ English Test Test Description and Validation Summary」(2022年版)、10〜90の目盛りのCEFR対照表はPearson「Versant by Pearson English Speaking and Listening Test Validation Report」(2024年版)、20〜80の目盛りのCEFR対照表と対照表の作り方はPearson「Versant™ 4 Skills Essential Test Test Description and Validation Summary」(2022年版)、60分の試験の構成はPearson「Versant™ Professional English Test Test Description and Validation Summary」、GSEとVersantの数字の対応は公式サンプルスコアレポート2種から採りました。いずれも2026年9月11日に開いて確認しています。

この記事で使ったVersantの一次ソース

すべて2026年9月11日に開いて確認しました。リンクは張っていないため、アドレスをコピーして開いてください。

Pearson|Versant™ English Test Test Description and Validation Summary(問題構成・採点の重み・信頼性・相関):https://www.pearson.com/content/dam/one-dot-com/one-dot-com/english/SupportingDocs/Versant/ValidationSummary/Versant-English-Test-Description-Validation-Report.pdf

Pearson|Versant by Pearson English Speaking and Listening Test Validation Report(10〜90の目盛りのCEFR対照表):https://www.pearson.com/content/dam/one-dot-com/one-dot-com/pearson-languages/en-gb/pdfs/versant-resources/validation-report-versant-by-pearson-english-speaking-and-listening-test.pdf

Pearson|Versant™ 4 Skills Essential Test Test Description and Validation Summary(20〜80の目盛りのCEFR対照表・対照表の作り方):https://www.pearson.com/content/dam/one-dot-com/one-dot-com/english/SupportingDocs/Versant/ValidationSummary/Versant-4-Skills-Essential-Test-TestDescription-ValidationSummary.pdf

Pearson|Versant™ Professional English Test Test Description and Validation Summary(60分の試験の構成・技能の重み):https://www.pearson.com/content/dam/one-dot-com/one-dot-com/pearson-languages/en-gb/pdfs/versant-resources/versant-professional-english-test-description-validation-summary.pdf

Pearson|Versant English Test 公式サンプルスコアレポート(GSE 59=Versant 58の記載):https://www.pearson.com/content/dam/one-dot-com/one-dot-com/english/versant-test/GSE_Versant_English_Test.pdf

Pearson|Versant English Test サンプルスコアレポート(GSE 41=Versant 45の記載):https://www.pearson.com/content/dam/one-dot-com/one-dot-com/apac/japan/corporate/versant-ssr-vet-en.pdf

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