大学の英語の授業は何単位か。結論から書くと、大学設置基準には「英語」という文字も「外国語」という文字も1つも出てきません。全文46,315字を検索して0回です。単位数を決めているのは各大学で、国が定めているのは「1単位=45時間の学修を標準とする」という数え方と、「卒業には124単位以上」という総量だけです。
この記事は、大学設置基準(昭和31年文部省令第28号)の条文と、文部科学省が公表している「大学における教育内容等の改革状況について(令和2年度)」、および教育職員免許法・同法施行規則に載っている数字を並べ直したものです。条文はe-Govの法令データから、調査はいずれも文部科学省が公開しているPDFから、2026年9月16日に取得しました。公表されていない数字は書いていません。
大学の英語が何単位かは、設置基準に書かれていない
最初に、探しても見つからないものをはっきりさせておきます。大学の教育課程の最低基準を定めているのが大学設置基準ですが、この省令の中に科目名は登場しません。編集部が条文全文を文字列検索した結果は次のとおりです。
| 検索した語 | 大学設置基準の全文(46,315字)での出現回数 |
|---|---|
| 英語 | 0回 |
| 外国語 | 0回 |
| 語学 | 0回 |
| 一般教育 | 0回 |
| 教養 | 3回 |
その代わりに第十九条(教育課程の編成方針)が置かれていて、大学は必要な授業科目を自ら開設し、体系的に教育課程を編成するものとする、と書かれています。同条第2項は、専門の学芸を教授するとともに、幅広く深い教養及び総合的な判断力を培うよう適切に配慮しなければならない、としています。この「幅広く深い教養」の中身は各大学が決める建て付けです。
つまり「大学の英語は必修で何単位」という全国共通の数字は、法令の側には存在しません。履修要項に書かれている単位数は、その大学が自分で定めた数字です。
大学の英語を数える単位は「1単位=45時間の学修」
では単位そのものの定義はどうなっているか。大学設置基準第二十一条が単位の数え方を定めています。
| 条文 | 定めている内容 |
|---|---|
| 第二十一条第1項 | 各授業科目の単位数は、大学において定める |
| 第二十一条第2項 | 1単位の授業科目は45時間の学修を必要とする内容をもって構成することを標準とする |
| 第二十一条第2項(続き) | 授業の方法に応じ、おおむね15時間から45時間までの範囲で大学が定める時間の授業をもって1単位とする |
| 第二十一条第3項 | 卒業論文・卒業研究・卒業制作等は、学修の成果を評価して単位を授与することが適切と認められる場合、別に単位数を定められる |
読み違えやすいのは「45時間」と「15時間から45時間」の関係です。45時間は授業時間ではなく学修の総量で、そのうち教室で行う授業の時間は15〜45時間の範囲で大学が決めます。残りは授業時間外の学修という整理になります。
語学の授業が1科目2単位で置かれることが多いのは各大学の設計によるもので、条文が2単位と定めているわけではありません。第二十一条第1項が「大学において定める」と書いている以上、同じ内容の科目でも大学によって単位数が違いうる、という読み方になります。
大学の英語も含めて、卒業に必要なのは124単位以上
総量のほうは条文にはっきり数字が書かれています。第三十二条(卒業の要件)です。学科によって数が変わります。
| 学科 | 卒業の要件として修得すべき単位数 | 根拠 |
|---|---|---|
| 通常の学部・学科 | 124単位以上 | 第三十二条第1項 |
| 医学・歯学に関する学科 | 188単位以上 | 第三十二条第2項 |
| 薬学に関する学科(臨床に係る実践的な能力を培うことを主たる目的とするもの) | 186単位以上(薬学実務実習に係る20単位以上を含む) | 第三十二条第3項 |
| 獣医学に関する学科 | 182単位以上 | 第三十二条第4項 |
124単位という数字は、どの学部でも英語が何単位入るかまでは決めていません。124のうち英語に何単位を割り当てるかは各大学の設計で、専門職学科のように内訳まで定められている例外もあります。第四十二条の九は、専門職学科について124単位以上の中に一般・基礎科目20単位以上、展開科目20単位以上、職業専門科目60単位以上、総合科目4単位以上を含むことと定めています。
大学の英語の授業が何週で組まれるかも条文にある
単位数と並んで、期間の枠も決まっています。ここは時間割の形を左右する部分です。
| 条文 | 定めている内容 |
|---|---|
| 第二十二条(一年間の授業期間) | 1年間の授業を行う期間は、35週にわたることを原則とする |
| 第二十三条(各授業科目の授業期間) | 各授業科目の授業は、8週、10週、15週その他の大学が定める適切な期間を単位として行う |
| 第二十条(教育課程の編成方法) | 各授業科目を必修科目、選択科目及び自由科目に分け、各年次に配当して編成する |
| 第二十五条第1項(授業の方法) | 授業は講義、演習、実験、実習若しくは実技のいずれか、またはこれらの併用により行う |
第二十三条が8週・10週・15週を並べていることが、クォーター制やセメスター制が併存できる根拠になっています。15週で1科目を組めばセメスター、8週で組めばクォーターに近い形です。英語の授業がどちらで置かれるかも、大学ごとの判断になります。
また第二十条が科目を必修・選択・自由の3つに分けるよう定めているので、英語が必修なのか選択なのかという違いも、この枠の中で各大学が決めていることになります。
大学の英語を他大学や留学で取るときは60単位が上限
語学は学外で単位を取る話が出やすい科目です。ここには明確な上限があります。
| 条文 | 認められる範囲 | 上限 |
|---|---|---|
| 第二十八条第1項 | 他の大学・専門職大学・短期大学で履修した授業科目の単位 | 60単位を超えない範囲 |
| 第二十八条第2項 | 外国の大学・外国の短期大学への留学、それらの通信教育の国内履修 | 第1項を準用(同じ枠) |
| 第二十九条第2項 | 短期大学・高等専門学校の専攻科等での学修 | 第二十八条の分と合わせて60単位を超えない |
| 第三十条第4項 | 入学前の既修得単位等 | 編入学・転学等を除き、上記と合わせて60単位を超えない |
| 第二十七条の三/第三十二条第6項 | 連携開設科目としてみなす単位 | 30単位を超えない |
留学で取った英語の単位も、この60単位という同じ器の中で数えられます。124単位のうち、学外由来で埋められるのは最大60単位まで、という設計です。連携開設科目はさらに狭く30単位が上限になっています。
大学の英語をオンラインで受けた分にも60単位の枠がある
遠隔授業の扱いも条文に書かれています。第二十五条第2項が、文部科学大臣が別に定めるところにより、多様なメディアを高度に利用して教室等以外の場所で授業を履修させることができる、としています。
そのうえで第三十二条第5項が、卒業の要件として修得すべき単位数のうち、この第二十五条第2項の方法により修得する単位数は60単位を超えないものとする、と定めています。124単位のうち、遠隔授業で取れるのは最大60単位まで。半分弱が上限という数字です。
なお第二十五条第3項は、授業を外国において履修させることができる、遠隔で行う場合も同様とする、と書いています。海外に居ながら日本の大学の英語の授業を受ける形も、条文上は想定されている、と読めます。
この記事で引いた大学設置基準の条文は、e-Govの法令データ提供システムから2026年9月16日に取得したXMLに基づいています。大学設置基準は改正が重ねられている省令なので、条番号や内容は取得時点のものです。最新の内容は必ず公式の法令データで確認してください。
大学の英語を「英語で行う授業」は751大学中309大学
ここからは実態の数字に移ります。文部科学省は「大学における教育内容等の改革状況について」という調査を毎年公表しています。令和2年度版は令和5年1月17日公表で、調査対象は国公私立795大学、回答率97%(775大学)、学部段階の母数は751大学(国立82・公立88・私立581)でした。
| 年度 | 学部段階で「英語による授業」を実施している大学 | 割合 | 研究科段階 | 割合 |
|---|---|---|---|---|
| 平成28年度 | 309大学(国立63・公立27・私立219) | 42.0% | 222大学 | 36.0% |
| 平成29年度 | 324大学(国立64・公立33・私立227) | 43.5% | 234大学 | 37.5% |
| 平成30年度 | 305大学(国立62・公立28・私立215) | 41.2% | 227大学 | 36.4% |
| 令和元年度 | 307大学(国立62・公立34・私立211) | 41.4% | 237大学 | 38.0% |
| 令和2年度 | 309大学(国立62・公立33・私立214) | 41.1% | 226大学 | 35.4% |
5年間で309→324→305→307→309と、実施大学数はほとんど動いていません。割合で見ると42.0%から41.1%へわずかに下がっています。英語で授業を行う大学が急に増えているわけではない、というのがこの調査の示している形です。
大学の英語だけで卒業できる学部は43大学86学部
同じ調査には、「英語による授業」のみで卒業できる学科等がある学部の数も載っています。
| 年度 | 卒業できる大学数 | 割合 | 学部数 |
|---|---|---|---|
| 平成28年度 | 38大学(国立9・公立6・私立23) | 5.2% | 65学部 |
| 平成29年度 | 37大学(国立8・公立4・私立25) | 5.0% | 63学部 |
| 平成30年度 | 42大学(国立10・公立5・私立27) | 5.7% | 73学部 |
| 令和元年度 | 45大学(国立11・公立5・私立29) | 6.1% | 90学部 |
| 令和2年度 | 43大学(国立12・公立4・私立27) | 5.7% | 86学部 |
令和2年度で43大学86学部、学部段階の母数751大学に対して5.7%です。20校に1校強という水準になります。研究科段階は106大学276研究科でした。
学部数のほうは平成28年度の65から令和2年度の86へ増えています。大学数はほぼ横ばいなので、同じ大学の中で対象学部が増えた形と読めます。
大学の英語の授業で何をしているかも、大学数で公表されている
同じ調査の「外国語教育の実施状況」には、学部段階で英語教育に関してどんな取組をしているかが、大学数と割合で並んでいます。令和2年度の数字です。
| 取組 | 実施している大学数 | 割合 | 内訳(国立・公立・私立) |
|---|---|---|---|
| ネイティブ・スピーカーの活用 | 602大学 | 80.2% | 78・80・444 |
| 能力別クラス編成 | 534大学 | 71.1% | 68・49・417 |
| TOEFL・TOEIC・英検等に必要な能力の養成を目的とした科目の開設 | 440大学 | 58.6% | 57・40・343 |
| LL、映像教材等の利用 | 438大学 | 58.3% | 78・55・305 |
| ICTの活用 | 422大学 | 56.2% | 73・45・304 |
| TOEFL・TOEIC・英検等の学外試験結果の単位認定 | 394大学 | 52.5% | 71・44・279 |
| 会話中心、速読中心等の目的別クラス編成 | 381大学 | 50.7% | 63・44・274 |
| 少人数クラス(1クラス20人以下)の開設 | 358大学 | 47.7% | 53・35・270 |
| 学外試験の結果を進級や卒業等の基準または要件として活用 | 84大学 | 11.2% | 24・6・54 |
いちばん多いのがネイティブ・スピーカーの活用で80.2%、いちばん少ないのが学外試験を進級や卒業の要件にすることで11.2%です。外部試験のスコアを単位に換算する大学は52.5%ある一方で、それを卒業の条件にまで持ち込む大学は1割強にとどまります。
なお同じ調査には、大学教育レベルの英語学修を支援するためのセンター等を設置している大学が247大学(31.9%)という数字も載っています。英語以外の外国語について同様のセンターを置いているのは111大学(14.3%)でした。
大学の英語に到達目標を置いている大学は192大学
達成目標の設定状況も別の表で公表されています。こちらは数が一段下がります。
| 設定している到達水準 | 大学数 | 割合 |
|---|---|---|
| 英語について、TOEIC・TOEFL等外部試験のスコア等を到達水準の1つとして設定している | 192大学 | 25.6% |
| 英語について、外部試験のスコア等以外の到達水準を設定している(大学独自のものを含む) | 66大学 | 8.8% |
| 英語以外の外国語について、外部試験のスコア等を到達水準の1つとして設定している | 72大学 | 9.6% |
| 英語以外の外国語について、外部試験のスコア等以外の到達水準を設定している | 45大学 | 6.0% |
英語に外部試験のスコアで到達水準を置いている大学は751大学中192大学、4校に1校です。取組の表では外部試験対策の科目を開設している大学が58.6%あったので、科目は置くが数値の到達目標までは置かない、という大学のほうが多い形になります。
大学の英語を教える免許を取るなら59単位
最後に、単位数がはっきり法令で決まっている英語の領域を1つ挙げます。教員免許です。教育職員免許法の別表第一が、大学において修得することを必要とする最低単位数を定めています。
| 免許状 | 基礎資格 | 教科及び教職に関する科目の最低修得単位数 |
|---|---|---|
| 中学校教諭 専修免許状 | 修士の学位 | 83単位 |
| 中学校教諭 一種免許状 | 学士の学位 | 59単位 |
| 中学校教諭 二種免許状 | 短期大学士の学位 | 35単位 |
| 高等学校教諭 専修免許状 | 修士の学位 | 83単位 |
| 高等学校教諭 一種免許状 | 学士の学位 | 59単位 |
内訳は教育職員免許法施行規則の第四条(中学校)と第五条(高等学校)にあります。中学校一種は教科及び教科の指導法28単位、高等学校一種は24単位。ここが英語そのものを学ぶ部分にあたります。
| 区分 | 中学校一種 | 高等学校一種 |
|---|---|---|
| 教科及び教科の指導法に関する科目 | 28単位 | 24単位 |
| 教育の基礎的理解に関する科目 | 10単位 | 10単位 |
| 道徳、総合的な学習の時間等の指導法及び生徒指導、教育相談等に関する科目 | 10単位 | 8単位 |
| 教育実践に関する科目(教育実習・教職実践演習) | 7単位(実習5+演習2) | 5単位(実習3+演習2) |
| 大学が独自に設定する科目 | 4単位 | 12単位 |
| 合計 | 59単位 | 59単位 |
そして施行規則の備考は、英語の免許状について「教科に関する専門的事項」として英語学、英語文学、英語コミュニケーション、異文化理解の4つを挙げ、それぞれ1単位以上を修得するものとする、と定めています。大学の英語で科目名が法令に書かれているのは、編集部が確認した範囲ではこの教員免許の系統だけです。
大学の英語について最後に確認しておくこと
この記事で並べた数字を、出どころ別にまとめ直します。
| 数字 | 出どころ | 取得日 |
|---|---|---|
| 「英語」「外国語」の出現0回/「教養」3回 | 大学設置基準 全文(e-Gov法令データ) | 2026年9月16日 |
| 1単位=45時間の学修が標準/授業はおおむね15〜45時間 | 大学設置基準 第二十一条 | 2026年9月16日 |
| 卒業要件124単位以上(医歯188・薬186・獣医182) | 大学設置基準 第三十二条 | 2026年9月16日 |
| 学外・遠隔の上限60単位/連携開設科目30単位 | 大学設置基準 第二十八〜三十条・第三十二条 | 2026年9月16日 |
| 「英語による授業」309大学(41.1%)/英語のみで卒業43大学86学部 | 文部科学省「大学における教育内容等の改革状況について(令和2年度)」 | 2026年9月16日 |
| 英語教員免許 一種59単位 | 教育職員免許法 別表第一・同法施行規則 第四条/第五条 | 2026年9月16日 |
押さえておきたいのは3点です。第一に、大学の英語が何単位かという問いに、全国共通の答えはないこと。設置基準は科目名を書いていないので、志望校の履修要項を見るしか確認する方法がありません。
第二に、国が決めているのは「数え方」と「総量」と「上限」の3つだということ。1単位45時間、卒業124単位、学外と遠隔は60単位まで。この3つの枠の中で各大学が英語を何単位置くかを設計しています。
第三に、実態の数字は文部科学省の調査で公表されていて、令和2年度時点で「英語による授業」を行う大学は41.1%、英語だけで卒業できる学部があるのは5.7%だということ。大学の英語の平均像を知りたいときは、法令ではなくこちらの調査を見るほうが早いことになります。
大学設置基準(昭和31年文部省令第28号)、教育職員免許法(昭和24年法律第147号)、教育職員免許法施行規則(昭和29年文部省令第26号)はいずれもe-Govの法令データ提供システムから取得。文部科学省「大学における教育内容等の改革状況について(令和2年度)」(令和5年1月17日公表・調査対象795大学・回答率97%)は文部科学省のサイトで公開されているPDFから取得。いずれも2026年9月16日に確認しました。条文の検索回数は編集部が取得した全文テキストに対して数えた値です。

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