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ディクテーションの効果は?研究データで分かっていること

英語の音声を聞いて文字に書き起こすディクテーションについて、日本の大学で実際に測られた数字があります。名古屋大学の一般教養英語4クラス147名は、13回のディクテーション形式の授業をはさんだ前後で、平均39.40点から52.50点へ13.1点(増加率33%)上がりました(t(146)=13.74、p<0.001)。ただし同じ授業で、宿題にかけた時間の平均と宿題の点数の平均の相関は0.0038で、ほぼ無相関でした。

この記事は、名古屋大学・長岡工業高等専門学校・法政大学・神戸英語教育学会・TESL Canada Journal が公開している5本の実証研究から、原典の表に印刷されている数字だけを抜き出して並べ直したものです。論文PDFはすべて2026年9月16日に各誌の公開ページから取得して確認しました。平均値・標準偏差・t値・F値・相関係数・有意確率は、すべて原典に印刷されている値です。編集部が推測で埋めた数字は1つもありません。

目次

ディクテーションで何が変わるか=日本の大学147名で測った数字

ディクテーションを学習方法として正面から測った日本の研究に、杉浦正利・竹内彰子・馬場今日子(2002)『言語文化論集』第23巻第2号、名古屋大学言語文化部、pp.105–121 があります。

対象は名古屋大学の学部1年生・2年生の一般教養英語4クラス。プリテストとポストテストの両方を受けていない学生と、欠席が4回以上の学生を除いた147名が分析対象です。授業は2001年度前期、4月に始まり7月に終わり、授業回数は13回。最初の授業でプリテスト、最後の授業でポストテストを行い、いずれも授業中のディクテーションと同じ形式で実施されました。

項目 データ数 平均値 標準偏差
プリテスト 147 39.40 15.16
ポストテスト 147 52.50 12.31

対応のあるt検定の結果は t(146)=13.74、p<0.001。平均13.1点の伸び、増加率にして33%です。教材はアメリカの公共放送PBSのテレビニュース番組をもとに編集された教科書で、授業では毎回2分程度のテキストに10単語連続の空欄を10箇所つくり、合計100単語を書き取らせる形をとっています。該当部分は途中で止めずに10回連続で再生されました。

この数字の読み方

この研究には統制群(ディクテーションをしないグループ)がありません。同じ授業を受けた学生の前後比較なので、13.1点の伸びのうちどれだけがディクテーションによるものかは、この数字だけでは切り分けられません。統制群を置いた研究は、この記事の後半で扱います。

ディクテーションの伸びを4クラス147名に分けて見る

同じ研究は、4つのクラスを1つの母集団として扱ってよいかをF検定で確認したうえで、クラス別・学年別の数字も表として出しています。1年生の2クラス間(F(37,37)=0.59)、2年生の2クラス間(F(34,35)=1.46)、1年生と2年生の間(F(75,70)=0.99)のいずれも、プリテストで等分散性が確認されました。

クラス 学年・学部 人数 プリ平均(SD) ポスト平均(SD)
1 1年・工学部 38 33.26(12.00) 51.63(12.25)
2 1年・法学部 38 33.50(15.62) 52.82(10.94)
3 2年・経済学部 35 45.57(15.25) 50.60(13.78)
4 2年・工学部 36 46.14(12.64) 54.94(12.31)

学年別に見ると、プリテストは1年生76名が33.38(SD13.83)、2年生71名が45.86(SD13.89)と12.48点の開きがありました。ところがポストテストでは1年生52.22(SD11.55)、2年生52.80(SD13.14)と、差は0.58点まで縮んでいます。

1年生と2年生では使った教科書が違います(もとになったニュース番組の収録時期が1998年後半と1999年後半という違いで、レベル別ではないと報告書は書いています)。出発点の低かった1年生のほうが上昇幅が大きく出た形ですが、報告書はこの差について統計的な検定を行っていません。

なお、ポストテストについても同じ等分散性の検証が行われ、1年生の2クラス間 F(37,37)=1.25、2年生の2クラス間 F(34,35)=1.25、1年生と2年生の間 F(75,70)=0.77 で、途中の学習活動によってグループ間に違う結果が出たわけではないと判断されています。

ディクテーションにかけた時間と点数は比例していなかった

この研究でいちばん意外な数字がここです。学生は予習の宿題としてディクテーションを行い、毎回かけた時間を自己申告していました。147名の総学習時間の基本統計量は次のとおりです。

項目 値(分)
データ数 147
平均 523.07
標準偏差 192.79
最小値 187
最大値 1240

平均523分は8時間43分。宿題は11回あったので、1回あたりの平均は47.5分です。ところが、各学習者の宿題の点数の平均と、その学習者が宿題についやした時間の平均との相関係数は0.0038でした。長く聞いた学生ほど点数が高い、という関係は数字の上に出ていません。

報告書はこれを「相関がない」とは結論づけず、時系列で見直しています。学習者全体の平均を回ごとに並べると、点数は上がりながら時間は減っていました。

回 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
宿題の点数 47.7 57.6 51.0 50.8 57.7 55.0 60.9 49.9 57.4 61.3 60.6
宿題の時間(分) 62.9 59.2 57.6 54.0 48.1 43.3 42.3 46.1 43.8 46.1 43.2
授業の点数 62.8 61.9 62.5 63.3 70.4 62.0 71.0 58.8 69.0 69.6 68.2

1回目と11回目を比べると、宿題の点数は47.7から60.6へ12.9点上がり、宿題にかけた時間は62.9分から43.2分へ19.7分減っています。授業中のリスニング時間は毎回ほぼ一定で、平均21.6分(SD1.66)でした。授業の点数は最初の4回の平均が62.6(SD0.58)、最後の3回の平均が68.9(SD0.69)です。

なお、宿題の点数と授業の点数の関係は別に測られています。11回分の組のうち欠損を除いた1541組で相関係数は0.68(p<0.01)でした。

ディクテーションの点数は話す速さで4割動く

同じ研究は、教材のセクションごとに単語数と時間から話す速さ(語数/分)を計算し、授業の点数との関係を回帰分析にかけています。データ数は22セクションです。

統計量 値
データ数 22
重相関係数 R 0.64
決定係数 R² 0.41
自由度修正済決定係数 0.38
回帰のF値 13.81233
P値 0.001364
F(0.95) 境界値 4.35125

相関係数は−0.64の負の相関。決定係数0.41なので、点数の変動のおよそ4割は話す速さで説明がつくと報告書は書いています。話す速さを説明変数とした回帰係数の検定では、t値−3.71649、P値0.0013638、95%信頼区間は下限−0.26315・上限−0.07395で、区間に0が含まれていません。

原典に食い違いがある箇所

この論文の本文には回帰直線が「y = −0.64 × x + 93.87」と印刷されていますが、同じ論文の表12に載っている話す速さの回帰係数は −0.16855(定数項 93.86807)です。本文の傾きと表の回帰係数は一致していません。編集部はどちらが正しいかを判断できないため、原典に印刷されている両方をそのまま記載します。

学期末の試験(授業で扱った範囲から50語、扱わなかった範囲から50語を、5語連続10箇所ずつ空欄にして5回再生)を目的変数にした変数選択重回帰分析では、データ数146で重相関係数0.83、決定係数0.69、修正済0.68、F値79.78108、P値3.06×10⁻³⁵ でした。標準回帰係数は授業の点数が0.738501(F=119.5981)で最も大きく、宿題の点数・授業の時間・宿題の時間の3変数はF値が低く説明変数として選ばれていません。

ディクテーションの伸び幅を統制群と比べた高校の実験

統制群を置いた日本の研究が、YONEZAKI, Hirokazu(2014)”Effectiveness of Dictation in Improving English Listening Ability of Japanese High School Students”、Research Reports of Nagaoka National College of Technology, Vol.50, pp.21–30 です。

日本の高校生が対象で、実験群だけに週1回30分のディクテーションを合計8回、3か月にわたって課しました。教材は約1000語の英文を8つに分割したもので、2011年4月号に掲載された Bruce Holland Rogers の掌編 “Little Brother” が使われています。事前・事後とも同じ50点満点の多肢選択式リスニングテストで、間に約3か月の間隔が置かれました。

グループ n 事前 M(SD) 事後 M(SD) 伸び M(SD)
統制群 41 19.17(6.78) 19.95(6.96) 0.78(7.36)
実験群 24 32.58(4.55) 36.50(5.32) 3.92(4.84)

伸び幅の差は3.14点。独立したサンプルのt検定で t=2.07、p=0.043 と統計的に有意でしたが、差の大きさを表す指標 effect size は r=0.25 と小さいと論文は明記しています。もとの人数は統制群43名・実験群26名で、M±2SD を超える上下の外れ値を除いた結果が41名と24名です。

論文は、effect size が小さく出た理由として、ディクテーションが週1回30分・合計8回しかなかったこと、3か月という期間が十分でなかったこと、その間に中間試験や修学旅行が入ったことを挙げています。また、事前テストの時点で実験群が32.58点、統制群が19.17点と13.41点も離れていた点も、論文自身が設計上の弱点として書いています。

ディクテーションを受けた生徒の75%が点数を上げた

同じ論文は、平均値だけでなく「何人の点数が上がったか」を度数分布で出しています。平均の裏側で何が起きていたかが見える数字です。

変化 統制群(n=41) 実験群(n=24)
点数が下がった 17名(42%) 4名(17%)
変化なし 3名(7%) 2名(8%)
点数が上がった 21名(51%) 18名(75%)

実験群では4人に3人が点数を上げた一方、4人に1人は下がるか変わらないかでした。全員が上がったわけではありません。統制群でも半数の21名は点数が上がっており、同じテストを2回受けたことによる分や、通常授業による分が含まれている可能性があります。

論文は、多肢選択式だったため当てずっぽうによる正解がかなりの数あったはずだとも書いています。伸び幅の度数分布を見ると、実験群では −8点が1名、+12点と+14点がそれぞれ1名と、幅は広く散らばっていました。

イランの初級学習者60名で測ったディクテーションの数字

海外の研究で、統制群を置いて伸び幅の差が大きく出たものに Kiany, G. Reza & Shiramiry, Ebrahim(2002)”The Effect of Frequent Dictation on the Listening Comprehension Ability of Elementary EFL Learners”、TESL Canada Journal, Vol.20, No.1, pp.57–63 があります。

テヘランの Kish Language Institute に通う20〜35歳の男性初級学習者60名を、各30名の2群に分けています。1学期は100分×20セッション。統制群は教科書 Headway Elementary(Soars & Soars, 1993)のリスニング練習のみ、実験群はそれに加えて学期中に11回のディクテーションを行いました。

グループ 事前 M(SD) 事後 M(SD) 伸び M(SD)
実験群(30名) 54.00(10.22) 68.58(10.39) 13.91(1.42)
統制群(30名) 56.00(10.79) 62.00(10.20) 6.00(1.55)

処遇前の一般英語力に差はなく(t(58)=−0.38、有意差なし)、事前のリスニングにも差はありませんでした(t(58)=0.49、有意差なし)。伸び幅は実験群13.91に対し統制群6.00で、t(58)=20.59、p<0.001 と差がついています。

ディクテーションの手順は論文に明記されています。まず区切りなしで全体を通して聞き、次にテープを意味のまとまりごとに止めながら書き取り、最後にもう一度全体を聞いて確認する。書き終わったらスクリプトと突き合わせて自分で採点し、聞き取れなかった箇所に注意しながらもう一度テープを聞く、という流れです。

論文自身が限界として挙げているのは、対象がテヘランの1校の男性のみ60名であり、両群とも同じ1人の講師が教えていた点です。

ディクテーション・シャドーイング・リスニングの相関を70名で測った

「点数が上がるか」ではなく「ディクテーションの力とリスニングの力はどれくらい近いのか」を測った研究が、飯野厚(2014)「英語教育におけるリスニング、シャドーイング、ディクテーションの関係」『法政大学多摩論集』第29号、pp.67–81 です。

対象は同一科目の履修者77名のうち、全テストデータがそろった70名(Aクラス33名、Bクラス37名)。CASECの総合点は1000点満点で平均538.9(SD66.7)、TOEIC換算では483.5(SD80.7)でした。

テスト 平均 標準偏差 最低 最高 中央値
リスニング(250点満点) 139.5 27.4 73 201 145.5
ディクテーション(250点満点) 127.5 20.5 77 175 131.5
シャドーイング(10点満点) 5.8 2.0 2 10 6
語彙・表現(250点満点) 136.0 18.0 92 178 133.8

ピアソンの積率相関係数は次のとおりです。

組み合わせ 相関係数 r
シャドーイング × ディクテーション .499(p<.01)
ディクテーション × 語彙・表現 .450(p<.01)
ディクテーション × リスニング .358(p<.01)
シャドーイング × リスニング .295(p<.05)
シャドーイング × 語彙・表現 .249(p<.05)
語彙・表現 × リスニング .463(p<.01)

ディクテーションとリスニングの相関は .358 で、論文は「弱い相関」と表現しています。リスニングに対しては、語彙・表現の .463 のほうが高い数字でした。重回帰分析では、ディクテーションと語彙・表現の2変数でリスニング得点の24.3%しか説明できず、ディクテーション単独の寄与率は7%、語彙・表現は18%と報告されています。

シャドーイングを入れた場合も説明率は24.9%で、シャドーイング単独の寄与率は6%でした。つまりこの70名のデータでは、ディクテーションの点数もシャドーイングの点数も、リスニングの点数を1割も説明できていません。論文は、対象がTOEIC換算480点前後の層であることを結果の背景として挙げています。

この論文の発行年について

法政大学学術機関リポジトリの書誌情報では発行年が「2014-03」、PDF本文の冒頭では「第29号 2013年3月」と表記されており、両者が一致していません。編集部はどちらが正しいか判断できないため、両方をそのまま記載します。

ディクテーションとシャドーイングを比べた研究では差がついている

飯野(2014)は先行研究のレビューとして、ディクテーションとシャドーイングを直接比べた実験を紹介しています。以下は飯野(2014)が引用している内容で、編集部が原典にあたった数字ではありません。

研究 対象 処遇 結果
玉井(1992) 高校生94名を2群 3か月 シャドーイング群>ディクテーション群(p<.05)
柳原(1995) 短期大学生90名を3群 8回 シャドーイング>ディクテーション>聴解の順に平均の伸びが観察された
玉井(2005) 短大1年生93名 3か月 中位群・下位群でシャドーイングの伸びが有意に高かった
茅野(2006) 高校生78名を3つの習熟度群 半年・18回 中位群と下位群で有意な伸び。上位群では見られず

この4本のうち3本で、ディクテーションよりシャドーイングのほうが伸びが大きいという結果になっています。また茅野(2006)はディクテーションとシャドーイングを組み合わせた指導を行った単一事例研究で、統制群は置かれていません。

飯野(2014)は、これらを踏まえてもなお「ディクテーションとシャドーイングのどちらがリスニングに対してより強い関係を示すのか、基本的な疑問に対する答えは出ていない」と書いています。この分野は結論が固まっていない、というのが2014年時点の整理です。

ディクテーションでリスニング不安は下がったが有意差は出なかった

点数ではなく学習者の心理を測った研究に、新本庄悟(2020)「ディクテーション指導を導入したリスニング不安軽減への取り組み」『KELT』第35号(2020年1月31日発行)、神戸英語教育学会、pp.18–32 があります。

対象は関西圏の私立大学の1・2回生31名(男性12名・女性19名)。実験前のTOEICスコアが300点以下で、CEFRではA1〜A2に相当する層です。90分授業のうち10〜15分を使い、TOEICのPart1・Part2から短めの文を選んでディクテーションを合計10回実施しました。統制群は倫理的配慮から置かれていません。

測定にはYamauchi(2014)が作成した5件法18項目の質問紙が使われ、信頼性係数は事前 α=.90、事後 α=.85 でした。

要因 事前 M(SD) 事後 M(SD)
実生活 3.75(.71) 3.62(.73)
学習場面 3.17(.83) 3.03(.74)
知識 3.52(.86) 3.22(.89)
難易度 3.72(.72) 3.62(.59)
ボトムアップ 3.28(.73) 3.26(.68)
メタ認知 3.34(.76) 3.28(.77)
全体 3.46(.62) 3.34(.55)

6つの要因すべてで数値は下がりましたが、参加者内のt検定では統計的に有意な差は確認されませんでした(p=.43)。下がり幅が最も大きかったのは「知識」の0.30、最も小さかったのは「ボトムアップ」の0.02です。

論文は、有意差が出なかった理由として、明示的な音変化の指導を導入しなかった点を挙げています。n=31、10回という規模と回数も、数字を読むときに押さえておく必要があります。

ディクテーションの研究データを読むときの限界

ここまでの5本を、規模・期間・統制群の有無で並べ直すと、何が測られていて何が測られていないかがはっきりします。

研究 対象 人数 期間・回数 統制群
杉浦ほか(2002) 日本の大学生 147 約4か月・13回 なし
Yonezaki(2014) 日本の高校生 65 3か月・8回 あり(41名)
Kiany & Shiramiry(2002) イランの成人初級 60 1学期・11回 あり(30名)
飯野(2014) 日本の大学生 70 相関研究(処遇なし) —
新本(2020) 日本の大学生 31 10回 なし

5本のうち統制群があるのは2本だけで、その2本の人数は65名と60名です。数百人規模で長期に追った研究はこの5本の中にありません。また、Kiany & Shiramiry(2002)は対象が男性のみ60名、新本(2020)は31名と、サンプルの偏りや小ささを論文自身が限界として書いています。

測っているものも研究ごとに違います。杉浦ほか(2002)はディクテーションの点数そのもので前後を比べており、リスニングの理解度を別のテストで測ったわけではありません。Yonezaki(2014)と Kiany & Shiramiry(2002)は多肢選択式のリスニングテストで測っています。飯野(2014)は処遇を行わず、同じ時点でのテスト間の相関を見ています。

このため、「ディクテーションを◯か月やればリスニングが◯点上がる」という形の一般化を、この5本から導くことはできません。それぞれの数字は、それぞれの条件のもとで測られた1点の観測値です。

ディクテーションの数字で最後に確認しておくこと

この記事で並べた数字を、もう一度整理しておきます。

  • 日本の大学生147名の前後比較では、平均39.40点から52.50点へ13.1点の伸び(t(146)=13.74、p<0.001)。ただし統制群なし(杉浦ほか, 2002)
  • 日本の高校生では、伸び幅の差3.14点で t=2.07、p=0.043。effect size は r=0.25 と小さい(Yonezaki, 2014)
  • イランの成人初級学習者では、伸び幅13.91対6.00で t(58)=20.59、p<0.001(Kiany & Shiramiry, 2002)
  • ディクテーションの点数とリスニングの点数の相関は .358。単独の寄与率は7%(飯野, 2014)
  • リスニング不安は6要因すべてで数値が下がったが、有意差は確認されず(p=.43、新本, 2020)

統制群を置いた2本はいずれも、ディクテーションを行った群の伸び幅が統計的に有意に大きいという結果でした。一方で、日本の高校生を対象にした研究では effect size が小さく、実験群でも4人に1人は点数が下がるか変わりませんでした。

また、杉浦ほか(2002)の宿題データが示しているのは、かけた時間と点数の間に単純な比例関係が見えなかったこと(相関係数0.0038)と、学習が進むにつれて同じ課題にかかる時間が62.9分から43.2分へ減っていったことです。時間の長さそのものより、回数を重ねる中で処理が速くなっていく過程が数字に出ています。

数字を自分で確かめたい場合は、それぞれの掲載誌が公開しているPDFにあたるのが確実です。杉浦ほか(2002)は名古屋大学言語文化部の紀要サイト、Yonezaki(2014)は長岡工業高等専門学校の紀要リポジトリ、飯野(2014)は法政大学学術機関リポジトリ、新本(2020)はJ-STAGE、Kiany & Shiramiry(2002)は TESL Canada Journal のサイトで、いずれも全文が無料で読めます(2026年9月16日時点で編集部が取得を確認)。

最後に一つ。この記事に載せた数字は、すべて原典の表と本文に印刷されている値です。原典どうしで食い違っている箇所(杉浦ほかの回帰式、飯野論文の発行年)は、隠さずそのまま両方を記載しました。

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