公務員試験で英語の資格がどう扱われるのかを一言でまとめると、国家公務員採用総合職試験では、外部英語試験のスコアに応じて最終合格者を決めるときの総得点に15点または25点が加算される、という制度です。加算の対象になるのはTOEFL(iBT)・TOEIC Listening & Reading Test・IELTS・実用英語技能検定(英検)の4種類だけで、それ以外の英語資格は総合職試験の加算対象として案内されていません。
この記事は、人事院が公表している「国家公務員採用総合職試験における英語試験の活用」および2026年度の受験案内・合格者の決定方法、人事院の報道発表、各県の警察官採用試験と教員採用選考の公表資料に書かれている数字を、そのまま並べ直したものです。数字はすべて2026年9月17日に各団体の公表資料で確認しました。制度は年度ごとに更新されるため、受験する年度の受験案内で最終確認してください。
公務員試験の英語は「加点」で使う|国家総合職は総得点に15点か25点
まず結論から。国家公務員採用総合職試験において、英語は「英語という試験科目を解く」形ではなく、すでに持っている外部英語試験のスコアを申告して、総得点に点数を足してもらう形で使います。人事院の資料には「英語試験のスコア等を有する受験者には、最終合格者決定の際に、スコア等に応じて、総得点に15点又は25点を加算する」と書かれています。
対象となるのは総合職試験(院卒者試験・大卒程度試験)の全ての試験の区分です。法律区分でも工学区分でも農業科学・水産区分でも、区分による差はありません。人事院のQ&Aによれば、この仕組みは平成27年度(2015年度)の試験から始まっており、2026年度時点で10年以上続いている制度です。
| 項目 | 公表されている内容(2026年度試験) |
|---|---|
| 対象となる試験 | 総合職試験(院卒者試験・大卒程度試験)の全ての試験の区分 |
| 加算される点数 | 総得点に15点または25点 |
| 加算されるタイミング | 最終合格者を決定するとき |
| 対象の英語試験 | TOEFL(iBT)/TOEIC Listening & Reading Test/IELTS/実用英語技能検定(英検)の4種類 |
| 申告できる試験の数 | 加算を求めることができるスコア等は1つに限る |
| 制度の開始 | 平成27年度(2015年度)試験から |
人事院はこの制度を導入した理由について「行政の国際化が進展し、従来、国際的な関わりがないと考えられた分野でも、諸外国との関係を考慮した政策の企画立案や幅広い国際協力等が生じてきており、公務部門における業務の遂行に当たっては、一定の英語能力を有していることが求められています」と説明しています。特定の語学職を採るための制度ではなく、総合職採用者全体に基礎的な英語力を求める、という位置づけです。
公務員試験の英語で使える4つの試験|TOEFL・TOEIC・IELTS・英検の基準
では、どのスコアで何点が足されるのか。人事院が公表している一覧をそのまま表にすると次のとおりです。英検だけは15点の欄が設けられておらず、準1級または1級で25点という一段階だけになっている点が、4試験のなかで唯一違う扱いです。
| 英語試験 | 15点加算 | 25点加算 |
|---|---|---|
| TOEFL(iBT) | 65以上80未満 | 80以上 |
| TOEIC(Listening & Reading Test) | 600以上730未満 | 730以上 |
| IELTS | 5.5以上6.5未満 | 6.5以上 |
| 実用英語技能検定(英検) | 設定なし | 準1級または1級 |
実施団体も受験案内に明記されています。TOEFL iBTテストおよびTOEFL iBT Home EditionはEducational Testing Service、TOEIC Listening & Reading Testは国際ビジネスコミュニケーション協会、IELTSはBritish Council・IDP:IELTSオーストラリア・ケンブリッジ大学英語検定機構、実用英語技能検定は公益財団法人日本英語検定協会です。IELTSについてはIELTS Academic、IELTS General Training、IELTS Online、IELTS One Skill Retakeの4方式が並記されており、アカデミック・ジェネラルの区別は付けられていません。
人事院のQ&Aには「Q7 英検S-CBTは加算の対象になりますか。」という質問があり、回答は「加算の対象となります。」と明記されています。従来型の英検とS-CBTで扱いに差はありません。
なお、英検については加算の証明として使える書類が限定されています。受験案内の一覧には「Certification Card及び個人成績表はスコア証明書として取り扱いません」と書かれており、手元にカードや成績表しか残っていない場合は、合格証明書などを別途取り寄せる必要があります。
公務員試験の英語の加点が足される場所|最終合格者の決定だけ
ここを取り違えると準備の順番を間違えます。英語の加算点は第1次試験の合否には一切関係しません。人事院の「合格者の決定方法」には、第1次試験合格者は基礎能力試験と専門試験(多肢選択式)の標準点の合計で決め、最終合格者は5種目の標準点を合計し「さらに英語試験による加算点を加えた得点に基づいて」決める、と書き分けられています。
その5種目の重みも公表されています。2026年度の総合職試験(大卒程度試験・教養区分を除く)の配点比率は次のとおりです。
| 試験種目 | 配点比率 | 実施 |
|---|---|---|
| 基礎能力試験(多肢選択式) | 2/15 | 第1次試験 |
| 専門試験(多肢選択式) | 3/15 | 第1次試験 |
| 専門試験(記述式) | 5/15 | 第2次試験 |
| 政策論文試験 | 2/15 | 第2次試験 |
| 人物試験 | 3/15 | 第2次試験 |
| 英語試験 | 配点比率ではなく、総得点に15点または25点を加算 | ― |
この15点・25点という数字の大きさを考えるための物差しも、同じ資料に書かれています。人事院は「標準点の合計は概ね0~1000点の範囲の点数になります。また、全ての試験種目で平均的な成績であれば、標準点の合計はおよそ500点になります」と説明しています。おおむね0~1000点のスケールに対して15点または25点、という位置関係になります。
また、標準点そのものは素点をそのまま使う形ではありません。試験種目ごとに平均点と標準偏差を使って「標準点=10×(当該試験種目の配点比率)×(15×(X−M)÷σ+50)」という式で算出し、小数点以下は切り捨てる、と公表されています。Xがその受験者の素点、Mが平均点、σが標準偏差です。人物試験はA~Eの5段階評価が正規分布するものとみなして標準点を出します。
「基準点(人物試験においては、Dの評価)に達しない試験種目が一つでもある受験者は、他の試験種目の成績にかかわらず不合格となります」と明記されています。多肢選択式の基準点は原則として満点の30%です。英語の加算点は、この足切りを越えた人の総得点に足されるものであって、足切りを埋め合わせるものではありません。
公務員試験の英語スコアが使える期間|5年前の日以後という線引き
古いスコアは使えません。人事院は「試験年度の4月1日から遡って5年前の日以後に受験した英語試験のスコア等が対象」としています。2026年度試験の受験案内では、これを具体的な日付に落として「2026年度試験については、2021(令和3年)年4月1日以後」と書いています。
| 確認項目 | 公表されている扱い |
|---|---|
| 対象期間の考え方 | 試験年度の4月1日から遡って5年前の日以後に受験したもの |
| 2026年度試験の具体的な線 | 2021年4月1日以後に受験したスコア等 |
| TOEFL iBTのPDF版 | 第2次試験(人物試験)日に筆記テストの日から2年を経過していないこと |
| IELTSのPDF版 | 第2次試験(人物試験)日に筆記テストの日から2年を経過していないこと |
| TOEFL/TOEICの証明書の再発行 | それぞれ試験日から2年間は再発行が可能とされている |
| 英検の合格証明書の再発行 | 再発行期限はないとされている |
| IELTSの成績証明書 | 受験者の手元には最初に発行された1通のみ。紛失しないよう保管が必要 |
紙かPDFかで期間の線が変わる点が見落としやすいところです。スコアそのものは5年前まで遡れても、電子データ(PDF形式)を原本とする成績証明書は、TOEFL iBTとIELTSでは「筆記テストの日から2年」という別の条件が重ねてかかります。3年前・4年前のスコアを紙の証明書なしで使おうとすると、この2年の壁に当たる可能性があります。
人事院は申込・受験の時期についても注意を促しています。「英語試験のスコア等を証明する書類を第2次試験(人物試験)の際に持参していただく必要がありますので、英語試験の申込・受験は、実施団体から証明書類が返送される期間も考慮し、余裕をもって行うことをおすすめします」という記載です。試験日と証明書の到着日は別物だ、ということです。
公務員試験の英語で加点の対象外になる受験方式|IPテストとIELTS Indicator
同じ試験名でも、受験方式によっては加算に使えません。ここは人事院がQ&Aでわざわざ項目を立てて否定しています。
| 受験方式・スコアの種類 | 加算の対象か | 出典上の記載 |
|---|---|---|
| TOEIC L&R 団体特別受験制度(IPテスト) | 対象外 | 「加算の対象としていません」 |
| TOEIC L&R 公開テスト | 対象 | 受験案内に「公開テストに限る」と明記 |
| IELTS Indicator | 対象外 | 「加算の対象としていません」 |
| IELTS Academic/General Training/Online/One Skill Retake | 対象 | 受験案内の一覧に4方式を併記 |
| TOEFL iBT の My Best Score | 対象外 | 「Test Dateスコアが加算対象となります。My Best Scoreは、加算対象外です」 |
| TOEFL iBT Home Edition | 対象 | 受験案内の見出しに併記 |
| 英検 S-CBT | 対象 | Q&Aで「加算の対象となります」 |
大学や職場でまとめて受けたTOEICのスコアは使えない、という点が実務上いちばん影響します。TOEIC Institutional Program (IP) Score Reportは加算の対象外なので、加算を狙うなら公開テストを自分で申し込んで受け直す必要があります。同様に、TOEFLのMy Best Scoreは複数回の最高セクションスコアを組み合わせた値なので、その組み合わせで80を超えていても加算の根拠にはなりません。
TOEFLについては2026年度の受験案内に経過措置の記載もあります。「2026年1月21日以降に受験された方は、英語試験申請書(総合職)には『0~120』の参考値をご記入ください」というもので、スコア表記の改訂に合わせた案内です。申請書に書く数値の形式が受験時期で変わるため、該当する時期に受けた人は申請書の記入欄を確認しておく必要があります。
公務員試験の英語の証明書類|第2次試験(人物試験)で出せなければ0点
スコアを持っているだけでは加算されません。人事院は手続きの締切について「第2次試験(人物試験)の際に必要書類を提出できなかった場合は、英語試験による加算はできません」と明記しています。提出の場が1回しかない、という設計です。
2026年度の受験案内に書かれている必要書類は次の3点です。
- 英語試験申請書(総合職)。第1次試験合格発表後に国家公務員試験採用情報NAVIに掲載されるので、自分で印刷して記入する
- スコア証明書の原本(またはこれに相当する書類)およびその写し
- 身分証明書(原本)等。スコア証明書に顔写真が記載されていない場合に必要
| 英語試験 | スコア証明書として認められる書類 |
|---|---|
| TOEFL(iBT) | Test Taker Score Report(PDF形式を紙に印刷したもの/紙の原本とその写し) |
| TOEIC(L&R 公開テスト) | Digital Official Score Certificate(デジタル公式認定証)を紙に印刷したもの/Official Score Certificate(公式認定証)の原本とその写し |
| IELTS | Test Report Form(PDF形式を紙に印刷したもの/紙の原本とその写し) |
| 実用英語技能検定(英検) | デジタル証明書(プレビュー画面)を紙に印刷したもの/合格証明書、PROOF OF EIKEN CERTIFICATION、Certificateの原本とその写し |
提出時の細かい指定も公表されています。スコア証明書はA4縦の用紙に上端を合わせて等倍で印刷すること、用紙の下の空白部分に「大卒程度試験」「教養区分」「第1次試験地」「受験番号」を記入すること、といった内容です。紙のスコア証明書の原本と身分証明書(原本)は確認後に返却され、写し等は回収されます。TOEICについては「証明として必要な箇所は、証明書類の『切り離し可能』(Detach Here)と書かれた切り取り線より上の部分のみです」とも書かれています。
受験案内には「提出されたスコア等を、英語試験を実施する団体に確認する場合があります(国家公務員法上、虚偽又は不正の報告を行った者は、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられることがあります。)」と書かれています。スコアは実施団体に照会されうる前提です。
加算が反映された後の情報の行き先も公表されています。人事院のQ&Aには「最終合格した場合、加算の対象となった英語試験の種類及びスコア等の情報は、各府省等に提供します」とあり、官庁訪問の相手側にスコアが伝わる設計になっています。加算だけで終わる話ではない、という点は押さえておきたいところです。
公務員試験の英語は教養区分でも同じ|年2回実施と配点比率
総合職試験(大卒程度試験)の「教養区分」でも、英語の扱いは変わりません。教養区分の受験案内にも「外部英語試験(TOEFL(iBT)、TOEIC Listening & Reading Test(公開テストに限る。)、IELTS、実用英語技能検定)を活用し、スコア等に応じて総得点に15点又は25点を加算」と、他の区分とまったく同じ文言が入っています。
教養区分は専門試験がない代わりに種目の構成が違うため、配点比率も別に定められています。
| 試験種目 | 配点比率 | 実施 |
|---|---|---|
| 基礎能力試験(多肢選択式)Ⅰ部 | 2/24 | 第1次試験 |
| 基礎能力試験(多肢選択式)Ⅱ部 | 1.5/24 | 第1次試験 |
| 総合論文試験 | 6/24 | 第1次試験 |
| 企画提案試験 | 6/24 | 第2次試験 |
| 政策課題討議試験 | 4/24 | 第2次試験 |
| 人物試験 | 4/24 | 第2次試験 |
| 英語試験 | 総得点に15点または25点を加算 | ― |
教養区分は制度そのものが動いています。人事院は2026年度から教養区分を春にも実施し、年2回の実施にすると案内しています。受験資格については「主に大学2年生(試験年度の4月1日に19歳を迎えている方)から受験できます」と説明されており、大学2年の段階から受験できる区分です。ただし春の実施については「第1次試験日が同日であることから、春に実施される総合職試験で総合職『教養区分』とそれ以外の試験の区分とは併願できない」という制約も示されています。
教養区分の合格者が総合職試験全体に占める比重も公表されています。人事院の合格者発表によれば、2024年度(秋)に実施した教養区分の合格者数は467人で、2025年度総合職試験(春)の合格者数と合計すると2,260人、秋春を合計した総合職試験の合格者数に占める教養区分の割合は20.7%でした。大学2年から受けられて、なおかつ英語の加算も同じ条件で使える区分が、全体の2割を占めているという構図です。
公務員試験の英語|国家一般職の受験案内に加算の記載はない
同じ国家公務員でも、一般職試験は扱いが違います。2026年度の国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)の受験案内を通して読んだ限り、外部英語試験のスコアを加算する制度の記載はありません。「英語」という語が出てくるのは、専門試験(多肢選択式)の出題分野に「英語(基礎)」「英語(一般)」という科目名として登場する箇所だけです。
| 試験 | 外部英語試験による加算 | 試験科目としての英語 |
|---|---|---|
| 総合職試験(院卒者・大卒程度/教養区分を含む) | あり(15点または25点) | 専門試験の区分による |
| 一般職試験(大卒程度試験) | 受験案内に記載なし | 専門試験(多肢選択式)の選択科目に「英語(基礎)」「英語(一般)」 |
一般職試験(大卒程度試験)の配点比率は、基礎能力試験(多肢選択式)が2/9、専門試験(多肢選択式)が4/9、一般論文試験が1/9、人物試験が2/9です。英語を得点源にしたい場合は、加算を申告するのではなく、専門試験の選択科目として英語を選んで解く形になります。つまり同じ「公務員試験の英語」でも、総合職は資格スコアの申告、一般職は科目としての解答という別のルートになっている、ということです。
なお、この記事で確認したのは2026年度の受験案内です。制度は年度で変わるため、受験する年度の受験案内を必ず自分で開いて、英語に関する記載の有無を確かめてください。記載がない年度の試験で「加算されるはず」と想定して準備すると、時間の配分を丸ごと間違えることになります。
公務員試験の英語|外務省の経験者採用はTOEFL iBT100・IELTS7.0を推奨
英語の比重がもっとも高い試験のひとつが外務省関係の採用試験です。国家公務員試験採用情報NAVIに掲載されている外務省経験者採用試験(書記官級)では、求める人材の条件として英語、フランス語、ドイツ語、ロシア語、スペイン語、ポルトガル語、アラビア語、ペルシャ語、トルコ語、タイ語、ベトナム語、インドネシア語、中国語および朝鮮語のうちいずれか1か国語以上の能力が必須とされています。
英語については具体的な水準も示されています。「TOEFL(iBT)100点以上又はIELTS 7.0以上のスコアを有していることを推奨」という記載です。総合職試験の25点加算の基準がTOEFL iBT 80以上・IELTS 6.5以上であることと並べると、水準の差がはっきりします。
| 試験 | TOEFL iBT | IELTS | 位置づけ |
|---|---|---|---|
| 総合職試験 15点加算 | 65以上80未満 | 5.5以上6.5未満 | 総得点への加算 |
| 総合職試験 25点加算 | 80以上 | 6.5以上 | 総得点への加算 |
| 外務省経験者採用試験(書記官級) | 100点以上 | 7.0以上 | 推奨水準(加算の記載はなし) |
注意したいのは、外務省経験者採用試験の記載が「推奨」であって、加算の制度としては案内されていない点です。総合職試験のように「このスコアなら何点足す」という表が公表されているわけではありません。同じ英語スコアでも、試験によって「点数に換算される」ものと「求める水準として示される」ものがあると理解しておく必要があります。なお、外務省専門職員採用試験については、本稿の作成時点で外務省サイトの試験案内を取得できなかったため、科目構成や配点の数値は記載していません。
公務員試験の英語|自治体(警察官)の資格加点の実例3県
地方公務員でも英語資格が点数になる例があります。とくに警察官採用試験は「資格加点」として制度を明示している県が多く、国家総合職の15点・25点とは桁も基準も違うため、個別に確認する価値があります。ここでは公表資料を確認できた3県を並べます。
| 実施主体 | 年度 | 英語の加点 | 加点の上限 |
|---|---|---|---|
| 栃木県(警察官採用試験) | 令和8(2026)年度 | 英検1級30点/準1級20点/2級10点、TOEIC 860点以上30点/730点以上20点/470点以上10点、TOEFL iBT 98点以上30点/80点以上20点/48点以上10点、国連英検A級以上30点/C級・B級10点 | 各資格の合計点数が30点を超える場合でも上限は30点 |
| 香川県(警察官採用試験 第1次試験) | 令和7年度 | 40点=英検準1級以上/TOEIC(IPテストを除く)730点以上/TOEFL iBT 80点以上/国連英検B級以上、30点=英検2級/TOEIC 470点以上/TOEFL iBT 48点以上/国連英検C級 | 同一項目内では1つのみ加点。複数項目は合算可で上限80点 |
| 宮崎県(警察官採用試験) | 公表資料に基づく | 5点=英検準1級以上/TOEIC 650点以上/TOEFL iBT 68点以上/TOEFL PBT 522点以上/国連英検B級以上、2点=英検2級/TOEIC 470~650点未満/TOEFL iBT 48~68点未満/TOEFL PBT 460~522点未満/国連英検C級 | 語学は各最高5点。全6部門の合計で最大15点 |
同じ「英検準1級」でも、栃木県では20点、香川県では40点、宮崎県では5点と、県ごとに点数がまったく揃っていません。これは満点や配点のスケールが県ごとに違うためで、点数の大小をそのまま県同士で比べても意味がありません。比べるべきは「その県の第1次試験の得点全体に対して何点分か」です。
また、警察官の資格加点は英語に限りません。栃木県の例では、英語のほかに中国語(中国語検定・HSK・TECC)、韓国語(ハングル能力検定・韓国語能力試験)、タイ語検定、ベトナム語検定、手話通訳士、簿記、情報系資格、スポーツ経験、船舶操縦士、ヘリコプター操縦士まで区分が設けられています。宮崎県も語学は英語・中国語・韓国語の3言語が対象です。
手続きの締切も国家総合職とは違います。栃木県の案内では「第1次試験日に『資格加点申請書』と『申請する資格を証明できる書類の写し1部』を提出」とされており、提出のタイミングが第1次試験当日です。国家総合職が第2次試験(人物試験)の際なのに対して、自治体側は第1次の時点で書類を求めることがある、という違いは日程表に書き込んでおくべき差です。
公務員試験の英語|教員採用選考での英語資格の扱い
教員採用選考でも英語資格が使われます。ここでは「加点」と「特別選考の受験資格」という2つの使われ方があるのが特徴です。神奈川県の令和8(2026)年度実施 公立学校教員採用候補者選考試験の実施要項を例に取ると、両方が同時に設けられています。
| 使われ方 | 対象 | 基準 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 特別選考④(英語資格所有者) | 中学校・高等学校(英語) | TOEIC(IPテストは除く)730点以上/TOEFL iBT 80点以上/実用英語技能検定 準1級以上のいずれか1つ | 特別選考の対象になる |
| 小学校区分の加点 | 「小学校」の筆記試験受験者 | 実用英語技能検定 準1級以上/TOEIC L&R 785点以上/TOEFL iBT 72点以上のいずれか1つ | 第1次試験の筆記試験に5点を加点 |
スコアの期限についても指定があります。特別選考④については「受験申込期限(令和8年5月7日)までに要件を満たし、かつ第1次試験時に使用できるものに限る」とされ、証明書の原本は第1次試験当日に持参する決まりです。さらに「令和7年4月以降に取得したTOEICの成績を利用する人はデジタル公式認定証を印刷したものを第1次試験当日に提出」という、取得時期で提出物が分かれる指定も入っています。
小学校区分の加点は、英語資格のほかに「中学校又は高等学校教諭普通免許状[外国語(英語)]を所有している人又は令和9年3月31日までに取得見込みの人」も同じ5点の対象です。英語のスコアと英語の免許状が並列に置かれている形で、教科としての英語を担える人を小学校にも確保したい、という設計が読み取れます。
公務員試験の英語で最後に確認しておくこと
ここまでに並べた数字を、確認の順番どおりに整理します。公務員試験の英語で最初に決めるべきは「自分が受ける試験に加算制度があるかどうか」で、スコアを取りに行くのはその後です。
| 確認する順番 | 見る場所 | 2026年度時点で分かっていること |
|---|---|---|
| 1|加算制度の有無 | 受験する試験・年度の受験案内 | 国家総合職(教養区分を含む)はあり。国家一般職(大卒程度)は受験案内に記載なし |
| 2|対象の試験と基準 | 受験案内の別紙「英語試験について」 | TOEFL iBT・TOEIC L&R・IELTS・英検の4種類。15点/25点の2段階 |
| 3|受験方式の可否 | 同上のQ&Aと一覧 | TOEIC IPテスト・IELTS Indicator・TOEFLのMy Best Scoreは対象外 |
| 4|スコアの取得時期 | 同上 | 試験年度の4月1日から遡って5年前の日以後。PDF版は筆記テストの日から2年の条件が別途かかる |
| 5|書類の提出日 | 受験案内の日程表 | 国家総合職は第2次試験(人物試験)の際。自治体は第1次試験当日の例がある |
| 6|申告できる数 | 受験案内 | 加算を求めることができるスコア等は1つに限る |
スケール感の確認にも、公表されている実測値が使えます。2025年度国家公務員採用総合職試験(春)の人事院発表によれば、申込者数は院卒者試験1,288人・大卒程度試験10,740人の合計12,028人で、前年度の13,599人から11.6%の減少でした。第1次試験の受験者数は合計9,957人、最終合格者数は院卒者試験640人・大卒程度試験1,153人の合計1,793人で、申込倍率6.7倍・受験倍率5.6倍という数字が公表されています。
女性の数字も同じ発表に出ています。女性の申込者数は5,329人で申込者数全体に占める割合は44.3%、女性の最終合格者数は630人で合格者に占める割合は35.1%と、いずれも過去最高でした。これらの受験者全体のうち何人が英語の加算を申告したかは公表されていないため、この記事では触れていません。分からない数字は書かない、という方針です。
国家総合職の加算制度・基準スコア・対象期間・提出書類・Q&A=人事院「国家公務員採用総合職試験における英語試験の活用」および2026年度受験案内(大卒程度試験/教養区分)。配点比率と標準点の式=人事院「2026年度国家公務員採用総合職試験(大卒程度試験)合格者の決定方法」。一般職の記載=人事院「2026年度 国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)受験案内」。外務省経験者採用試験=国家公務員試験採用情報NAVI。受験者数・合格者数=人事院「2025年度国家公務員採用総合職試験(春)の合格者発表」。自治体の資格加点=栃木県・香川県・宮崎県警察の公表資料、神奈川県「令和8年度実施 神奈川県公立学校教員採用候補者選考試験実施要項」。いずれも2026年9月17日に確認しました。
最後に一点だけ。加算の点数は、受験案内に書かれている条件をすべて満たして初めて足されるものです。スコアの水準、受験方式、取得時期、証明書の形式、提出日、申告できる数——この6つのうち1つでも外れると、同じスコアを持っていても加算はゼロになります。スコアを上げる勉強と同じくらい、受験する年度の受験案内を最後まで読むことが、公務員試験の英語では点数に直結します。

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