文部科学省が令和7年12月25日に公表した「令和7年度(令和6年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施状況等」によると、中学校「英語」の競争率は2.9倍(受験者4,373人/採用者1,524人)、高等学校「英語」の競争率は2.3倍(受験者1,756人/採用者771人)だった。同じ年の中学校全体は3.6倍、高等学校全体は3.8倍なので、英語はどちらの校種でも全体平均より低い位置にある。
この記事は、文部科学省・各都道府県教育委員会・一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)が公表している数字を、編集部が並べ直したものである。数字は2026年9月17日に各公式サイトで確認した。掲載しているのは公表資料に載っている値そのものであり、編集部の予測や推計は含まない。単位・年度・出典は各表に付けてある。
英語教員採用試験の倍率は、公表されている数字では何倍か
「英語教員採用試験」という名前の単独の試験があるわけではない。実際には、各都道府県・政令指定都市の教育委員会が実施する公立学校教員採用選考試験の中に、中学校「英語」、高等学校「英語」という教科区分が置かれている。倍率を探すときは、この教科区分の数字を見ることになる。
全国の数字をまとめているのは文部科学省の「公立学校教員採用選考試験の実施状況等」である。令和7年度(令和6年度実施)分は令和7年12月25日に公表され、67都道府県・指定都市教育委員会および大阪府豊能地区教職員人事協議会の計68団体が調査対象になっている。
| 区分 | 受験者数(人) | 採用者数(人) | 競争率(倍) |
|---|---|---|---|
| 中学校「英語」 | 4,373 | 1,524 | 2.9 |
| 高等学校「英語」 | 1,756 | 771 | 2.3 |
| 中学校(全教科合計) | 36,569 | 10,102 | 3.6 |
| 高等学校(全教科合計) | 19,705 | 5,140 | 3.8 |
| 全体(小・中・高・特別支援・養護・栄養の合計) | 109,123 | 37,375 | 2.9 |
出典=文部科学省「令和7年度(令和6年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施状況等」第1表および第9表-1・第9表-2(令和7年12月25日公表、2026年9月17日確認)。文部科学省の定義では競争率(採用倍率)=受験者数÷採用者数である。なお、同資料の「ポイント」に載る中学校全体の値(受験者36,621人・採用者10,168人)と、教科別内訳をまとめた第9表-1の合計(受験者36,569人・採用者10,102人)はわずかにずれる。表の中では同じ表どうしの数字を比べるのが安全である。
文部科学省の調査では、競争率は「受験者数÷採用者数」で計算される。志願者数(出願した人数)ではなく、実際に受験した人数が分母になる点に注意が必要である。自治体が独自に出す「志願倍率」とは分母が違うため、数字が一致しないことがある。
英語教員採用試験の倍率を中学校と高等学校で分けて見る
中学校と高等学校では、母数の大きさがまったく違う。中学校「英語」は受験者4,373人に対して採用者1,524人。高等学校「英語」は受験者1,756人に対して採用者771人で、受験者数は中学校の約4割にとどまる。一方で採用者数の比率は高等学校のほうが高く、結果として倍率は高等学校のほうが低い。
前年度(令和6年度採用・令和5年度実施)との比較も、同じ資料の中に括弧書きで併記されている。並べると次のようになる。
| 区分 | 令和6年度採用 | 令和7年度採用 | 差 |
|---|---|---|---|
| 中学校「英語」受験者数(人) | 4,721 | 4,373 | ▲348 |
| 中学校「英語」採用者数(人) | 1,519 | 1,524 | +5 |
| 中学校「英語」競争率(倍) | 3.1 | 2.9 | ▲0.2 |
| 高等学校「英語」受験者数(人) | 1,865 | 1,756 | ▲109 |
| 高等学校「英語」採用者数(人) | 724 | 771 | +47 |
| 高等学校「英語」競争率(倍) | 2.6 | 2.3 | ▲0.3 |
出典=同資料 第9表-1・第9表-2の括弧内数値(前年度値)。受験者が減り、採用者は横ばいか増えたため、どちらの校種でも倍率が下がっているという構図が読み取れる。差の列は、公表値どうしを編集部が引き算しただけのものである。
英語教員採用試験の倍率を、ほかの教科と並べて比べる
同じ中学校の中でも、教科によって倍率は大きく違う。第9表-1の合計行を教科ごとに並べると、英語の位置がはっきりする。
| 中学校の教科 | 受験者数(人) | 採用者数(人) | 競争率(倍) |
|---|---|---|---|
| 技術 | 463 | 261 | 1.8 |
| 理科 | 2,904 | 1,249 | 2.3 |
| 家庭 | 829 | 344 | 2.4 |
| 美術 | 969 | 371 | 2.6 |
| 国語 | 3,884 | 1,416 | 2.7 |
| 英語 | 4,373 | 1,524 | 2.9 |
| 数学 | 4,571 | 1,490 | 3.1 |
| 音楽 | 2,057 | 611 | 3.4 |
| 社会 | 7,253 | 1,416 | 5.1 |
| 保健体育 | 8,992 | 1,281 | 7.0 |
出典=文部科学省 同資料 第9表-1(2026年9月17日確認)。中学校で最も倍率が高いのは保健体育の7.0倍、次いで社会の5.1倍で、英語の2.9倍はこの2教科の半分以下である。採用者数で見ると英語は1,524人と全教科の中で最多であり、募集の枠そのものが大きい。
高等学校も同じ傾向になっている。第9表-2の合計行から抜き出すと、英語の2.3倍は掲載教科の中で最も低い水準に位置する。
| 高等学校の教科 | 受験者数(人) | 採用者数(人) | 競争率(倍) |
|---|---|---|---|
| 英語 | 1,756 | 771 | 2.3 |
| 国語 | 1,856 | 746 | 2.5 |
| 福祉 | 102 | 37 | 2.8 |
| 理科 | 2,010 | 554 | 3.6 |
| 美術 | 299 | 78 | 3.8 |
| 数学 | 2,651 | 671 | 4.0 |
| 音楽 | 332 | 78 | 4.3 |
| 情報 | 627 | 136 | 4.6 |
| 地理歴史 | 2,551 | 529 | 4.8 |
| 公民 | 643 | 105 | 6.1 |
| 保健体育 | 4,174 | 518 | 8.1 |
| 書道 | 231 | 25 | 9.2 |
出典=文部科学省 同資料 第9表-2(2026年9月17日確認)。高等学校の書道は9.2倍、保健体育は8.1倍で、英語の2.3倍とは4倍近い開きがある。ただし書道は採用者が25人しかおらず、分母も分子も小さいため年度ごとの振れ幅が大きい点は差し引いて読む必要がある。
英語教員採用試験の倍率は都道府県でどれだけ違うか(中学校)
全国平均の2.9倍という数字は、47都道府県の実態をならしたものにすぎない。中学校「英語」の県別の値を並べると、同じ年度でも1.1倍から11.5倍まで、およそ10倍の幅があることが分かる。
| 都道府県 | 受験者数(人) | 採用者数(人) | 競争率(倍) |
|---|---|---|---|
| 北海道 | 71 | 35 | - |
| 青森県 | 32 | 17 | 1.9 |
| 岩手県 | 29 | 13 | 2.2 |
| 宮城県 | 50 | 14 | 3.6 |
| 秋田県 | 22 | 7 | 3.1 |
| 山形県 | 24 | 9 | 2.7 |
| 福島県 | 78 | 23 | 3.4 |
| 茨城県 | 102 | 47 | 2.2 |
| 栃木県 | 67 | 19 | 3.5 |
| 群馬県 | 68 | 30 | - |
| 埼玉県 | 153 | 59 | 2.6 |
| 千葉県 | 218 | 79 | - |
| 東京都 | 468 | 181 | - |
| 神奈川県 | 87 | 30 | 2.9 |
| 新潟県 | 67 | 36 | - |
| 富山県 | 30 | 12 | - |
| 石川県 | 48 | 12 | - |
| 福井県 | 34 | 9 | - |
| 山梨県 | 19 | 10 | 1.9 |
| 長野県 | 50 | 21 | 2.4 |
| 岐阜県 | 71 | 22 | 3.2 |
| 静岡県 | 56 | 16 | 3.5 |
| 愛知県 | 162 | 71 | 2.3 |
| 三重県 | 60 | 26 | 2.3 |
| 滋賀県 | 73 | 26 | 2.8 |
| 京都府 | 36 | 16 | 2.3 |
| 大阪府 | 188 | 44 | - |
| 兵庫県 | 94 | 53 | 1.8 |
| 奈良県 | 60 | 17 | 3.5 |
| 和歌山県 | 49 | 15 | 3.3 |
| 鳥取県 | 46 | 8 | 5.8 |
| 島根県 | 36 | 14 | 2.6 |
| 岡山県 | 55 | 10 | 5.5 |
| 広島県 | 115 | 23 | 5.0 |
| 山口県 | 28 | 17 | 1.6 |
| 徳島県 | 24 | 8 | 3.0 |
| 香川県 | 44 | 13 | 3.4 |
| 愛媛県 | 32 | 14 | 2.3 |
| 高知県 | 46 | 4 | 11.5 |
| 福岡県 | 79 | 50 | 1.6 |
| 佐賀県 | 20 | 19 | 1.1 |
| 長崎県 | 31 | 15 | 2.1 |
| 熊本県 | 32 | 11 | 2.9 |
| 大分県 | 26 | 13 | 2.0 |
| 宮崎県 | 43 | 9 | 4.8 |
| 鹿児島県 | 56 | 26 | 2.2 |
| 沖縄県 | 115 | 26 | 4.4 |
| 都道府県 小計 | 3,394 | 1,249 | 2.7 |
| 政令市等 小計 | 979 | 275 | 3.6 |
出典=文部科学省 同資料 第9表-1 県市別(2026年9月17日確認)。「-」は倍率が公表されていない自治体で、資料の注記によると、中学校と高等学校または小学校と中学校をまとめて募集していて区分を分けていない場合に「-」が入る。北海道・群馬県・千葉県・東京都・新潟県・富山県・石川県・福井県・大阪府がこれに当たる。受験者数と採用者数は掲載されているので、単純に割り算すれば目安は出るが、その値は公表値ではない。
政令指定都市などを除いた都道府県の小計は2.7倍、政令指定都市等の小計は3.6倍で、政令指定都市のほうが倍率が高い。個別では横浜市3.9倍(受験131人・採用34人)、大阪市3.3倍(受験90人・採用27人)、堺市3.4倍(受験24人・採用7人)、浜松市4.8倍(受験43人・採用9人)などが公表されている。
英語教員採用試験の倍率は都道府県でどれだけ違うか(高等学校)
高等学校「英語」も、自治体による差が大きい。全国合計は2.3倍だが、県別に見ると1.5倍から12.5倍まで散らばっている。受験者数が2桁台の県が多く、採用者数が1桁の県も珍しくないため、数人の増減で倍率が大きく動く点は必ず頭に入れておきたい。
| 都道府県 | 受験者数(人) | 採用者数(人) | 競争率(倍) |
|---|---|---|---|
| 青森県 | 20 | 3 | 6.7 |
| 岩手県 | 17 | 7 | 2.4 |
| 宮城県 | 36 | 13 | 2.8 |
| 秋田県 | 12 | 2 | 6.0 |
| 福島県 | 37 | 10 | 3.7 |
| 茨城県 | 46 | 22 | 2.1 |
| 栃木県 | 26 | 11 | 2.4 |
| 群馬県 | 32 | 11 | 2.9 |
| 埼玉県 | 102 | 44 | 2.3 |
| 神奈川県 | 157 | 62 | 2.5 |
| 山梨県 | 13 | 3 | 4.3 |
| 長野県 | 31 | 13 | 2.4 |
| 岐阜県 | 38 | 12 | 3.2 |
| 静岡県 | 51 | 11 | 4.6 |
| 愛知県 | 110 | 55 | 2.0 |
| 三重県 | 26 | 7 | 3.7 |
| 滋賀県 | 39 | 17 | 2.3 |
| 京都府 | 54 | 17 | 3.2 |
| 大阪府 | 166 | 49 | 3.4 |
| 兵庫県 | 99 | 42 | 2.4 |
| 奈良県 | 45 | 12 | 3.8 |
| 和歌山県 | 22 | 7 | 3.1 |
| 鳥取県 | 21 | 2 | 10.5 |
| 島根県 | 20 | 3 | 6.7 |
| 岡山県 | 35 | 11 | 3.2 |
| 広島県 | 45 | 16 | 2.8 |
| 山口県 | 28 | 13 | 2.2 |
| 徳島県 | 19 | 4 | 4.8 |
| 香川県 | 24 | 5 | 4.8 |
| 愛媛県 | 26 | 6 | 4.3 |
| 高知県 | 25 | 2 | 12.5 |
| 福岡県 | 72 | 22 | 3.3 |
| 佐賀県 | 9 | 6 | 1.5 |
| 長崎県 | 17 | 11 | 1.5 |
| 熊本県 | 27 | 13 | 2.1 |
| 大分県 | 28 | 5 | 5.6 |
| 宮崎県 | 18 | 3 | 6.0 |
| 鹿児島県 | 17 | 3 | 5.7 |
| 沖縄県 | 66 | 8 | 8.3 |
| 都道府県 小計 | 1,727 | 760 | 2.3 |
| 政令市等 小計 | 29 | 11 | 2.6 |
出典=文部科学省 同資料 第9表-2 県市別(2026年9月17日確認)。北海道・千葉県・東京都・新潟県・富山県・石川県・福井県は中高一括募集などの事情で高等学校「英語」の倍率が「-」または受験者が中学校側に計上されており、上の表からは外している。高知県の12.5倍と長崎県・佐賀県の1.5倍を比べると8倍以上の開きがあるが、いずれも採用者数は10人前後以下である。
英語教員採用試験で英語資格が使える自治体はいくつあるか
倍率と同じくらい数字がはっきりしているのが、英語資格の扱いである。文部科学省の同じ調査には「特別の選考の実施状況」という表があり、英語の資格・試験成績・技能や実績、留学経験、英語ネイティブ等を理由とする特別の選考を実施している自治体数が載っている。
| 項目 | 令和7年度採用(団体) | 前回調査(団体) |
|---|---|---|
| 調査対象の団体数 | 68 | 68 |
| 英語の資格等による特別の選考を実施 | 63 | 63 |
| うち 一部試験免除を行う | 29 | 34 |
| うち 加点を行う | 52 | 56 |
| うち その他の扱いを行う | 7 | 4 |
出典=文部科学省「令和7年度(令和6年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施状況等」第19表-1(2026年9月17日確認)。68団体のうち63団体、割合にすると92.6%が英語の資格等を選考に取り込んでいる(割合は公表値どうしから編集部が計算した)。一部試験免除と加点は重複して実施できるので、内訳の合計は63にはならない。
一部試験免除は、決められた資格を持っていると特定の試験科目を受けなくてよくなる扱い。加点は、試験は全部受けたうえで得点に一定の点数が足される扱いである。同じ資格でも、自治体によってどちらの扱いになるかが変わる。
英語教員採用試験で一次試験の免除につながる資格の実例
免除の中身は自治体ごとに定められている。ここでは、教育委員会が公表している実施要綱と、TOEICを運営する一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)の公表資料から、確認できた基準だけを挙げる。
東京都教育委員会の「令和7年度東京都公立学校教員採用候補者選考(8年度採用)実施要綱」(令和7年3月21日)では、中・高共通および特別支援学校の英語、小学校全科(英語コース)の受験者に課される英語実技試験(Oral Interview)について、次の①〜④のいずれかに該当する者は実技試験を免除すると定めている。
| 免除の条件(東京都・令和7年度選考) | 基準 |
|---|---|
| 実用英語技能検定 | 1級 |
| TOEIC | L&Rで900点以上 かつ Speakingで160点以上(TOEIC IPは不可) |
| TOEFL iBT | 100点以上 |
| IELTS | 7.0以上(アカデミック・モジュール、オーバーオール・バンドスコア) |
出典=東京都教育委員会 令和7年度東京都公立学校教員採用候補者選考(8年度採用)実施要綱(2026年9月17日確認)。要綱では証明書(合格証等)は令和5年7月7日以降に受験したものに限るとされ、免除希望者は第一次選考当日に写しを提出する。TOEICのSpeakingについては、S&Wで受験したスコアでも差し支えないと明記されている。なお同要綱では、小学校全科(英語コース)の合格者は小学校全科全体の合格者のうち30名を上限とすることも定められている。
TOEICスコアによる免除は、ほかの自治体でも公表されている。IIBCが2024年7月・8月に全国の都道府県・政令指定都市の教員採用担当部署へ電話・FAX・メールで実施した独自調査(回答67件、掲載66件、2024年11月版)には、2025年度教員採用試験(2024年度実施)での扱いが自治体ごとにまとめられている。
| 自治体 | 基準スコア | 公表されている扱い |
|---|---|---|
| 青森県 | TOEIC L&R 730点以上 | 中学校・特別支援学校中学部の英語受験者は第一次試験の専門教科試験を免除 |
| 青森県 | TOEIC L&R 860点以上 | 高等学校・特別支援学校高等部の英語受験者は第一次試験の専門教科試験を免除 |
| 神奈川県 | TOEIC L&R 730点以上 | 中学校・高等学校英語で第1次試験の筆記試験のうち教科専門試験を免除(IPテストを除く) |
| 川崎市 | TOEIC L&R 730点以上 | 中学校・高等学校英語で第1次試験の教科専門試験を免除し、代えて小論文試験を実施(IPテストを除く) |
| 京都府 | TOEIC L&R 860点以上 | 中学校・高等学校英語で第1次試験の筆記試験のうち専門を免除(令和4年4月1日以降の取得者に限る) |
| 愛知県 | TOEIC L&R 860点以上 | 中学校・高等学校・特別支援学校英語で第2次試験の実技試験を免除(令和4年6月以降の取得者に限る) |
| 名古屋市 | TOEIC L&R+S&W 1845点以上 | 1次試験の「専門」を免除。教科「英語」希望者は2次試験の実技「英語」も免除(S&Wを2.5倍して合算) |
| 福岡県 | TOEIC L&R 730点以上 | 中学校(高校併願者を除く)・特別支援学校中学部英語で第一次試験の「専門教科」「英語リスニングテスト」、第二次試験の「英語面接」を免除(令和4年4月1日以降のスコアに限る) |
出典=一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会「教員採用試験における活用状況」2024年11月版(2026年9月17日確認)。同資料は「優遇措置の詳細は、必ず各自治体が発行する選考試験要項などで確認してほしい」と明記しており、調査時点の内容であることに注意がいる。表中の「TOEIC L&R+S&W」はTOEIC S&Wのスコアを2.5倍にして合算したスコアを指す。
英語教員採用試験の加点は何点か(自治体別に公表されている数字)
加点のほうは点数が明示されているので、数字としてはいちばん比べやすい。同じTOEIC785点でも、加点が5点の自治体と40点の自治体がある。
| 自治体 | 対象 | 基準スコア | 加点 |
|---|---|---|---|
| 岩手県 | 中学校の英語 | TOEIC L&R 785点以上 または L&R+S&W 1560点以上 | 第1次選考の得点に25点 |
| 岩手県 | 高等学校の英語 | TOEIC L&R 785点以上 または L&R+S&W 1560点以上 | 第1次選考の得点に20点 |
| 宮城県 | 中学校・高等学校英語 | TOEIC L&R 880点以上 | 第1次選考で5点 |
| 宮城県 | 中学校・高等学校英語 | TOEIC L&R 730〜879点 | 第1次選考で2点 |
| 仙台市 | 中学校・高等学校の英語 | TOEIC L&R 730点以上 | 第1次選考の得点に10点 |
| 京都府 | 小学校・中学校・高等学校 | TOEIC L&R 785点以上 または S&W 310点以上 | 第1次選考試験の専門教科において10点 |
| 大阪府 | 中学校・高等学校・支援学校(中学部・高等部)の英語 | TOEIC L&R+S&W 1845点以上 | 第1次選考の得点に40点 |
| 大阪府 | 中学校・高等学校・支援学校(中学部・高等部)の英語 | TOEIC L&R+S&W 1560点以上 | 第1次選考の得点に10点 |
| 兵庫県 | 中学校・特別支援学校区分または高等学校区分の英語 | TOEIC L&R+S&W 1305点以上 | 第1次選考試験で20点 |
| 広島県 | 中学校・高等学校教諭(英語) | TOEIC L&R 730点以上 | 第1次選考試験の筆記試験の得点に5点 |
| 沖縄県 | 中学校・高等学校英語受験者 | TOEIC L&R 945点以上 | 第一次試験の専門試験の得点に20点 |
| 沖縄県 | 中学校・高等学校英語受験者 | TOEIC L&R 785点以上 | 第一次試験の専門試験の得点に5点 |
出典=IIBC「教員採用試験における活用状況」2024年11月版(2026年9月17日確認)。取得時期に条件を付けている自治体が多いのが共通点で、宮城県は令和4年4月1日以降、京都府は令和4年4月1日以降、沖縄県は令和4年4月1日以降に受験したスコアに限るとされている。岩手県は2019年4月1日以降に受験したものを対象としている。
TOEIC以外の試験も横並びで書いてある要項もある。埼玉県教育委員会の「令和9年度埼玉県公立学校教員採用選考試験要項(令和8年度実施)」では、小学校等教員・中学校等教員(英語)・高等学校等教員(英語)の志願者について、CEFR B2相当に当たる次のいずれかを持っていれば第1次試験の合計点に10点を加点すると定めている。
| 試験 | 埼玉県が定める基準(CEFR B2相当) |
|---|---|
| 実用英語技能検定・英検S-CBT・英検CBT | 1級または準1級合格(英検IBAは不可) |
| TOEIC Listening & Reading Test | 785点以上(IPテストは不可) |
| TOEFL iBT | 72点以上 |
| ケンブリッジ英語検定・4技能CBTリンガスキル | 160点以上 |
| GTEC CBT、Advanced | 1180点以上(アセスメント版は不可) |
| IELTS | 5.5以上 |
| TEAP | 309点以上 |
| TEAP CBT | 600点以上 |
出典=埼玉県教育委員会「令和9年度埼玉県公立学校教員採用選考試験要項(令和8年度実施)」(2026年9月17日確認)。同要項には「複数の資格・実績等に該当しても加点を合算しません」と書かれており、上の8種類のうち2つ以上を持っていても10点のままである。出願時に証明書類を持っていることが条件で、資格の取得時期や試験時期は問わないとされている。また「大学3年生チャレンジ選考通過者特別選考」の受験者は第1次試験の試験種目が1種目のため、表中の加点の半分(端数切り上げ)が加点される。
英語教員採用試験の受験者数・採用者数がどう動いてきたか
倍率が下がった理由を「英語だけの事情」で説明することはできない。文部科学省の資料を見ると、令和7年度は全体の受験者総数が109,123人で過去最少、採用者総数が37,375人で昭和61年以降最多だった。分母が減り分子が増えれば、倍率は下がる。
| 区分 | 令和6年度採用 | 令和7年度採用 | 公表されている注記 |
|---|---|---|---|
| 全体の競争率(倍) | 3.2 | 2.9 | 過去最低 |
| 受験者総数(人) | 116,182 | 109,123 | 7,059人減。過去最少 |
| 採用者総数(人) | 36,421 | 37,375 | 954人増。昭和61年以降最多 |
| 小学校の競争率(倍) | 2.2 | 2.0 | 過去最低 |
| 中学校の競争率(倍) | 4.0 | 3.6 | 過去最低 |
| 高等学校の競争率(倍) | 4.4 | 3.8 | 過去最低 |
| 特別支援学校の競争率(倍) | 2.2 | 2.0 | - |
出典=文部科学省 同資料「実施状況等のポイント」(2026年9月17日確認)。前年度の受験者総数・採用者総数は、公表されている増減(受験者7,059人減、採用者954人増)から編集部が逆算した値である。全体の競争率は15自治体で上昇し、47自治体で低下したとも記載されている。文部科学省は、倍率低下の背景として教師の年齢構成に起因する大量退職に伴う採用者数の増加と、それに伴う既卒受験者の減少を挙げている。
同資料には、受験者数に社会人等向け採用猶予特別選考の受験者を含めているため、受験者数および採用倍率が前年度の公表資料とは異なる場合がある、という注記も付いている。過去の記事や資料と数字が合わないときは、この注記を先に確認しておきたい。
英語教員採用試験の周辺で公表されている「教師の英語力」の数字
受験する側の目安として参照されることが多いのが、文部科学省の「英語教育実施状況調査」である。令和7年度調査は調査実施基準日が令和8年2月1日で、回答した公立学校は中学校9,101校、高等学校3,230校、特別支援学校中学部210校、特別支援学校高等部187校だった。
| 指標 | 平成25年度 | 令和6年度 | 令和7年度 |
|---|---|---|---|
| 中学校 英語担当教師のうちCEFR B2相当以上(%) | 27.9 | 46.2 | 58.5 |
| 高等学校 英語担当教師のうちCEFR B2相当以上(%) | - | 82.2 | 84.4 |
| 高等学校 英語担当教師のうちCEFR C1相当以上(%) | - | 23.5 | 25.6 |
| 中学校 英語担当教師のうちCEFR C1相当以上(%) | - | - | 11.1 |
出典=文部科学省「令和7年度『英語教育実施状況調査』(概要)」(2026年9月17日確認)。CEFR B2レベルは英検準1級程度に相当すると同資料の注記に書かれている。中学校のC1相当以上は令和7年度から調査項目に追加されたため、過去の値はない。令和7年度調査からは特別支援学級および特別支援学校中学部・高等部が対象に加わっており、前年までと単純比較できない点も注記されている。
この数字は現職教員の英語力であって、採用選考の合格基準ではない。ただし、中学校の英語担当教師の58.5%がすでに英検準1級程度以上を持っているという事実は、前の章で見た「63団体が英語資格を選考に取り込んでいる」という数字と合わせて読むと、資格の位置づけを測る材料にはなる。
英語教員採用試験の数字を読むときに外せない注意点
ここまで並べてきた数字には、読み違えやすいポイントがいくつかある。公表資料の注記に書いてあるものだけを挙げる。
- 倍率は「受験者数÷採用者数」。出願しただけで受験しなかった人は分母に入らない
- 「-」は中高一括募集などで教科別の倍率が出せない自治体。受験者数と採用者数は掲載されている
- 札幌市・千葉市・広島市は所在地の道県と合同で選考を実施しているため、受験者数は道県の欄に含まれる
- 採用者数が1桁の自治体・教科では、1人の増減で倍率が大きく動く
- 公表されるのは「実施した年度の翌年度の採用」に関する数字で、公表は実施の1年以上あとになる
とくに最後の点は重要である。令和7年12月25日に公表された数字は、令和6年度に実施された試験の結果であり、いま出願しようとしている試験の倍率ではない。最新の募集条件は各教育委員会の実施要項で確認することになる。
「令和7年度(令和6年度実施)」は、令和6年の夏ごろに試験を行い、令和7年4月に採用された分を指す。埼玉県の「令和9年度(令和8年度実施)」要項は、令和8年に試験を行い令和9年4月に採用される分の条件である。倍率の年度と要項の年度は1年ずれているので、並べて読むときは注意がいる。
英語教員採用試験で最後に確認しておくこと
この記事で並べた数字を、もう一度整理しておく。全国の競争率は中学校「英語」2.9倍、高等学校「英語」2.3倍(令和7年度採用、文部科学省)。中学校全体の3.6倍・高等学校全体の3.8倍より低く、教科別でも下位に位置する。
一方で、県別に見れば中学校「英語」は佐賀県1.1倍から高知県11.5倍まで、高等学校「英語」は佐賀県・長崎県1.5倍から高知県12.5倍まで散らばっている。全国平均の2.9倍という1つの数字だけで受験先を判断することはできない。
英語資格については、68団体のうち63団体が英語の資格等による特別の選考を実施し、そのうち29団体が一部試験免除、52団体が加点を行っている。加点の幅は公表資料で確認できた範囲でも2点から40点まであり、対象となるスコアの水準も取得時期の条件も自治体ごとに違う。
| 確認する項目 | どこに書いてあるか | この記事で引いた版 |
|---|---|---|
| 全国・県別の倍率 | 文部科学省「公立学校教員採用選考試験の実施状況等」 | 令和7年度(令和6年度実施)、令和7年12月25日公表 |
| 英語資格を使う自治体数 | 同資料 第19表-1「特別の選考の実施状況」 | 同上 |
| 志望先の免除・加点の中身 | 各都道府県・政令市教育委員会の実施要項・要綱 | 東京都 令和7年度選考/埼玉県 令和9年度試験要項 |
| TOEICスコアの扱い一覧 | IIBC「教員採用試験における活用状況」 | 2024年11月版(2024年7〜8月調査) |
| 現職の英語担当教師の英語力 | 文部科学省「英語教育実施状況調査」 | 令和7年度(基準日 令和8年2月1日) |
最後に、免除や加点の条件は毎年書き換わる。IIBCの資料自体が「詳細は必ず各自治体が発行する選考試験要項などで確認を」と書いているとおり、出願前には志望先の最新の実施要項を1次資料として読むのが確実である。この記事の数字はすべて2026年9月17日時点で各公式サイトに掲載されていた値である。

コメント