
公立中学校の英語の授業で学習者用デジタル教科書を使った学校は9,101校のうち8,681校=95.4%で、同じ授業でオンライン会話まで行った学校は2,326校=25.6%だった。
この記事は、文部科学省が公表している「英語教育実施状況調査」と「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」の集計結果を並べ直したものである。
数字は2026年9月21日に文部科学省の公表資料で確認し、確認が取れなかったものは載せていない。
英語の授業でICTを使った学校の割合はどれくらいか
令和7年度「英語教育実施状況調査」は、公立中学校9,101校と公立高等学校3,230校を対象に、英語の授業でのICT機器の活用状況を4つの区分でたずねている。
「全く行わせていない」と答えた学校を全体から引くと、実施した学校の割合が出る。
| 英語の授業でのICTの使い方 | 公立中学校(9,101校) | 公立高等学校(3,230校) |
|---|---|---|
| 学習者用デジタル教科書の活用 | 95.4% | 調査項目になし |
| 発話や発音などの録音・録画 | 86.3% | 71.8% |
| 人との文字でのやり取り(電子メールやSNS、チャット等) | 45.7% | 44.9% |
| オンライン会話(遠隔地の生徒や教師、ALT等と英語で話す交流等) | 25.6% | 26.7% |
令和7年度調査の基準日は令和8年2月1日で、結果は令和8年6月18日に公表された。
この調査のICTの項目は「AIを活用したものを除く」と明記されており、AI教材による発音練習などは含まれない。
「人との文字でのやり取り」は英語で入力している場合に限られ、高等学校では学習者用デジタル教科書の項目そのものが設けられていない。
割合は文部科学省が公表した学校数から編集部が計算したもので、同省の都道府県別一覧表の「全体」欄の数値と一致する。
英語の授業でのICT活用を頻度別に見た数字(公立中学校)
令和7年度調査は、実施したかどうかではなく「どれくらいの頻度で行わせているか」を6段階でたずねている。
公立中学校9,101校の回答は次のとおりで、学習者用デジタル教科書だけは週3回以上が4,969校=54.6%と突出している。
| 使い方/頻度 | 週3回以上 | 週1回程度 | 半月に1回程度 | 月1回程度 | 月1回未満 | 全く行わせていない |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 学習者用デジタル教科書の活用 | 4,969校(54.6%) | 1,679校(18.4%) | 461校(5.1%) | 789校(8.7%) | 783校(8.6%) | 420校(4.6%) |
| 発話や発音などの録音・録画 | 346校(3.8%) | 879校(9.7%) | 1,148校(12.6%) | 2,417校(26.6%) | 3,068校(33.7%) | 1,243校(13.7%) |
| 人との文字でのやり取り | 198校(2.2%) | 527校(5.8%) | 492校(5.4%) | 1,009校(11.1%) | 1,929校(21.2%) | 4,946校(54.3%) |
| オンライン会話 | 41校(0.5%) | 187校(2.1%) | 213校(2.3%) | 336校(3.7%) | 1,549校(17.0%) | 6,775校(74.4%) |
週1回以上(週3回以上+週1回程度)にまとめると、学習者用デジタル教科書は73.0%、発話や発音の録音・録画は13.5%、人との文字でのやり取りは8.0%、オンライン会話は2.5%になる。
同じ「ICT活用」という言葉でも、日常的に使われているものと年に数回のものが混在している点は、数字を引用するときに落としやすい。
英語の授業でのICT活用を頻度別に見た数字(公立高等学校)
公立高等学校3,230校の回答は次のとおりで、発話や発音などの録音・録画は週3回以上が383校=11.9%と、中学校の3.8%を上回っている。
| 使い方/頻度 | 週3回以上 | 週1回程度 | 半月に1回程度 | 月1回程度 | 月1回未満 | 全く行わせていない |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 発話や発音などの録音・録画 | 383校(11.9%) | 295校(9.1%) | 192校(5.9%) | 517校(16.0%) | 933校(28.9%) | 910校(28.2%) |
| 人との文字でのやり取り | 77校(2.4%) | 187校(5.8%) | 126校(3.9%) | 359校(11.1%) | 702校(21.7%) | 1,779校(55.1%) |
| オンライン会話 | 16校(0.5%) | 74校(2.3%) | 50校(1.5%) | 141校(4.4%) | 582校(18.0%) | 2,367校(73.3%) |
週1回以上にまとめると、録音・録画は21.0%、人との文字でのやり取りは8.2%、オンライン会話は2.8%になる。
録音・録画については中学校より高等学校のほうが実施率は低い(86.3%対71.8%)のに、週1回以上の割合は高等学校のほうが高いという、方向の違う2つの数字が同時に出ている。
英語のオンライン会話は中学校でも高等学校でも4校に1校
オンライン会話は、遠隔地の生徒や教師、ALT等と英語で話す交流を指す。
令和7年度調査では、中学校で25.6%、高等学校で26.7%と、校種による差がほとんどない。
| 区分 | 公立中学校 | 公立高等学校 |
|---|---|---|
| 実施した学校 | 2,326校(25.6%) | 863校(26.7%) |
| 全く行わせていない学校 | 6,775校(74.4%) | 2,367校(73.3%) |
| 週1回以上の学校 | 228校(2.5%) | 90校(2.8%) |
| 月1回未満の学校 | 1,549校(17.0%) | 582校(18.0%) |
実施した学校のうち約3分の2が「月1回未満」に入っており、オンライン会話は行事的な位置づけの学校が多いことが数字から読み取れる(実施校に占める月1回未満の割合=中学校66.6%、高等学校67.4%。編集部が計算したもの)。
英語のデジタル教科書は中学校95.4%、高等学校は約半数
高等学校の学習者用デジタル教科書は令和7年度調査の項目から外れているため、直近で確認できるのは令和6年度調査(基準日=令和6年12月1日、公立高等学校3,241校)になる。
令和6年度調査では、高等学校で学習者用デジタル教科書を「実施していない」と答えた学校が1,645校=50.8%あり、実施した学校は49.2%だった。
| 令和6年度調査の項目 | 中学校で実施(9,130校) | 高等学校で実施(3,241校) |
|---|---|---|
| 学習者用デジタル教科書の活用 | 95.4% | 49.2% |
| デジタルドリルや動画等のコンテンツの活用 | 95.7% | 87.3% |
| 1人1台端末等を用いた発表や話すことにおけるやり取り | 96.4% | 90.8% |
| 発話や発音などの録音・録画 | 87.3% | 73.8% |
| キーボード入力等で書くこと | 93.4% | 86.0% |
| 電子メールやSNS、チャットを用いたやり取り | 26.3% | 34.1% |
令和6年度調査は「授業の何%で実施したか」をたずねる形式で、授業の半分以上で実施した学校に絞ると、中学校の学習者用デジタル教科書は60.4%、1人1台端末等を用いた発表や話すことにおけるやり取りは35.0%まで下がる。
高等学校で同じ絞り込みをすると、1人1台端末等を用いた発表や話すことにおけるやり取りが31.9%、デジタルドリルや動画等のコンテンツの活用が31.3%だった。
英語の授業でのICT活用は都道府県でどれくらい差があるか
令和7年度調査は、公立中学校のICT活用状況を都道府県別・政令指定都市別にも公表している。
下の表は47都道府県のなかでの最高値と最低値で、オンライン会話は9.7%から59.2%まで約6倍の開きがある。
| 公立中学校での使い方 | 全体 | 最も高い都道府県 | 最も低い都道府県 |
|---|---|---|---|
| 学習者用デジタル教科書の活用 | 95.4% | 100.0%(北海道・埼玉県・東京都ほか15都道県) | 85.1%(佐賀県) |
| 発話や発音などの録音・録画 | 86.3% | 100.0%(茨城県) | 73.5%(千葉県) |
| 人との文字でのやり取り | 45.7% | 68.6%(北海道) | 28.1%(京都府) |
| オンライン会話 | 25.6% | 59.2%(茨城県) | 9.7%(青森県) |
政令指定都市は都道府県とは別に集計されており、学校数の少ない自治体では1校の回答が割合を大きく動かす点に注意がいる。
英語の宿題でICTを使わせている学校はどれくらいあるか
授業だけでなく家庭学習の課題についても、令和6年度調査が頻度をたずねている。
PC・タブレットなどを使った英語の家庭学習を何らかの頻度で行わせている学校は、中学校で78.7%、高等学校で79.1%だった。
| 英語の宿題でのICT使用の頻度 | 中学校(9,130校) | 高等学校(3,241校) |
|---|---|---|
| 週3回以上 | 560校(6.1%) | 188校(5.8%) |
| 週1回程度 | 1,584校(17.3%) | 646校(19.9%) |
| 半月に1回程度 | 1,145校(12.5%) | 343校(10.6%) |
| 月1回程度 | 1,884校(20.6%) | 658校(20.3%) |
| 月1回未満 | 2,016校(22.1%) | 728校(22.5%) |
| 全く行わせていない | 1,941校(21.3%) | 678校(20.9%) |
文部科学省は自由記述の回答例として、デジタル教科書を使った音読練習の録音提出、発表用スライドの作成、アンケート機能を使った出題、学習動画の視聴などを挙げている。
英語の授業で遠隔交流を実施した学校の割合
令和6年度調査には、遠隔地とつなぐ3種類の取り組みについての集計もある。
いずれも実施した学校は1割から2割の範囲にとどまっている。
| 遠隔での取り組み(令和6年度) | 中学校で実施 | 高等学校で実施 |
|---|---|---|
| 遠隔地の生徒等と英語で話す交流 | 14.6% | 17.2% |
| 遠隔地の教師やALT等とティーム・ティーチングを行う授業 | 15.2% | 13.9% |
| 遠隔地の英語に堪能な人との個別会話 | 10.3% | 11.4% |
中学校で最も多い遠隔地の教師やALT等とのティーム・ティーチングでも、週1回以上実施した学校は266校(2.9%)だった。
英語の授業を支えるICT環境はどこまで整っているか
機器そのものの整備状況は、文部科学省の「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」に載っている。
令和6年度調査(確定値・基準日=令和7年3月1日)では、公立学校全体で児童生徒1人当たり1.1台の学習者用コンピュータが配備されている。
| 項目(令和7年3月1日現在) | 全学校種 | 小学校 | 中学校 | 高等学校 |
|---|---|---|---|---|
| 学校数 | 32,048校 | 18,271校 | 8,945校 | 3,439校 |
| 児童生徒数 | 10,895,258人 | 5,825,949人 | 2,867,856人 | 1,951,282人 |
| 学習者用コンピュータ台数 | 11,847,256台 | 6,172,728台 | 3,096,888台 | 2,293,304台 |
| 児童生徒1人当たりの台数 | 1.1台 | 1.1台 | 1.1台 | 1.2台 |
| 普通教室の無線LAN整備率 | 97.1% | 96.7% | 96.9% | 99.4% |
| 無線LANまたは移動通信システムで接続する普通教室の割合 | 99.3% | 99.4% | 99.3% | 99.6% |
| 普通教室の大型提示装置整備率 | 91.0% | 93.3% | 91.5% | 93.1% |
| 統合型校務支援システム整備率 | 94.8% | 94.7% | 94.2% | 99.3% |
同じ調査の推移を見ると、普通教室の無線LAN整備率は平成31年3月の41.0%から令和7年3月の97.1%まで上がり、児童生徒1人当たりの台数は平成31年3月の0.2台から令和4年3月に1.0台へ達している。
つまり端末と回線はすでにほぼ行き渡っている状態で、英語の授業での使い方に差が残っていることになる。
英語を含む全教科の教員のICT活用指導力の数字
同じ調査では、公立学校で授業を担当している全教員の自己評価も集計されている。
16の小項目について「できる」「ややできる」と答えた教員の割合を4つの大項目ごとに平均したものが下の表で、4項目とも前年度を上回っている。
| 大項目 | 令和6年度 | 令和5年度 |
|---|---|---|
| A 教材研究・指導の準備・評価・校務などにICTを活用する能力 | 90.7% | 89.6% |
| B 授業にICTを活用して指導する能力 | 82.2% | 80.4% |
| C 児童生徒のICT活用を指導する能力 | 83.1% | 81.6% |
| D 情報活用の基盤となる知識や態度について指導する能力 | 89.2% | 88.1% |
16の小項目の値は最も高いもので93.5%、最も低いもので76.9%だった。
この数字は教科別ではないため、英語担当教員だけを取り出した値ではない点に注意がいる。
英語力とICT活用の関係について公表されている相関係数
令和7年度「英語教育実施状況調査」の結果概要は、高等学校を学校単位として、生徒の英語力(CEFR A2レベル相当以上の割合)と諸要素の相関係数を載せている。
ICTに関する2項目の相関係数はオンライン会話が0.19、人との文字でのやり取りが0.16で、いずれも5%水準未満で有意と注記されている。
| 要素(高等学校・学校単位) | 生徒の英語力との相関係数 |
|---|---|
| ALTによる授業外での教育活動 | 0.38 |
| 英語の授業以外の授業や学校行事でのALTと生徒との交流 | 0.28 |
| 教師の英語使用 | 0.22 |
| 教師の英語力(CEFR C1レベル相当以上を取得) | 0.21 |
| オンライン会話 | 0.19 |
| ALTの授業参画(生徒の発言や作文等へのコメント・フィードバック) | 0.18 |
| 人との文字でのやり取り | 0.16 |
同じ資料に載る令和6年度調査の分析では、英語の授業におけるICTの活用(1人1台端末等を用いた発表や話すことにおけるやり取り)と生徒の英語による言語活動の相関係数が高等学校0.59、中学校0.90と示されている。
中学校の0.90は令和5年度調査の結果で、都道府県単位の集計である点が高等学校(学校単位)と異なる。
相関係数は2つの数字が一緒に動くかどうかを示すもので、どちらが原因かを示すものではない。
文部科学省自身も「相関」「影響」という言葉で記述しており、因果の断定はしていない。
英語のICT活用データで読み違えやすい3つの点
同じ調査名でも、年度によって選択肢の作りが変わっているため、単純な前年比較ができない箇所がある。
- 令和6年度調査は「授業の何%で実施したか」、令和7年度調査は「週に何回行わせているか」をたずねており、設問が入れ替わっている
- 令和7年度調査のICTの項目は「AIを活用したものを除く」と明記されているため、AI教材の利用状況はこの数字に含まれない
- 令和7年度調査は高等学校の学習者用デジタル教科書をたずねていないので、高等学校の数字は令和6年度調査までしかない
- 結果概要のグラフは特別支援学校中学部・高等部を含めた数値、集計結果と都道府県別一覧は公立中学校・公立高等学校のみの数値で、小数点以下がわずかにずれる
- 「実施した」は年1回でも実施に入るため、実施率と頻度は分けて見る必要がある
とくに実施率と頻度の取り違えは差が大きく、中学校のオンライン会話は実施率25.6%に対して週1回以上は2.5%と、10倍の開きがある。
英語の授業とICTの数字で最後に確認しておくこと
- 令和7年度の公立中学校9,101校で、英語の授業の学習者用デジタル教科書の活用は95.4%、週3回以上は54.6%
- 発話や発音などの録音・録画は中学校86.3%、高等学校71.8%
- 人との文字でのやり取りは中学校45.7%、高等学校44.9%
- オンライン会話は中学校25.6%、高等学校26.7%で、週1回以上は中学校2.5%・高等学校2.8%
- 公立学校全体の学習者用コンピュータは児童生徒1人当たり1.1台、普通教室の無線LAN整備率は97.1%
- 教員のICT活用指導力は4つの大項目で82.2%から90.7%、いずれも前年度を上回った
- 高等学校で公表された相関係数は、オンライン会話0.19、人との文字でのやり取り0.16
文部科学省「令和7年度『英語教育実施状況調査』の結果について」結果概要および集計結果(公立中学校・公立高等学校)、都道府県別一覧表。調査基準日=令和8年2月1日。確認日=2026年9月21日。
文部科学省「令和6年度『英語教育実施状況調査』の結果について」集計結果(公立中学校・公立高等学校)。調査基準日=令和6年12月1日。確認日=2026年9月21日。
文部科学省「令和6年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(概要)〔確定値〕」令和7年10月公表。調査基準日=令和7年3月1日。確認日=2026年9月21日。
割合のうち、文部科学省が割合として公表していないものは、公表された学校数をもとに編集部が計算した。
英語の授業でのICTは、端末と回線という土台はほぼ整い、学習者用デジタル教科書のように日常化したものと、オンライン会話のように年数回にとどまるものへ分かれている段階にある。
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