
英語のティームティーチングのうち、遠隔地の教師やALT等とつないで行う授業を週1回以上実施している公立中学校は、全国で266校だった。
この記事は、文部科学省が公表している「令和6年度 英語教育実施状況調査」の集計結果を並べ直したものである。調査基準日は令和6年12月1日、結果の公表は令和7年9月12日。数字は2026年9月26日に文部科学省の公式サイトで確認した。
英語のティームティーチングはどれくらい行われているか、結論から
この調査で「ティームティーチング」として数えられているものは2種類ある。混ざりやすいので最初に分けておく。
| 種類 | 中学校 | 高等学校 | 調査での呼び方 |
|---|---|---|---|
| 遠隔地の教師やALT等とつなぐ授業 | 15.2% | 13.9% | ICT機器の活用状況の1項目 |
| ALT等が教室に入る授業 | 集計方法が異なる | 98.2%の学科が何らかの時数で参画 | 外国語指導助手(ALT)等の参画状況 |
遠隔のティームティーチングを行った学校の割合は、中学校で15.2%、高等学校で13.9%である。いずれも令和5年度調査(中学校7.4%・高等学校11.5%)から増えている。
一方、教室にALT等が入る形は高等学校でほぼ全ての学科に広がっている。ALT等の参画時数が0%と答えた学科は1.8%にとどまる。
前者はICT機器の活用状況を尋ねた設問、後者はALTの参画状況を尋ねた設問である。分母も設問も別なので、足したり比べたりはできない。
関連する数字は、英語の授業でICTはどれくらい使われている?公的調査の数字にまとめている。
ティームティーチングを担うALTが授業に入る時数の割合
高等学校について、英語の総授業時数のうちALT等が参画した時数の割合が公表されている。令和5年度と令和6年度を並べたのが次の表である。
| ALT等が参画する時数の割合 | 令和5年度 | 令和6年度 | 差 |
|---|---|---|---|
| 75〜100% | 2.9% | 4.3% | +1.4ポイント |
| 50〜74% | 7.9% | 9.2% | +1.3ポイント |
| 25〜49% | 29.0% | 31.8% | +2.8ポイント |
| 1〜24% | 58.5% | 52.9% | −5.6ポイント |
| 0% | 1.8% | 1.8% | ±0ポイント |
差の列は編集部が上の2列から計算した値である。文部科学省はこの結果を「ALT等が授業の半分以上参画している学校の割合は増加している」とまとめている。
半分以上にあたる上位2区分を足すと、令和5年度が10.8%、令和6年度が13.5%になる。この合計も編集部の計算による。
減ったのは1〜24%の区分だけで、5.6ポイント下がっている。ティームティーチングの時間が「少しだけある」学科から「もっと多い」学科へ移った形である。
あわせて読むと分かりやすいのは、英語教員の英語力はどれくらい?公的調査で公表されている数字にまとめている。
遠隔地とつないだティームティーチングの実施状況
遠隔のティームティーチングについては、中学校の集計結果に実際の学校数が載っている。頻度ごとの内訳は次のとおり。
| 実施の頻度 | 学校数 |
|---|---|
| 週1回以上行った | 266校 |
| 月1回以上行った | 245校 |
| 半年に1回以上行った | 240校 |
| 年1回以上行った | 635校 |
| 実施していない | 7,744校 |
5つの区分を足すと9,130校になる。これが今回の設問に答えた公立中学校の数にあたる。
実施していない7,744校を差し引くと、何らかの頻度で実施した学校は1,386校。9,130校に対する割合は15.18%で、概要資料の15.2%と一致する。この計算は編集部が行った。
高等学校の同じ項目は13.9%で、令和5年度の11.5%から2.4ポイント増えている。
ティームティーチングでALTが実際に担っている役割
高等学校の調査では、ALT等がどの活動に参画したかも項目別に集計されている。ALT等が参画した学科に占める割合は次のとおり。
| 参画の内容 | 学科の割合 |
|---|---|
| 教師とのやり取りを生徒に示すモデル提示 | 96.1% |
| 生徒のやり取りの相手 | 96.0% |
| 発音のモデル・発音指導 | 94.6% |
| 生徒の発言や作文等へのコメント・フィードバック | 94.1% |
| パフォーマンステスト等の補助 | 85.7% |
| 英語の授業以外の授業や学校行事での交流 | 74.8% |
| 授業外での教育活動のうち定期的なもの | 70.3% |
| 授業外での教育活動のうち不定期なもの | 54.1% |
上位4項目はいずれも94%を超えている。ティームティーチングの中心が、モデルを示す役と話し相手になる役にあることが読み取れる。
下の2項目は授業の外での活動である。定期的なものの例として部活動・個別の英会話練習・異文化理解のための学習、不定期なものの例としてディベート大会やスピーチ大会に向けた指導が挙げられている。
中学校のティームティーチングは何校に1校が遠隔で行っているか
前の章の実数を使って、別の角度から見ておく。9,130校のうち1,386校が実施したということは、およそ6.6校に1校という計算になる。
週1回以上に絞ると266校で、34.3校に1校である。どちらの数字も編集部が上の表から計算した。
| 見方 | 学校数 | 9,130校に対する割合 | 何校に1校か |
|---|---|---|---|
| 何らかの頻度で実施 | 1,386校 | 15.18% | 約6.6校に1校 |
| 週1回以上 | 266校 | 2.91% | 約34.3校に1校 |
| 年1回以上のみ | 635校 | 6.96% | 約14.4校に1校 |
実施した1,386校のうち、最も多いのが年1回以上の635校である。遠隔のティームティーチングは、導入した学校でも行事に近い頻度で行われている場合が多いことになる。
ティームティーチングと並んで調べられたICTの活用状況
遠隔のティームティーチングは、ICT機器の活用状況を尋ねる大きな設問の中の1項目として調べられている。同じ設問に並ぶ他の項目の数字も見ておく。
| 活用の場面 | 中学校 | 高等学校 |
|---|---|---|
| 1人1台端末等を用いた発表ややり取り | 96.4% | 90.8% |
| デジタルドリルや動画等のコンテンツの活用 | 95.7% | 87.3% |
| 学習者用デジタル教科書の活用(授業) | 95.4% | 49.2% |
| キーボード入力等で書くこと | 93.4% | 86.0% |
| 発話や発音などの録音・録画 | 87.3% | 73.8% |
| 遠隔地の教師やALT等とのティームティーチング | 15.2% | 13.9% |
| 遠隔地の生徒等と英語で話す交流 | 14.6% | 17.2% |
| 遠隔地の英語に堪能な人との個別会話 | 10.3% | 11.4% |
端末を使う活動は9割を超えているのに対し、外部とつなぐ活動は1割台にとどまる。機器の普及と接続の活用は別だということが、同じ設問の中に現れている。
なお割合はいずれも「ICT機器を活用した学校数」を分子、全学校数を分母として算出されたものだと注記されている。
ティームティーチングの授業で文部科学省が挙げている実践例
令和6年度の調査では、特色ある取組を行っていると思われる中学校14校、その学区内の小学校11校、7つの教育委員会を訪問したヒアリング調査も行われている。
その中で「教師とALTのティーム・ティーチング」として紹介されている内容は次のとおりである。
- 子供一人一人のつまずきを把握した上で、個別に誤りの訂正を行う
- あわせて全体へのフィードバックを行う
- 常に子供を励まし、子供が自信を持って英語を使用できる環境を作り出す
ここで述べられているのは、ALTが発音のモデルを示すだけの役ではないという点である。前の章で見た参画内容の上位に「生徒の発言や作文等へのコメント・フィードバック」が94.1%で入っていたことと重なる。
この訪問調査は令和5年度の全国学力・学習状況調査と英語教育実施状況調査の結果をもとに対象校を選んで実施されたものだと注記されている。調査全体の分析は横浜国立大学の研究室への委託で行われている。
ティームティーチングと中学生の英語力の関係はどう分析されているか
文部科学省は、令和5年度の英語教育実施状況調査と令和5年度の全国学力・学習状況調査を組み合わせた分析も公表している。学校ごとの取組状況と、CEFR A1レベル相当以上を達成した中学生の割合との関係を調べたものである。
分析では、実施の頻度を0から4の5段階に置き換えている。4が週1回以上、3が月1回以上、2が半年に1回以上、1が年1回以上、0が実施していないである。
| ICTで遠隔地とつなぐ活動 | 一段階高い学校のCEFR A1以上割合 |
|---|---|
| 遠隔地の英語に堪能な人との個別会話 | 2.21%高い |
| 遠隔地の生徒等と英語で話す活動 | 1.34%高い |
| 遠隔地の教師やALT等とのティームティーチング | 1.04%高い |
遠隔のティームティーチングについては、実施状況が一段階高い学校でA1以上の割合が1.04%高いという数値が示されている。
ALTの授業外での活動についても同じ形で数値が出ている。一定の目的を持った授業外での教育活動が0.92%高い、英語の授業以外の授業や学校行事での生徒との交流が0.52%高い、という並びである。
資料には「各枠内は回答単位が同一のため比較可能だが、枠間では比較はできない」と明記されている。ICTの枠の2.21%とALTの枠の0.92%を並べて大小を語ることは、資料の前提から外れる。
分析の条件も押さえておきたい。統制変数として英語の正答率2種類、生徒の英語への関心等4項目の平均、生徒と学校それぞれの言語活動7項目の平均が置かれている。手法は階層的重回帰分析で、対象は中学校第3学年の生徒数が21名以上の学校である。示された数値はすべて5%水準で有意とされている。
英語のティームティーチングの数字を読むときに確認すること
ここまでに並べた数字は、すべて文部科学省の令和6年度英語教育実施状況調査によるものである。読み違えやすい点をまとめておく。
| 確認すること | 実際のところ |
|---|---|
| 調査の対象 | 公立の中学校・高等学校等。私立は含まない |
| 基準日 | 令和6年12月1日 |
| 15.2%が指すもの | 遠隔でのティームティーチングのみ。教室でのALT参画は別集計 |
| 高等学校の集計単位 | ALTの参画状況は学科単位で集計されている |
| 都道府県別のデータ | 公表はグラフ形式。小学校と中学校は令和5年度調査から作成 |
とくに注意したいのが、中学校と高等学校で集計の単位が違う点である。高等学校のALT参画状況は学科ごとに集計されており、学校数とは一致しない。
数字を引くときは、学校単位なのか学科単位なのか、そして調査年度がどちらなのかを添えておきたい。単位と年度をセットで書くだけで、比べ方の誤りはほとんど防げる。
この記事の参考文献
- 令和6年度「英語教育実施状況調査」の結果について(文部科学省 公式サイト)
- 令和6年度 英語教育実施状況調査 結果概要(文部科学省 公式サイト)
- 令和6年度 英語教育実施状況調査 中学校集計結果(文部科学省 公式サイト)
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