
小学生の英検受験者は、2024年度で37万5,991人だった。公益財団法人 日本英語検定協会が2025年8月15日に公開した資料で示された数字である。
この記事は、日本英語検定協会が公表している志願者数と受験者数の統計を並べ直したものである。数字は2026年9月26日に同協会の公式サイトおよび公開資料で確認した。単位はすべて「人」、年度は4月1日から翌年3月31日までの日本の年度を指す。
小学生の英検受験者は何人か、結論から
日本英語検定協会が公表している小学生の数字は、2つある。どちらも「小学生の英検」を表すが、数え方が違う。
1つ目が受験者数37万5,991人(2024年度)。協会の『統合報告書2025』に掲載されたコラム「データで見る英検 〜小・中・高校生の英語力向上の状況〜」で示された数字である。
2つ目が志願者数54万7,536人(2024年度)。協会サイトの「受験の状況」に掲載されている、学校段階別の内訳のうち「小学校以下」の人数にあたる。
| 数字 | 2024年度の値 | 何を数えているか | 出どころ |
|---|---|---|---|
| 受験者数 | 37万5,991人 | 小学生が実際に受験した延べ人数 | 統合報告書2025(2025年8月15日公開のコラム第7弾) |
| 志願者数(小学校以下) | 54万7,536人 | 小学校以下の区分で申し込まれた延べ人数 | 協会サイト「受験の状況」 |
差は17万1,545人ある。この差が出る理由を協会は個別に説明していないため、本記事でも理由は推測しない。
「小学校以下」の区分には未就学児が含まれる。一方の受験者数は小学生に限定した集計として示されている。別々の指標として扱うのが正しい読み方になる。
関連する数字は、英検の受験者数は年間何人?級別・方式別の内訳にまとめている。
小学生を含む英検志願者数は5年でどう動いたか
協会サイトの「受験の状況」は、学校段階別の志願者数を年度ごとに掲載している。直近5年度分を並べ直したのが次の表である。
| 年度 | 小学校以下 | 中学・高等学校(高専含む) | 大学(短大・専修学校含む) | その他 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2025年度 | 516,844人 | 3,144,528人 | 41,963人 | 839,787人 | 4,543,122人 |
| 2024年度 | 547,536人 | 3,123,527人 | 41,405人 | 777,531人 | 4,489,999人 |
| 2023年度 | 551,604人 | 3,259,884人 | 49,003人 | 643,207人 | 4,503,698人 |
| 2022年度 | 524,833人 | 3,102,592人 | 54,624人 | 523,871人 | 4,205,920人 |
| 2021年度 | 461,154人 | 3,026,585人 | 65,549人 | 549,380人 | 4,102,668人 |
小学校以下の志願者数は、2021年度の46万1,154人から2023年度の55万1,604人まで増えたあと、2025年度は51万6,844人まで戻っている。
5年間の最大と最小の差は9万450人。2021年度を100としたときの2025年度は112.1になる。この指数は編集部が上表の数字から計算した値である。
全体に占める割合も出しておく。編集部が上表から計算した「小学校以下 ÷ 合計」は、2021年度11.2%、2022年度12.5%、2023年度12.2%、2024年度12.2%、2025年度11.4%となる。
5年のあいだ、おおむね11〜12%台で動いていることになる。小学生を含む層が志願者全体の1割強を占める構図は、この5年で大きくは変わっていない。
あわせて読むと分かりやすいのは、TOEIC Speaking & Writingの受験者数は年間何人?推移のデータにまとめている。
小学生の英検受験者はこの10年で何倍になったか
協会は『統合報告書2025』のコラムで、10年前との比較を示している。2024年度の小学生の英検受験者は、2014年度比で約1.5倍である。
増加の中心は4級以上だと協会は明記している。級別の倍率は次のとおり。
| 級 | 2014年度比の倍率 | 協会の説明 |
|---|---|---|
| 全体 | 約1.5倍 | 小学生の英語学習への取り組みが着実に拡大 |
| 4級 | 約1.6倍 | 増加の中心は4級以上。中位級の伸びが顕著 |
| 3級 | 約1.9倍 | |
| 準2級 | 約2倍 |
全体が1.5倍なのに対して、3級が1.9倍、準2級が2倍。上の級ほど伸び率が大きいという形になっている。
協会はこれを「受験級の中位シフト」と呼んでいる。小学生の受験そのものが増えただけでなく、受験する級の重心が上へ動いたという読み方である。
なお、5級と準2級プラス以上の級について、協会は同コラムで小学生の倍率を示していない。公表されていない数字なので、本記事でも数値は挙げない。
小学生が受ける英検の級はどう位置づけられているか
前の章で名前が出た4級・3級・準2級が、協会の設計上どのレベルにあたるのかを確認しておく。協会サイト「各級の目安」に掲載されている推奨目安は次のとおりである。
| 級 | 推奨目安 | スピーキングの形式 |
|---|---|---|
| 5級 | 中学初級程度 | 録音形式 |
| 4級 | 中学中級程度 | 録音形式 |
| 3級 | 中学卒業程度 | 面接形式 |
| 準2級 | 高校中級程度 | 面接形式 |
| 準2級プラス | 高校上級程度 | 面接形式 |
| 2級 | 高校卒業程度 | 面接形式 |
| 準1級 | 大学中級程度 | 面接形式 |
| 1級 | 大学上級程度 | 面接形式 |
推奨目安に「小学校程度」と書かれた級は1つもない。最も下の5級でも中学初級程度である。
つまり小学生の受験者は、最初の1つ目の級から学年の目安を超えた試験を受けていることになる。伸びが大きい3級は中学卒業程度、準2級は高校中級程度にあたる。
また、3級以上はスピーキングが面接形式に変わる。4級までの録音形式とは受験当日の流れが異なる点も、級を選ぶときの判断材料になる。
小学生の英検のCEFR到達はどうなっているか
協会は『統合報告書2025』のコラムで、小学生のCEFR到達状況にも触れている。CEFRは言語能力を6段階で評価する国際的な指標である。
| CEFRのレベル | 協会が示す英検の相当級 |
|---|---|
| A1 | 英検3級相当 |
| A2 | 英検準2級相当 |
| B1 | 英検2級相当 |
| B2 | 英検準1級相当 |
コラムに書かれているのは、A1到達者とA2到達者がともに増加しているという事実である。
技能別でも、リーディング・リスニング・ライティング・スピーキングの4技能がいずれも上向きだと協会は説明している。従来の「読む・聞く先行」に偏らないバランスの取れた伸びが見られる、という書き方である。
ただし、到達者が何人か、あるいは何%かという実数は、このコラムでは公表されていない。掲載されているのは推移を示すグラフのみである。
小学生向けの英検Jr.の受験者数はどうなっているか
協会は、英検とは別に「英検Jr.」を実施している。BRONZE・SILVER・GOLDの3グレードに分かれた、合否を出さない形式の試験である。
協会サイト「受験の状況」に掲載されている英検Jr.の年度別志願者数は次のとおり。
| 年度 | BRONZE | SILVER | GOLD | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 2013年度 | 33,636人 | 28,689人 | 19,845人 | 82,170人 |
| 2012年度 | 33,249人 | 28,325人 | 20,247人 | 81,821人 |
| 2011年度 | 32,869人 | 30,935人 | 20,395人 | 84,199人 |
| 2010年度 | 36,632人 | 33,746人 | 22,377人 | 92,755人 |
| 2009年度 | 38,650人 | 36,379人 | 19,251人 | 94,280人 |
| 2008年度 | 40,290人 | 32,998人 | 20,825人 | 94,113人 |
| 2007年度 | 41,591人 | 32,655人 | 18,823人 | 93,069人 |
| 2006年度 | 40,133人 | 30,042人 | 17,340人 | 87,515人 |
| 2005年度 | 37,782人 | 28,531人 | 13,874人 | 80,187人 |
| 2004年度 | 36,855人 | 24,572人 | 11,683人 | 73,110人 |
| 2003年度 | 34,750人 | 19,856人 | 7,954人 | 62,560人 |
2003年度の6万2,560人から2009年度の9万4,280人まで増え、そのあと8万人台で推移している。協会は1994年からの累計志願者数を140万人としている。
この表が2013年度で止まっている点は、そのまま受け取るしかない。2014年度以降の年度別志願者数は、協会サイトの同じページに掲載されていない。
グレード別に見ると、GOLDは2003年度の7,954人から2010年度の2万2,377人まで2.8倍に増えている。この倍率は編集部が上表の数字から計算した値である。
小学生の英検受験が増えた背景として協会が挙げていること
受験者が10年で約1.5倍になった理由について、協会は『統合報告書2025』のコラムで自ら説明している。他所の分析ではなく、数字を出している当事者の見立てである。
協会が挙げているのは、小学校における外国語の教科化によって学習到達目標の明確化が進んだことである。
- 学習内容を整理して教えることが進んだ
- 評価の機会が増えた
- この2つが合わさり、A1の定着とA2到達の拡大を後押ししている
協会はこれを受験級の中位シフトと結びつけて説明している。つまり「受ける子が増えた」だけでなく「同じ子が上の級へ進む流れができた」という整理である。
さらに協会は、小・中・高の接続という観点も示している。小学校段階でA1からA2へ踏み出す児童が増えるほど、その後のA2からB1、B1からB2への移行が円滑になるという説明である。
同コラムの中学生編・高校生編では、中学校でA2やB1に到達する生徒が増え、高校では2級・準1級の合格者が増えていることが示されている。小学校段階の底上げが、中学校・高校の伸びを支える土台だというのが協会の結論にあたる。
小学生の英検の数字を読むときに確認しておくこと
ここまでに並べた数字は、どれも日本英語検定協会が公表しているものである。読むときに取り違えやすい点を最後にまとめておく。
| 確認すること | 実際のところ |
|---|---|
| 受験者数と志願者数 | 2024年度は受験者37万5,991人・志願者(小学校以下)54万7,536人で別の数字 |
| 「小学校以下」の範囲 | 未就学児を含む区分。小学生だけの数ではない |
| 級別の小学生の内訳 | 実数は非公表。公表されているのは10年前との倍率のみ |
| CEFR到達者の数 | 実数・割合とも非公表。推移のグラフのみ |
| 英検Jr.の年度別データ | 公式サイトの掲載は2013年度まで |
小学生の英検について語られる数字は幅がある。受験者ベースなのか志願者ベースなのかで、2024年度だけでも17万人以上の開きが出るためである。
見かけた数字がどちらなのかを確かめるだけで、比べ方の誤りはかなり減る。出どころと年度をセットで確認するのが、遠回りに見えていちばん確実である。
この記事の参考文献
- 受験の状況(英検)(公益財団法人 日本英語検定協会 公式サイト)
- 統合報告書2025 コラム第7弾「データで見る英検 〜小・中・高校生の英語力向上の状況〜 小学生」(公益財団法人 日本英語検定協会 公式サイト)
- 各級の目安(公益財団法人 日本英語検定協会 公式サイト)
- 受験の状況(英検Jr.)(公益財団法人 日本英語検定協会 公式サイト)
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