
海外の日本語学習者は、2024年度の調査で4,000,750人だった。国際交流基金が3年ごとに実施している「海外日本語教育機関調査」の結果である。
この記事は、国際交流基金が2025年9月3日に公表した「2024年度 海外日本語教育機関調査 結果概要」の数字を並べ直したものである。数字は2026年9月26日に同基金の公式サイトで確認した。単位はすべて「人」または「機関」で、比較対象はいずれも前回の2021年度調査である。
日本語学習者は海外に何人いるか、結論から
2024年度の調査で確認された数字は3つある。機関・教師・学習者のいずれも過去最多となった。
| 項目 | 2024年度 | 前回からの増減 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 日本語教育機関数 | 19,344機関 | 1,072機関増 | 5.9%増 |
| 日本語教師数 | 80,898人 | 6,306人増 | 8.5%増 |
| 日本語学習者数 | 4,000,750人 | 206,036人増 | 5.4%増 |
日本語教育の実施が確認された国・地域は143である。前回の141から2つ増えた。
学習者数から増加分を引くと、前回2021年度は3,794,714人だったことになる。この計算は編集部が上の表の数字から行った。
調査では、教育段階別・地域別の割合も公表されている。資料に明記されているのは中等教育が全体の約半数、地域別ではアジアが全体の8割近くという2点である。
関連する数字は、高校生の海外留学は何人?文部科学省の調査データを並べたにまとめている。
日本語学習者が多い国・地域はどこか
学習者数の上位10か国・地域は次のとおりである。カッコのない数字はすべて2024年度の値である。
| 順位 | 国・地域名 | 学習者数 | 増減数 | 増減率 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 中国 | 1,019,197人 | −38,121人 | −3.6% |
| 2位 | インドネシア | 732,914人 | +21,182人 | +3.0% |
| 3位 | 韓国 | 555,396人 | +85,062人 | +18.1% |
| 4位 | オーストラリア | 424,316人 | +8,968人 | +2.2% |
| 5位 | タイ | 194,366人 | +10,409人 | +5.7% |
| 6位 | ベトナム | 164,495人 | −5,087人 | −3.0% |
| 7位 | 米国 | 134,096人 | −27,306人 | −16.9% |
| 8位 | 台湾 | 124,149人 | −19,483人 | −13.6% |
| 9位 | ミャンマー | 100,315人 | +81,191人 | +424.6% |
| 10位 | インド | 52,946人 | +16,931人 | +47.0% |
上位3か国だけで230万人を超える。全体の4,000,750人に対する割合は約57%で、この合計と割合は編集部が上の表から計算した。
順位が大きく動いたのはミャンマーで、前回の16位から9位に上がっている。インドも11位から10位へ入った。
あわせて読むと分かりやすいのは、中学生で英検3級以上を持つ割合は何%?文部科学省の調査データにまとめている。
日本語学習者が増えた国と減った国
増減の内訳を見ると、全体が5.4%増だったからといってどこも増えたわけではないことが分かる。
| 増えた国・地域 | 増加人数 | 減った国・地域 | 減少人数 |
|---|---|---|---|
| 韓国 | 85,062人(+18.1%) | 中国 | 38,121人(−3.6%) |
| ミャンマー | 81,191人(+424.6%) | 米国 | 27,306人(−16.9%) |
| スリランカ | 24,904人(+255.5%) | 台湾 | 19,483人(−13.6%) |
| インドネシア | 21,182人(+3.0%) | 香港 | 6,797人(−24.6%) |
| インド | 16,931人(+47.0%) | ベトナム | 5,087人(−3.0%) |
減少の側について、国際交流基金は「外国語教育の方針転換により減少が見られる国・地域も」と説明している。学習者の意欲の話ではなく、教育制度側の事情が挙げられている点は押さえておきたい。
増加率で見るとミャンマーの424.6%、スリランカの255.5%が突出している。どちらも人数では上位5位に入っており、率だけが跳ねた小規模な変化ではない。
南アジアの日本語学習者はどれだけ伸びたか
国際交流基金が調査結果のポイントとして挙げているのが、南アジア地域の伸びである。5か国の増加人数は次のとおり。
| 国名 | 増加人数 | 増加率 |
|---|---|---|
| スリランカ | 24,904人 | 255.5% |
| インド | 16,931人 | 47.0% |
| ネパール | 15,646人 | 162.2% |
| バングラデシュ | 7,500人 | 101.1% |
| パキスタン | 663人 | 272.8% |
5か国の増加分を足すと65,644人になる。全体の増加206,036人に対して約32%を占める計算で、この合計も編集部が上の表から求めた。
増加率はいずれも100%前後かそれ以上である。母数が小さい分だけ率は大きく出るが、人数でも全体の3分の1近くを担っていることになる。
日本語学習者を教える機関と教師はどこに多いか
学習者の分布と、機関・教師の分布は少しずれる。それぞれの上位5か国・地域を並べたのが次の表である。
| 順位 | 機関数 | 教師数 |
|---|---|---|
| 1位 | インドネシア 3,103機関 | 中国 21,743人 |
| 2位 | 中国 3,073機関 | 韓国 14,127人 |
| 3位 | 韓国 2,815機関 | インドネシア 7,614人 |
| 4位 | オーストラリア 1,595機関 | ベトナム 4,230人 |
| 5位 | 米国 1,155機関 | 米国 3,780人 |
機関数の1位はインドネシアで、前回2位から入れ替わった。学習者数では中国が1位、機関数ではインドネシアが1位という形になっている。
ミャンマーは教師数でも13位から6位へ上がり、3,577人(299.2%増)となっている。機関数でも16位から8位へ移動しており、3つの指標が同じ方向に動いている。
日本語学習者がいる国・地域の数はどう変わったか
143という国・地域の数の内訳も公表されている。前回との比較は次のとおり。
| 年度 | 実施を確認した国・地域数 | うち新規・再開 | 確認できなくなった国・地域数 |
|---|---|---|---|
| 2024年度 | 143 | 9 | 7 |
| 2021年度 | 141 | 8 | 9 |
新規に実施が確認されたのはコソボ・ジブチ・赤道ギニアの3か国。再開が確認されたのはマーシャル・バルバドス・オマーン・ウガンダ・エチオピア・ザンビアの6か国である。
一方、今回の調査で確認できなくなったのはキリバス・ハイチ・ベリーズ・サンマリノ・イエメン・コンゴ民主共和国・セーシェルの7か国である。
ただし機関としての教育が確認できないことと、学ぶ人がいないことは別である。同基金のオンライン学習サイト「JFにほんごeラーニング みなと」には190の国・地域から176,841人の受講者が登録している。機関調査の結果に出てこない48か国・地域にも受講者がいる。
日本語学習者の調査はどう設計されているか
数字を引用する前に、調査そのものの条件を確認しておきたい。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査名 | 2024年度 海外日本語教育機関調査 |
| 調査期間 | 2024年9月〜12月(一部の国・地域は2025年5月まで) |
| 結果の公表 | 2025年9月3日 |
| 送付した調査依頼の数 | 29,148機関 |
| 有効回答数 | 24,717機関 |
| 有効回答率 | 84.8% |
有効回答24,717機関のうち、日本語教育の実施が確認できたのが19,344機関。一時的に全ての授業を休止しているのが2,112機関、実施していないことが確認できたのが3,261機関である。
調査の対象から外れるものも明示されている。組織としての実体を伴わない団体、国語教育のみを行う在外教育施設、不特定多数に向けた放送局やWebサイト、短期的な日本語体験活動の4つである。
日本語学習者の数字を読むときに確認すること
この調査は前回から集計方法が変わっている部分がある。数字を比べるときに引っかかりやすい点をまとめておく。
| 確認すること | 実際のところ |
|---|---|
| 教師数の数え方 | 2024年度は教育段階ごとに集計。1人が複数段階で教えると重複して計上される |
| 教育段階別の機関数 | 重複計上のため、各段階の合計と総数は一致しない |
| 調査対象の変更 | 2021年度は日本人学校・補習授業校を対象外、2024年度は国語教育のみの在外教育施設を対象外 |
| 継承日本語の扱い | 2024年度は調査項目から外れている |
| 調査の周期 | 3年ごと。毎年の数字ではない |
とくに教師数の80,898人は、前回の数え方と直接は比べられない。資料にも「実際に機関に所属する教師数より多く計上されている場合がある」と注記されている。
学習者数の4,000,750人は、機関で学ぶ人の数である。独学の人やオンラインだけで学ぶ人は、この数字には入っていない。引用するときは調査年度と一緒に、この前提も添えておきたい。
この記事の参考文献
- 2024年度「海外日本語教育機関調査」結果(独立行政法人 国際交流基金 公式サイト)
- 2024年度 海外日本語教育機関調査 結果概要(独立行政法人 国際交流基金 公式サイト)
- 海外日本語教育機関調査(独立行政法人 国際交流基金 公式サイト)
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